Afton's Worst Ultimate custom night 作:Rat man
・・・・・
「・・あれ?此処は何処だ?」
二日目の夜をギリギリながらも乗り越え、安堵していたその直後に急に意識が途切れたのだ。
さっきまでいた部屋の背景がガラリと変わりどこか薄暗い部屋に差し替えられた。しかし、
どこからか楽しそうな声と音楽が聞こえてくる。いきなりの状況変化にまた俺は戸惑ったが
少し離れた場所から漏れた光が差しかかっているのを見つけそこを目指すよう歩き出す。
・・・若干厚みがあるドアを押してみると錆びれたような音と共にゆっくり開いて、閉ざしていた
この先の光景を鮮明に映し出した。
「!!!」
そこには俺にとって縁がある懐かしい場所の光景が映し出されていた。部屋の中には数こそ
少ないが子供が数人、楽しそうな表情を浮かべ玩具や風船を片手に握りしめており目線の先
にあるショーを満喫しているようだった。ステージの上に立ち、マイクを握りしめ快活に
歌う一体の機械人形がこのショーの主役だ。そう、"SpringBonnie"だ。
「な!?」
驚きを隠せない。俺が生前の頃にいた店舗"Freddy Faz Bear Pizza"の部屋の中を当時その
ままに再現されているのだから。そのまま立ち尽くしていると歌い終わったのか、主役の
機械人形が立っているステージに幕が降ろされた。っと同時に時計のベルが鳴りだした。
子供たちは少し不満そうな顔を浮かべていたがベルを聞きつけるとまた笑顔に戻り部屋の中央
に設置されているテーブルに早足で駆け付けた。そこにもう一体の機械人形が奥の部屋から
現れ両手に焼き立てのピザや盆に乗ってるケーキを持ちテーブルにゆっくり近づいてきた。
どうやら昼食の時間のようだ。テーブルに美味しそうなご馳走を並べ終わったら置いてある
手洗い用の消毒液とタオルを持ち、手を洗うように促して手を洗わせてタオルで拭く。
その間にピザやケーキを切り分ける作業をし、全員が洗い終わるときには準備が整っていた。
席に座り手を合わせて黙祷をし終わったら一斉に食べ始めた。美味しそうに食べるその様子は
他人から見たら幸せに満ち溢れた光景に見えただろう。・・・此処でノイズがかかり、また
場面が変わった。次に映し出されたのは店の路地裏にあるごみ出しの場所で蹲る女の子が
悲しそうな表情で下を向いていた。・・・さっきの場面とは打って変わって悲壮に満ち溢れた
様子が映し出された。・・・そこに一台の車が止まる音を聞いた。
「この場面・・・」
よく覚えている。忘れられない記憶だ。止まった車から一人の男が降りてきてゆっくりとした
足取りで少女に近づく。足音に気づいて少女が顔を上げると、表情が悲壮から恐怖に変わり
顔を引きつらせていた。無理もない。その男が右手に持っている"銀色に輝くナイフ"を目視
したからだ。だが、体が震えて立ち上がることも出来ず逃げ出すことも出来ない少女は、今
にも泣き出しそうな状態でかすれた声で助けを呼ぶしか方法が無かった。無論声にもならない
ので誰も気づかない。男はどんどん近づいていき恐怖のあまり遂に泣き出したのだ。そして
体を掴まれ勢いよく持ち上げると泣き喚いてる少女を黙らせるかのように、ナイフを胸元に
突き出した。・・・突き刺す音と共に血が飛び散らかり悲痛な声を聴いた。暫く悲鳴は響き
渡ったがやがて声が止んで少女の体は動かなくなった。男は興味を失ったのかその場で投げ捨て
車を止めていた方向へ歩き出した。車のエンジン音と共にこの場所を去ってから静寂が訪れた。
・・・雨が降り出し、動かなくなった少女の体を雨粒が打ち付けていき更に冷え込んでいった。
この場面を最後に又もや光景が切り替えられ、今度は機械の部品庫が映し出された。
そこには5人の子供の死体が床に横たわっていて、部屋中血まみれで血液や体液でひどい悪臭が
広がっていた。俺もこの匂いに顔をしかめて鼻を抑えつけた。暫くはこの場面に変化が訪れる
事はなかったが、突然一体の機械人形が体を浮かしながらこの部屋に現れてきた。その機械
人形の腕に5人分の人形のガワを携えており、それを一人ずつ頭にかぶせていく。被せるごとに
機械人形の動きが遅くなっていくのは謎だが最後の一人に被せ終わるとその途端、機械人形が
蒸発し変わりに"Golden Freddyの頭部だけ"が咆哮に似た叫び声と共に俺に向かってきた!!
