英雄志望の白兎は財団に収容されたそうですよ? 作:くまもんち
10000UAに届いたら何か番外編的なのやろうと思います。
皆さん読んで下さりありがとうございます。
「何なんだろうSCPって......」
ベルはとりあえずブライト博士から渡されたSCP関連の書類を読むことを優先したようだった。そして、最初の数枚を読んだところで理解が追いつかなくなる。
「不死身のトカゲに首を折りに来る石像、顔を見たら絶対に逃げられない人型......」
ダンジョンのモンスターよりも恐ろしいと身震いする。まだホラー小説の創作と言った方が理解できる。
「......ん?」
読み進めて行くうちに書類の中程に到達する。そこには携帯端末とメモがあった。
メモには
『携帯端末の電源を入れれば『ダンまち』のアニメ版が流れ出すから見てね』
と書かれていた。
「......」
つまり、この映像の中に僕の醜態が全部入っているわけでーーー
「ーーーふあっ!?!?!?」
怪我をしているにも関わらず、顔を真っ赤にしてベッドを転げ回る。胸の辺りが痛いのは怪我のせいか、精神的ダメージのせいか。
(あの人やっぱり悪意しかないじゃないかああああ!!!)
ブライト博士に恨めしい念を送るーーーが、実際自分のアニメが気になるのも事実。
一応見てみる。
「『神の鏡』に近い感じなのかな......?」
自分の顔が映る携帯端末を見ながら、電源はどこかを探す。
「あっ、ついた」
適当に端末をいじっていると電源がつく。
『~♪』
「音楽?って神様と僕!?なんか凄い動きっていや、シルさん!?ヴェルフ!?」
目まぐるしく変わるシーンにベルは混乱しつつも見慣れた顔の仲間達がポーズを取ったり自分が覚えのない踊りをしていたりと中々カオスな感覚を覚えた。
そして、opが終わり、本編に入る。始まったのはダンまちの八話。
ベルの初めての
『......ほあぁ!?』
「......ほあぁ!?」
本日3度目の紅潮をかますベル。アニメと寸分たがわずセリフをなