Afton's Worst Ultimate custom night   作:Rat man

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"さぁ、おいでよ。終結の時を迎えよう。"


Beyond impossible(不可能を超えろ)

(!!!ドスゥ!!!)

 

「ぐぅ!!・・・がはぁ・・・(ドサ・・)」

 

 またやられた。注意を怠った代償としてNightmare Fredbearの腕が俺の腹を突き刺したので

そう実感する。大きく目を見開き時間がゆっくりと流れるような感覚で床に倒れる。咳き込む度に

あふれ出る血を飲み込むので余計に苦しくなり数分間の間、悶え苦しみながら絶命した。

 此処までやられると、もう何も感じなくなってくる。あぁ、また失敗したなという思いでまた次

に挑戦する。クリアするまで同じことをひたすら繰り返すだけだから、変化が起きないこともあり

気付けば無口で作業に取り掛かっている。

 

「・・・・・・」

 

 大抵やられる時間帯は十二時半から一時の間。多くは猶予時間が極端に短い機械人形達によって

襲われている。コイン集め自体は慣れたんだが集めている段階で襲撃スピードが大幅に上がるもん

だからDEATHCOINを購入する段階までたどり着けないのが難点。そう、これさえ完遂できれば後

はうんざりする程やってきた対処や作業を朝まで繰り返せばいい。

 

「・・・よし、もう一発気合を入れておくか。」

 

 数えきれない程のリトライを究極の夜に費やし続けて動きは完全把握しているので、これで最後

と言わんばかりにスタートボタンを力強く押す。少し時間が経った後に何度も聞いた開始アラーム

を耳にし、作業を始める事にする。・・・これが本当の最後の戦いとして。

 

"ジリリリリリリリリリリリリ!!!"

 

AM 12:00

 

 開始直後、扇風機を停止し発電機を稼働させて一度席から立ち上がり、左に設置されている看板

を右の出入口に設置しておいて再び席に座わり端末を起動する。ダクトシステムに切り替えて左端

にオーディオ・ルアーを設置、カメラシステムに戻しToy Freddyのいる部屋に切り替えゲームを

一度だけ手伝って人形売り場にいつでも買えるようセットし端末から目を離す。このタイミングで

オルゴールに切り替えコイン集めを開始する。左右から接近するToy BonnieToy Chicaをガワ

でやり過ごしていき、覗いてる間侵入してきたNightmare Freddyの子分をPhantom Freddy

と共に追い払って他の襲撃者がいないことを確認し端末を覗く行為を繰り替えす。

 丁度DeeDeeもやってきたから同時対処できるよう構えて置く。侵入組を誘発させて出口前まで

来たらドアで締め出しコインを貯蓄する。六度目の端末を下した時にShadow Bonnieが出現した

ので暗闇に紛れ込む機械人形達の存在をいち早く察知し焦らず同時対処しておく。三度目の広告を

切った時にコインの数が十枚に達したので急いで立ち上げ死のコインを購入、右の海賊の入り江に

カメラを合わせた瞬間ノイズ音が発したので一時中断しマスクを被る。正面にWithered Bonnie

Golden Freddyの存在を確認しガワを被ったまま発電機と扇風機を稼働させ、襲撃の準備を整

えてるNightmare BBにライトを浴びせて中断させる。二体がこの部屋から消えたことを確認し

たらマスクを外して扇風機を停止、今度は強力エアコンを作動させNightmare Chicaを追い払い

またオルゴールを作動させもう一度端末を起動し、死のコインをFuntime Foxyに使用しながら

椅子にもたれ掛かってるPlushtrapを数秒見つめておく。

 この時が一番緊張する。こうして見ている間に他の機械人形達が侵入してくるんじゃないかと嫌

な思いが巡っているからだ。しかし、今回は運が良かったのか誰もくる様子がなく無事に兎の人形

を追い払う事に成功したので直ぐに右廊下にカメラを固定してそのまま端末から目線を話す。

 丁度影兎も消えた事だし換気もコイン集めをしている最中に既に済ませてあるので、後は卓上に

設置されている人形を確認する。・・・兎に切り替わっていたのでFoxyの牽制はしなくてもいい

みたいだ。

 

(!!!!!ダダダダダダダダダダ!!!!!)

