Afton's Worst Ultimate custom night   作:Rat man

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If・・・

「・・・・・・どうなってんだ?」

 

 俺は困惑している。果てしなく挑み続けた究極の夜をクリア一歩前の所でFoxyに襲われかけた

時、意識が突然無くなった。次に意識を取り戻した時は辺り一面真っ黒い空間の中にいる事に気づ

き、何処を見渡しても黒一色の世界が広がっていた。これだけでは果たして勝ったのか負けたのか

が分からない。仮にあの時点で襲われてゲームオーバになったら再び元の部屋に戻されているはず

なんだが、何時まで経っても戻る気配がない。ではクリアしたのかと言えばそこは何とも言えない

のだ。朝のチャイムが鳴る音も聞いていないし、何かしらの変化も起きていない。

 だからこの展開に正直ついていけない、というのが俺が出した結論だ。試しに歩き回ってみるが

本当に何もない。黒、黒、黒、ただそれだけが映る。機械人形も警備員室もない。

 

「もしかして、永遠にこの世界をさまよい続けなければいけないのか?」

 

 そう恐ろしい発想が浮かび上がる。・・・いや、いやいや、考えるな!第一此処に飛ばしてきた

理由があるはずだ。じゃなきゃあのタイミングで意識が刈り取られる意図が読めない。それをした

という事は必ず何かしらの意味があってやった行為だと結論付ける。・・・だが幾ら待っても背景

に変化が訪れなくなると本当に心配になってくる。不安が煽られ心が落ち着かなくなると、冷静に

保つことが難しくなり漠然とした恐怖が襲い掛かってくる。

 

「なぁ、本当に誰もいないのか?・・・おぃ、冗談じゃないぞ。」

 

 本気で危機感を覚えてきた・・・その時、何の前触れもなく音楽が鳴りだした。

 

「!!?」

 

 僅かだが、確かに音楽が流れるのをハッキリと聞き辺りを見渡す。・・・何処からその音が聞こ

えるか耳をよく澄まして場所を特定する。

 

「・・・俺の立ち位置からみて、多分北東部か?」

 

 真っ暗なため方角なんか分かりっこないが、少なくとも俺が正面に立ってるという事実はあるの

で、自身を見立てて方角を割り出す。そして割り出した方向に向かってひたすら進む。漸く変化が

起きたんだ。この何もない場所にとどまり続けたら気が完全に狂っちまう。・・・進んで走って、

途中歩いてを繰り返し音が鳴る方向へ目指していくと段々音楽が聞こえるようになってきた。暗い

音程で奏でるメロディーに聞こえなくもない。シックの音楽?多分そのイメージが強い。そして音

を聞きつけだいぶ聞こえるようになってくると今度は光が薄っすらと見え始めた。

 

「おお、光だ!」

 

 この暗い世界を灯す唯一の希望。それにすがるように休むことなく走り続ける。・・・どれくら

い走り出したのか、息切れを起こして地べたに張り付く。一旦休憩しないと走る体力が持ちそうに

ないのである程度光が見える範囲で腰を下ろす。乱れた呼吸を整え、汗を拭い取ってもう一走りと

顔を上げた瞬間、先程までなかったあるものが突然現れたので驚いた。

 

「うおぁ!?」

 

 それが出現したのを引き金に音楽がより一層強く奏でりだす。聞き続けると不気味な音程で気分

をかき乱される・・・そんな気持ちだ。いきなり現れたそれは、俺にとって見覚えのあるものだ。

忘れるはずがない出来事が蘇る。俺にとって最高で・・・最悪な思い出。目の前にあるもの、それ

はかつてのパートナーが設計した最初の機械人形。それも唯の機械人形じゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スプリングロック型のGolden Freddyだ。

 

 

 

 それが体全体をガタガタと震えている。心なしか、俺を見据えているようにも見える。その動き

にも覚えがある。・・・スプリングロックが外れた時、至る所から部品が圧縮して中に入ってる人

を押し潰す動作だ。実際俺もこの痛みを味わっている。想像もしたくない・・・。そいつが俺に何

かを訴えているみたいだが、その意思が読めない。暫くはその光景を眺めるだけだったが、時間が

経過するにつれて少しずつ俺から遠ざかっていく。それと同時に俺の意識も徐々に無くなっていく

ので不可思議に思いながらもこれでこの世界から抜け出せるのかと思い、再び眠りにつく。

 

・・・・・・・・・・・

 

「っつ!!」

 

 今度は眩しい光が勢いよく視界を照らしていく。こんなことあったか!?と不自然に思い何とか

瞼を開かせると見えてきた光景に絶句した。

 