「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
"がばり"と勢いよく俺の体は起こされた。今起きたことに頭が混乱し、呼吸が乱れてきたので
息を整えるのに少し時間が掛かった。・・漸くして気分が落ち着いてきたので一度辺りを見渡す
と、そこはいつもの部屋に戻っていた。どうやら唯の夢のようだ。
「それにしちゃぁ生々しい夢だったな・・・。俺の過去についても取り上げられてたし。」
あの時の光景をここまで再現されていたものだから自然にこの言葉が口から出てきた。
「あら?夢じゃなくて事実のことじゃないの?」
・・・まるで俺の発言に異を唱えるよな声が俺の背後から聞こえてきた。咄嗟に振り替えると
そこには首を傾げる素振りで宙を浮いていた"Puppet"がいつの間にか現れていた。本日何度目か
分からない驚きを上げているとそいつは俺にそっけなく話しかけてきた。
「大丈夫よ。もうとっくに朝になっているし今の時間帯では私はあなたを襲えない。少し悔しい
けどね。部屋に侵入する直前にチャイムが鳴ったもんだから釈然としていられなかったのよ。
だから、違ったやり方であなたを驚かせてたのよ。ふふ‥どうだった?いい夢見れた?」
この言葉を聞いて頭の中に眠っていたある感情が一気に吹きあがったが、それとは違う考えが
その感情を抑えつけていた。怒りよりも疑問が頭の中に覆いかぶさっていたのだ。その疑問を
そいつにぶつけてみた。
「・・・なぁ、あの夢さぁ、どうしてあんなにも再現度が高いんだ?お前が見たものを全て
当時の状況に刷り込ませたんだろうが、あそこまで完璧に写せるものなのか?」
「・・・ん?てっきりあなたからの罵倒の嵐が繰り広げられると思っていたけど予想と違う
ことを聞いてきたわね。」
「いや、さっきの襲撃シーンで俺の怒りは有頂天に達してんだけど・・・」
「ふーん。意外と我慢強いのねあなた。でも残念だけどその質問には答えられないわ。」
「は?」
「あら、聞かれた質問に必ず答えが来ると思ったの?そんなことについて一々私が応答すると
思う?それくらい自分で考えなさい。別に大した意味なんてないのだから。」
「・・・」
「そんなことより次の夜についての策を練ったほうがあなたにとっていいんじゃない?
そっちのほうがとっても有意義なものとなるわ。」
「何かはぐらかされた感じがするんだが・・・」
「本当に大した意味なんてないわよ。そんなのきいてどうするの?それがこの状況をどう有利に
働くの?一々つまらないことに考えを持たないほうがいいわよ。脳が疲れるだけ。」
「・・・お前の言っている事、すんごい癪に障るが一理あるな・・・。」
確かにこの疑問を解消したところで状況など何一つ変わらないのだ。この地獄から抜け出せる
わけでもないし。よくよく考えるとこんな小さいことに神経を使わしている俺が馬鹿に見えてきた
のでこの疑問についてはもう忘れるほうが得策だ。
「さてと、そろそろ私は元の部屋に帰るね。何にも喋ることなく過ごしていくのって、とっても
退屈で辛いのよね。だから時々この時間帯にあなたのお部屋にお邪魔するわ。」
「・・・いや、ほんと邪魔だからもう来ないでくれ。」
「・・・」
何も告げることなく奴は姿を消していった。・・・絶対俺の意見無視しただろ。
「さて、また策について見直さなくちゃな・・・」
そうして次の夜に向けての対策を貴重なこの時間帯を使って練り込むこととなった。
"気づいたら私は泣き続けるだけの存在となった"