 

 っと気を一瞬緩めたのを見計らっていたかのように猛スピードで右ダクトから機械人形が接近し

て来る。音を聞き大急ぎでドアを閉じる。・・・ぶつかった音が鳴り響き事なきを得た。こうした

一瞬の隙も狙ってくるので本当に油断ができない。ドアを開けたら再び発電機と扇風機を作動させ

室内環境を安定にした状態で整えておく。

 

"ふふ♪ははは♪"

 

 整えている間にも奴らは襲いにやって来る。部屋を横切ろうとするBonnetの鼻を押そうとする

がそれを阻害しようと白黒の幻影が姿を重ねて目線を合わせようとする。だが、奴の弱点を知って

いる俺は慌てずに部屋の左端を見つめる。その時ピンク兎がそこを通過してきたので即鼻を押す。

すると兎は下に引っ込んでいき白黒の幻影も消えていた。これで一通りの対処が終わったので次の

換気が来るまでオルゴールを挟みながら、部屋に侵入してくる機械人形達を撃退する方針で作業を

進めていく。

 

AM 1:35

 

 Molten Freddyの笑い声と床が軋むような音が正面ダクトから交互に鳴り響くのを確認しドア

を閉じ、電話のコール音と左廊下からBalloraが発するメロディーをいち早く聞きつけ左ドアを閉

めてから真正面に置かれてる机の裏側に回り込み、電話音をミュートに設定し騒音を絶たせる。

 Music Manは・・・まだ稼働していない。なるべく奴を起こさないよう逐一騒音を切らなけれ

ばいけないので慎重に立ち回る。黒い熊Leftyも同様な対処を施さなければ一発アウト。奴は騒音

だけでなく室内温度によっても進行速度が激化してしまうので処理が面倒だ。なので室温を70F°

まで下げつつ電力もなるべく抑えていかなければいけない。扇風機の稼働による電力消費も馬鹿

にならないからだ。・・・騒音を絶ち切った後の次の処理は、視界妨害に遭いながら襲撃の準備に

取り掛かる機械人形達の牽制をしなければならない。視界が狭まるのは正直辛いもんで、よく観察

しないとライトの付け忘れ等で事故が起きてしまう。特に机の上に置かれてる狐と兎の人形が入れ

替わってるか分かりづらいもんだから、しょっちゅう早い段階でFoxyに侵入される・・・なんて

事がよく起こるので食い入るように何度も確認する。

 端末にも広告と釣りのミニゲームが頻繁に発生し一々切るのが面倒なので広告は兎も角、ゲーム

が発生した時は端末を起動する必要がある以外は基本放置する。・・・おっと、そろそろ換気時間

が来たようなので端末を立ち上げる。素早く換気ボタンを押した後は瞬時に下して同時にマスクも

被る。・・・Golden Freddyは神出鬼没なだけあって、何時でも正面に待ち構えてる。この夜で

一番出現回数が多いこともあり、皆勤賞でももらえるんじゃね?と下らない思いをしながら看板を

持ち運び、Rockstar Chicaがいる方向に設置し直す。・・・白黒の幻影を直視しないように。

 

AM 2:01

 

 漸くMinireenasがいなくなったので視界が良好になり、事故等による襲撃は避けられるだろう

と思って引き続き対処の作業に取り掛かる。ビープ音を鳴らし続けるLolbitをいち早く対処し騒音

を下げたら発電機を少し長めに作動させる。二時の段階で残りの電力が69%と表示されていたので

此処からは電力の節約を意識するよう行動を切り替える。侵入待機組の機械人形達は出入口一歩前

で行動を止めるので換気のタイミングを見計らってドアを閉じる事にした。焦ることはない、厄介

な性質を持つ隠しキャラ達は全て排除した。オルゴールと室温の管理はほぼ完ぺきに出来ている。

ダクト組の動きもなく、八つ当たり熊もやってきていない。最も危険で面倒な奴も追い出したので

作業は比較的楽だ。なので今意識することは、如何に電力を時間ギリギリまで保てるかどうかだ。

 そこに、この究極の夜を乗り越えられるかが全て掛かってる。失敗は許されない、改めて再認識

して部屋に侵入してくる奴らを対処する。

 

AM 3:56

 

 もうすぐ四時になる。手が震えてきた。此処までこれたのは初めてで緊張してくる。奴らも焦っ

ているのか、露骨に襲撃回数を増やしていく。流石に頻繁に来られると奴らを追い出す為のドアを

閉じる機会が多くなるので、その分の電力が削られるから困る。残り40%、・・・微妙だ。

 こうなってきたらオルゴールを作動させる時間も短縮しなければいけない。それにもう一つ困る

ことがある。Foxy人形からBonnie人形に入れ替わってくれない事が増えてきた。換気を済ませた

後に十秒数えてから端末を覗き込んでいるがこれが中々大変。覗こうとしても他の奴らに阻害され

て見る機会を失い、覗き込んだ後でもまだ入れ替わっていない場合があるので余計な作業が増えて

しまう。今のところは侵入されていないがいずれは・・・

 

"♪プルルルルルルルルルル♪"

 

 ・・・どんだけイタ電してくんだよ。これ以上作業を増やさないでくれ・・・。

 

AM 4:29

 