「はぁ!!?」

 

 先程の場所とは打って変わって辺り一面緑の自然に囲まれた世界に驚きを禁じ得なかったからで

ある。綺麗な野原が広がり木々や草原が生い茂り、様々な種類の生物が存在している。鳥の囀りが

耳に響き心が落ち着いてくる。今まで地の底に住み着いてた俺にとって決して見る事のない幻想。

一体何が起きているのか完全に混乱していると俺の近くに何かの物を見つけた。よく目を凝らして

観察すると・・・

 

「あれは・・・墓石か?」

 

 この世界に似つかない存在。複数の墓が建てられているのを確認し、もっと近くで見ようと体を

動かす。・・・足が動かない。

 

「ん?」

 

 動かない原因を突き止めようと覆っていた草木を退けて足元を確認すると、

 

「・・・・え?・・・???・・・何で足に木の根が絡まってんだ?」

 

 どうやら毛深い木の根によって俺の両足を固定していたようだ。・・・何故か分からないが。

 

「というかこれ、何処から生えてんだ?周りに大きな木は見えないはず・・・いや第一地上から木

 の根なんか生えるか?」

 

 またもや意図が読めない状況に陥り頭が混乱する。・・・仕方がなく遠めであるが複数置かれて

いる墓石を詳細に確認してみる事にする。墓石の数は手前に五つ、奥にある丘で二つ、計七つのお

墓がある。そこに人の名前?らしき文字が刻み込まれているのと、各墓石に色とりどりな風船が縛

りつけられてるのが分かる。名前は・・・

 

Gabriel

Susie

Fritz

Jeremy

 

 ・・・その四人の名前は分かったが他は分からん。

 

「しかし、何故こんなところに墓が?」

 

 何か意味があるのか?と思うと墓石に縛られていた風船の糸が自然と解けてそのまま風に乗って

風船が空高く舞い上がった。

 

「・・・・・」

 

 結局この場所がどういう所か何故俺が此処に来たのか、その意図が読めないまま再び意識が無く

なってきた。・・・次にはいつもの通りの警備員室内で目覚めた。

 

「・・・夢か。・・・ってか究極の夜はどうなった!?」

 

 信じられない体験をしてすっかり忘れていた最も重要な事。あの夜を無事に越せたのか失敗した

のかまだ確認が取れていない。はじき出すよう体が動き出していく。先ずは時刻を確認する。

 

「・・・あれ?時刻が映ってない。また故障か?」

 

 時間が表示されていないのをみて困惑した。またかと思い、その時計を放り出すと次に端末を探

しだす。あそこにスコアが表示されているはずなので・・・ない?

 

「見当たらないぞ?何処行ったんだ?」

 

 部屋を隈なく探してみるが何処にもない。ってかよく見たらいろんな機材も消えていたので更に

混乱した。

 

「はぁ!?おい、発電機の配線もエアコンもオルゴールもないぞ。どうなってんだ??」

 

 ついでに机の上に散乱していたドア開閉用の幾つかのスイッチも人形も消えていた。此処まで物

が紛失すると流石に異常だと思い始める。

 

「奴らが勝手に持っていた?いや、それは有り得ない。持ってった所で何の意味もない。」

 

 そうすると・・・原因を考えているとある違和感に気づく。これだけ騒いでも誰も来ないのだ。

機械人形はおろか、Henryさえやってこない。部屋に異常なことがあればすぐ駆けつけてくる筈な

んだが。眉をひそめていると、ふとある考えがよぎる。

 

「・・・ちょっと部屋を見てくるか。」

 

 何を思ったのか俺は片っ端から他の部屋の覗くことに思い至ったのだ。夜が始まるアラームも鳴

らないので仕方がなく確かめる事にしたのだ。警備員室を出て右廊下から奴らを探しだす。・・・

不気味な程静まり返ってる。まるで初めから誰もいないような感に。廊下には誰もいなく途中道に

あるキッチンを覗いてみる。・・・食器等が散乱するだけでChicaがいない。その横に置かれてる

プレゼント箱を恐る恐る開けてみると・・・

 

「!?」

 

 Puppetがいない。箱の中は空っぽで奴がいた痕跡さえ見つけられなかった。もしかしてと思い

勢いよく切り返し廊下を突き抜けたところにある海賊に入り江のカーテンを捲る。Funtime Foxy

もいない。忽然と消えていたので俺は唖然した。一体何が起きているのか?あの夢といいこの状況

といい・・・それからあちこち部屋を調べて他の機械人形達を探してみたが誰いないという結論に

至った。何を躍起に探しているのか分からないがとにかく必死に探していた。でも結局いない。

 この出来事自体俺は戸惑いを隠せない。何故こうなったのか?・・・もしかして、

 

「・・・クリア、したからか?俺が究極の夜を乗り越えたから?」

 

 今までは奴らの制裁を喰らい続けてもこんな状態に陥ったことなど一度もない。しかし、現状は

誰もいなく、唯俺一人のみ此処にいる。

 

「一度クリアしたら、これ以上の制裁は無意味として消えてった・・・。」

 

 そう考えざる負えない。だとしたらこの状況に説明がつく。・・・何かが湧きあがる。それは、

今まで一度も経験していないある感情。徐々に浮かび上がると口角が吊り上がり自然とある言葉

を発するようになる。

 

「・・・やった、やったんだ。・・・クリアしたんだ!!」

 

 至福。それ一点のみが湧きあがる。これまで感じた事のない喜びを盛大に味わう事が出来た。

気付けば大声を上げて勝利宣言をしていた。

 

いよっしゃあああああああ!!やり遂げたぞぉぉぉぉぉぉ!!あのふざけた夜を俺は乗り超

 えてやったんだぁぁぁぁぁぁ!!どうだぁぁぁ!!ざまぁみろ!!

 

 成し遂げた。不可能と言われたものを打ち破ったんだ。嬉しいはずがない。それにもう奴らの

制裁に怯える必要もない。奴らは去ったんだ、この地を。生みの親と一緒に消え去ったんだ。

 数えきれない程の犠牲と屈辱を味わってきたあの日を最後に、漸く別れを告げることが出来た

んだ。これからは自由、自由なんだ。どうしようが俺の勝手なんだ。

 

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・少し叫び過ぎたか・・・少し休もう。」

 

 そろそろ疲れてきたし今日は枕を高くして眠れると思い、床に大の字の態勢で寝転がって眠り

についた。初めての普通の夜を過ごしたのは何時ぶりだろう・・・

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

 どれくらいの月日が過ぎたのだろうか?時間もないんじゃ日にちも数えられない。同じ光景が

永遠に続く今日この頃、俺は腐るほどの時間を所有している。でも使い道がない、費やすものが

ないからだ。同じ部屋をぐるぐる回るだけで一日が終わる。・・・誰もいないこの世界に俺一人

が置き去りにされた。奴らが去った後は暫く喜びの思い出で生活していたが、次第に退屈の思い

が強くなり孤独がより一層感じるようになってくる。俺の娘もいない、かつての宿敵もいない。

 ・・・何でだろうな?苦しみから解放されたはずなのに、こんな悲しい思いをしなければいけ

ない?あいつからは皮肉も労いの一言もなかった。せめて俺に一言話せばいいのにな。最近では

唯ボーっと突っ立ってるのが俺の日課となっている。

 

「・・・はぁ、孤独ってこんなにもつらいとはなぁ。」

 

 かつての喧騒が恋しくなってくる。機械人形達との命がけの戦い、皮肉を並べるかつての相棒

娘との会話・・・思いがよぎってくるが、余計に寂しくなるだけだった。結局俺は何の為に究極

の夜に挑んて来たのか。結果的には奴らの呪縛を開放してやっただけ。俺は何も救いようがない

状態で今日までに至ってる。

 

「・・・これこそがあいつの目的だったのか?俺がクリアすれば、もう何の未練も残さずに皆を

 この地から自分含めて引き上げることが出来る。だとしたら、とんだ策士だな。」

 

 もうため息しか出ない。やはり俺と似ている所がある。他人を自分にとって都合のいい道具と

して利用する点がな。俺もそうしてきた。自分の欲望を満たすために色んな奴らを利用して人生

を狂わせてきた。奴らの苦しみこそが俺を幸せにする糧として。

 

「・・・ひょっとすると、これが俺が受ける最後の審判かもしれねぇなぁ。」

 

 誰にも看取られず、誰にも気づかれず、終わることのない孤独に苦しみ続ける運命。罪を背負

い、償える機会を失ってさまよい続ける・・・。これが俺にとってのだな。一人

勝手に納得してこの考えを終わらせる。

 

「・・・まぁ、仕方がねぇ。過ぎたことに一々引きずるのも嫌だしな。さーって、今日も日課の

 散歩を済ましておくか。体は動かしていかねーとマジで頭まで腐っちまう。」

 

 座ってた椅子から腰を上げてからいつものような一日が始まる。・・・終焉を告げる事のない

世界は今日も回りだす。一人静かに・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

THE END




"・・・結末なんてこんなものさ、Afton。"

二人の宿命の戦いは終わりを告げた。だが、その後の報われない物語は永遠に受け継がれるだろう・・・
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