英雄志望の白兎は財団に収容されたそうですよ? 作:くまもんち
思ったよりも感想評価等頂けて嬉しいです!
腹筋が勝手に痙攣を起こしていた。あまりの威力に筋肉が震えを起こしているのだろう。
吐血していた。多分内臓がどこか傷ついたんだろう。
ポーションはない。
魔法は当たらない。
ナイフも当たらない。
目で捉えられない。
どうやったって勝ち目のないこの状況。幸い相手は武器を何故か捨てた。侮辱とも取れるかもしれないその行為にむしろ感謝しか送れない。
詰まる所ーーー僕はピンチだった。
別にこれは検査だ。負けてもいい。勝たなくてもいい。
ーーーそんなの、言い訳だ。
負けることはあの人から1歩遠ざかるってことだ。
そんなことーーー出来るはずないっ!
あの人ならどんな相手でも逃げないっ!
どんな怪物だって!
どんな悪党だって!
それがーーー遥か格上であってもっ!!!
さぁ、今こそ
ベル・クラネルッ!!!
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壁が陥没するほどの威力の拳。それを真正面から受ければ普通の人間ならば上半身と下半身が泣き別れするだろう。
しかし、ベル・クラネルは立ち上がっていた。
胸を圧迫感する陥没した防具を外し、闘志のみなぎった瞳でナイフ1本になる。
「ーーーッッッ!!!最ッ高だ!ベルきゅん!」
すると、ブライト博士は近くの検査機の中から検査中のヘスティア・ナイフを乱暴に取り出す。
『ブライト博士!?何をーーー』
「ベルきゅん!!受け取れッ!!!」
研究員から通信が入るも、ベルのいる検査室に観客席のような場所から投げ込む。
その空気を切りながら飛んできたナイフをパシリと左手で掴み、双刀になる。
ベルのいつものスタイルだ。紅緋の短刀はないが、充分戦える。
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頭は冴え渡っていた。
背中が燃え上がるようだった。
あの時のミノタウロスとの戦いのように。傷の痛みも相手に集中したことからか気にならなくなる。
「行くぞ......!」
その言葉に呼応するかのように一瞬で紅の軌跡を引きながら距離を詰める敵。
やっぱり見えない。でもーーー
(動きは、直線的だ!)
ランクアップ直後の冒険者はそのランクアップした体についていけず、肉体と精神の
それが
(だから......勝負は短時間で決めるっ!!)
小競り合いを繰り返していても相手がそのLvに順応してしまったら万に一つも勝ち目はない。そう判断し、ベルは『
「ーーーッ!?」
間一髪、鋼鉄の拳を後方に転がり、回避する。直撃すれば気絶は免れない一撃が眼前を通り過ぎて行く様に冷や汗を垂らす。
『
だからと言って『
外せば恐らく次はない。
1回限りの
「!」
双刀で紙一重の防御を行うも、ベルの不利は確実。このままでは、10秒と持たずにベルは沈黙するだろう。
しかし、その時、転機が訪れる。
敵が高速移動の連発という無理をしすぎたのか脚部のケーブルが一部切れ、動きが一瞬鈍くなる。
「うぉぉおおおお!!!」
吶喊。
一瞬のスキを逃さずに敵を貫かんとベルは脚に今まで貯めていたスキルの力を解放する。
30秒分ののチャージ
それは、あたかも先の敵の覚醒を再現するかのように一気に加速した。桜色の閃と紫紺の閃きが軌跡を残し、様子を見ていた研究員も息を飲むほど、幻想的な光景を生み出す。
ベルは一足飛びで敵の懐に入り込む。
敵は最後の抵抗に拳を突き出す。
技はないが、ベルでも視認が怪しい速さで風を切り裂きながら拳が突き出される。
その拳は体をひねりながら叩き込まれた桜と紫紺によってバラバラに切り刻まれ、加速した分の力を加えた二刀のナイフは見事に機体を頭、胴、下半身に3分割した。
と、同時にベルは倒れる。並行チャージによる精神の疲労と今までアドレナリンが抑えていた分の痛みが勝利の安心感と共に押し寄せてきたからだ。気絶寸前のベルの目に最後に写ったのは白衣をはためかせながら走りよるアルビノの少女と、同じく白衣をきた研究員達であった。
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「内臓の損傷、肋骨3本の骨折と重度の筋肉疲労......まあ、こんなところか。しばらく動かん方がいい。あんたがどんなSCPか知らんが普通の人間ならまず簡単には治らん重症だ。しばらく部屋で安静にしていることだ」
倒れたベルは気絶から起き上がったあと、医師からカルテの内容を伝えられ、絶対安静を命じられた。
そして、部屋のベッドで何をするでも無く先程の戦いを思い返していると、コンコンガチャリとノックからノータイムで扉が開かれる。
「ベルきゅぅーーーん!!!大丈夫!?おっぱい揉む?あ、私は
「人の胸を勝手に差し出さないでくれます!?あ、ベル。お見舞いです」
頬を紅潮させ、恥ずかしそうに(多分演技)平らな胸を差し出しながら、アイスヴァインのそれなりのサイズの胸に指を向ける。
「え?え!?」
ここまでストレートな表現にはあったことのないベルは大混乱。頬を赤くするやら、目を回すやら。
「かふっ......初心なベルきゅんかわええ......」
「これは......ちょっとエロおやじマインドが分かった気がしますね」
懐からカメラを取り出し、ベルの様子をギンと開いた撮るブライト博士と軽く赤くなりながら俯くアイスヴァイン。
「と、ところでブライト博士、その手に持っている紙の束は......?」
「あぁ、ベルきゅんが暇だろうと思ってね。少しSCPの書類を持って来たんだ。とは言ってもクリアランスレベルがあんまり高いのは持ってこれてないけど」
良かったら読んで見てくれ、とかなりの厚さの書類がベッドの横のサイドテーブルに置かれる。
「我はアニメと小説を持ってきました。絶対気に入ると思いますよ!」
アニメはFateシリーズ。小説はダレンシャンや指輪物語など、マイナーな冒険小説だった。
「うわぁ......!!ありがとうございます!!」
ちょうど暇だと思っていた時に暇つぶしにもってこいの物を持ってきてくれた2人に感謝を送る。
「あ、そうだ。ベルきゅん、防具借りていいかい?」
「はい。そこのタンスの中にあると思います」
「お、これだね?」
タンスから白銀色に1本紅い線の走ったシンプルな軽鎧一式と紅色の包丁に似た短刀が出てくる。タンスの中から防具一式と短刀が出てくるという中々日常ではみないシュールな構図ができる。
「さて......正直ベルきゅんの寝顔を見たり、悶絶してるところが見たいんだけどこれ以上はベルきゅんの体に悪いからそろそろ帰ろう。本当に名残惜しい」
「え......?ブライト博士が......常識を......?」
アイスヴァインがベルに畏怖の目を向けるもその視線の意味に気づかず首を傾げるベル。
それよりもブライト博士の悶絶と言う言葉が気になったが、ブライト博士たちは部屋から出て行ってしまった。
「さて......何からしようかな」
先程と逆に何からやろうかと悩むのであった。
ガン〇ム: 某ぜんまい仕掛けによって生み出される。ブライト博士が悪ふざけで私物のガンプラを突っ込んだら奇跡的に出来た。
狂人:(変態)紳士度がアップ。
塩漬け豚: ベルという同士に宝(オタグッズ)を預ける。
評価感想等頂けると作者は泣いて喜びます。