 時間が進むにつれて奴らの動きがますます激しくなり更に本気を出してくる。同時侵入は当たり

前、尚且つ騒音と被せて侵入を試みる輩も増えだした。左右から接近してくる兎とアヒルをマスク

で対処している間にNightmare FredbearNightmareが両側出入口に、正面ダクトから目玉

だけを覗かせるSpringtrapが出現している。ここはしっかり姿を目視し、それぞれのドアを閉め

て追い出す。緑鳥が室内を飛び回っているがそれを無視して扇風機に乗っかているHelpyを手で払

いのけて退散させたらオルゴールを少し遅らせて起動させる。

 ・・・さて、俺はそろそろ覚悟を決めなければならない。目線を前に合わせてそいつを見据える

ように態勢をとる。

 

「・・・よぉ、どうやら残りの時間はお前との一騎打ちだな。」

 

「・・・・・(ギロリ!!)」

 

 俺にとって恐るべき事態が起きた。・・・遂に侵入されてしまった。Foxyに。奴の猶予時間は

四時の段階で切れてしまい、恐怖の盗塁が始まったのだ。俺が端末を覗き込んだ瞬間を狙い次々と

自身の体パーツを投げ込む。仮に現時点で全てのパーツが揃ってしまったら次の換気時間の時端末

を起動した時点で終いだ。そうなったら今までの苦労が水の泡。だが幸いなことにパーツは完全に

揃っていない。投げ込まれたのは頭部と下半身、それと右腕だ。まだ左腕、胴体は投げ込まれてい

ないので現時点で襲われる心配はない。

 問題なのは最後となる換気をし終えた後の残り時間。多分その時は電力は尽きるだろう、と残り

29%と表示されている電力を見てそう懸念する。奴も最後の時間を迎えた時に襲撃の準備を整える

はずだ。恐らく最後の換気をした時には全てのパーツを揃えて襲撃の準備を整えるだろう。だから

最終的には持久戦として持ち越さなければいけない。なのでこれ以上は端末を見ないようにして、

出来るだけ電力を抑えながら侵入してくる他の機械人形達を対処する。

 

AM 5:53

 

 ・・・最後だ。最後の時間だ。もしかするとこれで終われるかもしれない。この狂いに狂った宴

から今夜限り終わって永遠に受けなくて済むかもしれない。どれだけ・・・どれだけ待ち望んだ事

なのか・・・。うんざりする程の制裁を喰らい、自身が壊れそうになるまで追い詰められた奴らを

今夜限りで・・・。しかし、奴らにとっては俺を狩れる最後のチャンスを逃したくないはずだ。

 残り七分を切った。電力は残り8%。僅かにある電力を出来るだけ奪い去ろうと躍起になる筈。

そして今なおオルゴールとドアの開閉によって電力が・・・いわば俺の命綱となるものをジワリと

無くしていく。此処まできて電力を切らすわけにはいかない。せめて、残り三十秒まで持ちこたえ

ないといけない。奴らの猛攻撃を躱し、オルゴールと発電機をこまめに切り替えて限界まで登り詰

めていく。・・残り三分。残り電力5%。あともう少し・・・息が苦しくなり、眩暈の症状が現れ

てくる。換気をしていない状態なので酸欠に陥ってると思う。・・・耐えろ。兎に角耐えろ。この

苦しみなんか奴らの制裁と比べればかゆいもんだ。体を震わせ意識が飛ばないようにする。

 ・・のこり一分。残り電力3%。喘息まで俺に襲い掛かってくる。ひどい息切れと汗をかきすぎ

て気分が悪くなる。正直この体調で奴らを相手にするのは辛い。手を休ませる機会も与えずに頻繁

にやって来る。余程俺がこの夜をクリアするのを嫌がっているみたいだ。・・・上等だ!!

 ・・・残り三十秒。残り電力・・・1%。・・・最後の審判が訪れる。

 

"!!!!!!グオォォォォオオオン・・・・!!!!!!"

 

 遂に電力が切れた。この瞬間、俺は・・・全力で祈りだした。もう神でも悪魔でもいい。唯一つ

の願いを浮かべる。この夜をクリアすることだ。・・・部品を組み立てる音がする。狐が襲撃準備

を整えている。目を光らせて不適の笑みを浮かべる狐・・・。

 

 "どちらが早い?"

 

 部品を組み立てて虎視眈々と狙う狐か?

 

 "どちらが勝つ?"

 

 不屈の精神で挑み続けた殺人鬼か?

 

 ・・・さぁ、決断の時だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・部品を組み立て終わったFoxyAftonに飛び掛かる、その瞬間に全ての空間が真っ黒に

染まり上がった。果たしてこの究極の夜を制したのは・・・




"最後の審判を下した。"

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