Afton's Worst Ultimate custom night   作:Rat man

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究極の夜を挑んでいる彼を、その様子を覗く存在のお話


Fourth wall(第四の壁)

"・・・・・・"

 

 此処は、地獄へ落ちた彼が知る機会のない場所。背景全体が赤黒く塗りたくられて周りにドット

絵で表示された木々が生い茂り、その中心にある池の縁に腰を下ろしている一人の老人がいる以外

何もないところだ。その老人の容姿が兎に角奇妙なもので、体色を真っ赤に催したワニ?に似ても

似つかない姿をしている。様子としては両手に釣り竿を手にし、白く濁った水の中に釣り糸を放り

込んでいる事から恐らく魚釣りをしていると思われる。"ポチャん・・・"という水音と、そこから

波紋が広がり静かな魚釣りが始まる。老人はそこから身動ぎせずに魚が掛かる瞬間を待つ。

 ・・・っと、そこにこの世界では見かけない一体の熊の姿をした人物が現れる。

 

"・・・・・!"

 

 老人も驚いたことだろう。自身の世界に異質なものが紛れ込ん来るなんて想像できただろうか?

しかし、不意を喰らっても老人はその異質なものを一目見て直ぐに警戒心を解いた。見覚えがある

のだろう、熊の姿をした存在に一声かける。

 

"・・・君か。まぁ、取り敢えずこちらに来なさい。疲れてるのだろう?"

 

 熊の姿をした存在は老人の呼びかけに反応し、ゆったりとした歩行で歩きだし池の縁にある丸太

に腰を掛ける。やはり疲れてたのだろう、息が少し荒くなっている。・・・少し時間が経過して一

息ついた熊に質問を投げかける。

 

"君は何処から此処へ入ってきたんだい?"

 

"・・・・・・・"

 

 応答なし。・・いや、困惑しているようにも見える。覚えがないのか?っと老人は考える。なら

尚更不思議だ。この場所はとある条件を満たさない限り決して立ち入り出来ない、それ以前にこの

場所さえも知るすべがないというのに隣に座りこんでる異質な存在は此処へ入ることが出来た。他

にも聞いてみる事に専念する。

 

"先程の質問に答えられないという事は覚えがないからか?"

 

"・・・・・コク(首を縦に振る"

 

"ならどういう経緯で此処にやってきたのかも分からない?"

 

"・・・・・(首を横に振る"

 

"おや?入った方法は思い出せないが目的は携えてるってことなのか?"

 

"・・・・・コク(首を縦に振る"

 

"ほぅ、興味深い。では何の目的で此処に来た?

 

"・・・・・お父さん"

 

"・・・あぁ、そういう事か。なるほど、・・・話の本筋はつかめたよ。

 

"・・・・・・・"

 

"はぁ(溜息、父親を捜すためにわざわざこちらにやってきたのか。なら無駄な労力になったな。

残念ながら君の父親は此処にいない。・・・寧ろあの男を素直に父親と呼べる君に驚きを隠せ

ないよ。

 

"・・・・・・・"

 

"以前君に言ったはずだ。君はもう眠りなさい。あの男のことなど忘れなさいってあれ程言った

にも拘らずまだ未練を残しているのか?すべては終わったはずだぞ。あの男は今なお審判官に

裁かれ続けている。罪を重ね続けてきた救いようのない男は、君自身までも君の大切な物全て

を奪い去った。大切な家族、仲良くした兄弟、安寧の寝床、そして・・・自由を。"

 

"・・・・・・・"

 

"それを全て自身の欲望の為だけに道具として利用した挙句に君を・・・もう気付け。あの男は

君の父親ではない

 

"・・・・・・・"

 

"それに君が体験したものは全てあの悪魔が用意した偽りの物語だ。君が感じていた父親の愛も

そのうちの部類に入る。"

 

"・・・・・・・(顔を俯く"

 

"分かってくれたかな。言っておくが君を傷つける為に厳しく言ったわけではない。それで君が

傷ついてしまったなら私は素直に謝罪する。だが、嘘は言ってない。残酷な物語は全て真実な

のだ。・・・君は報われない形で最期を迎えた。余りにも悲しい結末で・・それが私にとって

は不憫に思うのだ。いつまで経っても偽りの優しい父親に囚われてさまよい続ける君を見て。

・・・だから悪夢の事は早く忘れて本当の父親に会いなさい。"

 

"・・・・・・・(顔を上げる"

 

"さぁ、この世界から抜け出す方法を教えてあげよう。目の前に広がる池があるだろう?そこの

中心点の奥深くまで潜りなさい。大丈夫、これは現実にある池じゃないから息が苦しくなる訳

でも窒息するわけでもない。ちょっと不快感が残るだけで暫く潜っていけば慣れるものさ。"

 

"・・・・・・・コク(首を縦に振る"

 

"いい子だ。それじゃあ短い間だがこれで本当のお別れだ。もう此処へは来るんじゃないぞ。"

 

"・・・・・・・コク(首を縦に振る"

 

 老人の最後の言葉を告げたと同時に熊の姿をした存在は少し早歩きで池に向かい、足から水

に浸かりそのまま沈んでいった。・・・結局、この世界への出入り方法は分からない形で少し

頭を悩ませたが気にしないことにした。どうせ来ることのない訪問者にあれこれ考える必要が

ないからだ。

 

"・・・さて、魚釣りの再開とするか。"

 

 そう独り言を告げると置きっぱなしにした釣り竿を再び手に持ち、魚が来るまで丸太椅子に

腰を掛けてゆっくりと待つことにした。

 

"・・・・・・グォン!!(釣り竿が引っ張られる"

 

"おおっと、早速掛かってきたみたいだ。えらく早い気がするが・・・"

 

 暫くは釣り竿を引っ張る魚と対抗していたが、先に魚に限界が来たのかあっさりと引き上げ

る事に成功する。その魚の容姿を見た老人は・・・

 

"・・・これは、これで奇妙な形をしたもんだ。しかし見覚えがあるな、まるで・・・・・"

 

 この世界に訪れる人はいない。・・先程の異例は除いて今日も老人は魚を釣る日々を送る。




"さて、彼の釣った魚はどんな姿をしていたのかな?"
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