Afton's Worst Ultimate custom night 作:Rat man
君が壊したものは責任を取って君自身に直してもらう。身を捧げても。"
Aftonが朝の六時を迎えたその同時刻に別の部屋で彼の様子を監視している一人の男が席を
立った。彼の仕事が終わったからだ。複数の監視モニターの電源を切り、それまで動いていた機械
人形達を停止させる。
"今夜は彼の勝ちだ。自らアクシデントを起こしながらも捨て身の勢いでこの夜を乗り超えた
もんだから素直に称賛に値する。この地獄の環境でよくここまで成長したものだ。"
一人で呟き、また次の夜に向けての準備をしなければならないが一先ず休憩として、傍に設置して
あるソファーに腰を下ろす。終焉を告げる事のないこの場所で唯々彼を裁くために存在している男
は、この運命に不服を立てず受け入れた。自ら望んだことに拒否権はない、男の目標は既に達成
された。あの出来事をきっかけに男の頭の中には復讐の二文字しか思い浮かばず、罪を犯した彼を
自らの手で闇に葬り去ることを決意し、幾度の取り返しのつかない失敗と彼の残虐な行為に煮え湯
を飲まされながらも最終的にはこの地に追いやることに成功する。犠牲になった子供達も恐怖の
ない場所で安寧を得ることが出来、男の娘を含めて無事旅立つことが出来た。そう、目的は果たさ
れた。だが、この男にはある考えがいまだに消えていない。
"どうしてだろうな?私が望んだことは全て叶えきったはずなのに、未だに怒りが収まらない。彼
を幾らでも裁けるはずなのに、私は彼の虐殺を楽しんでいるのか?苦しみを味わっている罪人を
見てあざ笑っているのか?・・・おいおい、それじゃああの男と同じだ。いや、彼を殺している
時点で私も同類か。復讐は果たされたのにこの負の連鎖から逃れられないのは・・・私は彼を
許さない限り、眠りにつくことは出来ないのか?・・・はは、覚悟はしたはずなんだが自分を
納得させるのは難しいな。"
半ば自虐を込めた独り言をしていると悲壮感が漂ってくる。そう、男は一人なのだ。彼と機械人形
達を除くと。最愛の娘はここにいない、居てはいけない場所だからいなくて当然だ。共感する相手
もいない、彼を労ってくれる人もいない、それでも男がこの道を望んていた事だから進むしかない
のだ。彼が選んだのだから、例えこの地で身が朽ち果てようが関係ない。寂しい思いを無理やり
取り払うと少し仮眠を取る為にソファーで横になる。それを終えたら彼の手によって破損した配線
の修理をしなければならない。結局、悲しみに打ち明ける暇などないのだ。
"全く、老いぼれを肉体労働に使わせるんじゃないよ。会ったら少し皮肉も込めて注意しよう。
まぁ、彼が納得せずに反感を買う事は想定できるが。"
・・・・・・・
「しかし弱ったな、こいつを放置するのはよろしくない。」
千切れたケーブルを見て内心俺は焦っている。さっきまではギリギリ持ちこたえることに成功した
んだがそう上手くいくもんじゃない。あの時も電気が復旧した時、ドアップで"Freddy"の顔が
映ったもんだから少し腰抜かしたよ、・・・変な声上げて。このままの状態で夜が来てしまったら
また運を頼らなければならないので本当に笑えない。ギャンブルは一回でこりごりだ。
「一応修理に使うための修理箱を探してみたが、当然置いていないよな。」
辺りを見回ってみたが何も置いていない。まぁ当たり前さ、その箱にはさまざまな道具が用意され
ているから言うなれば武器になるものが多々あるという事だ。レンチやバールなんて打撃系の武器
に筆頭するもんだし。それを考慮して奴は設置をしていない。
「ったくよぉ、壊れやすい配線だな。あいつも品質管理をしっかりしてくれればこんなことに・・
第一、あの時の脅かしがなければこんな目に遭ってねーのに。」
「"でも、彼らを挑発したのは君だろう?"」
「うぉ!!おま、何時から!?」
一人で愚痴っていると背後から聞き覚えのある声を聞き背後を振り返ると、そこに金色の熊人形が
片手に工具箱を掲げて俺の呟いた言葉に反論をしてきた。
「"さっきだよ。君が一人で愚痴をこぼしていたもんだから中々入りづらかったんだけどね。"」
「嘘つけ!絶対俺の愚痴こぼしている間にもこっそり入ってきたんだろ。てか、挑発って、先に
奴らから喧嘩吹っ掛けてきたんだぞ。俺の作業を邪魔して、そいつのせいだろうが!」
「"なら無視すればいい。言っただろ?夜が始まるまで君を襲えない。だから気にせず作業に取り
掛かればいいものを。"」
「無視した結果がこの有様だ!奴らをコントロールしているのはお前だろ。ならお前に非がある
じゃねーか。」
「"そういう問題じゃない。それよりも君が故障をしたから修理費を請求したいくらいだよ。"」
「・・・何処まで鬼畜だよお前。言っておくが金なんざ持っていないし、なんならFaz-COINで
立て替えてやろうか?」
「"残念だがそのコインは貨幣として認めていないからお断りだ。"」
・・・相変わらずムカつく野郎だ。
「"まぁ、こちらにも全く非がないというわけではないから今回は特別に修理をしてあげよう。"」
「けっ、初めっからそうしろよ。なるべく急いでな。」
「"君も注文が多いことだ。次からは直せる保証はしない。少し危険な作業になるから暫くはこの
部屋から出てくれないか?"」
「・・・ああ。」
確かに俺が此処にいても意味がない。奴の作業だけは遅延させたくない。次の夜までに直してもら
わないといけないのでな。
コツ、コツ、コツ・・・・
足音が離れるのと同時に一人で黙々と修理の作業を始める。彼と会話するのは三日ぐらいに一度
だろう。誰もいないこの場所で唯一の話し相手が殺人鬼とは笑えないものだ。だが、不思議と男
と彼には複数の共通点がある。人のつながりが少なく、生きがいと呼べるものに中々会えず自分
の信念だけに忠実で行動する。そういう意味ではある意味パートナーとして呼べるだろう。
いつか、お互いを許せるときがくればこの場所もなくなるかもしれないが、まだ先は遠いに違い
ない。そもそも、ここから出られることなんかあるはずがなく、夜を迎える時間だけが過ぎていく
・・・無情にも。
"死に救助はない"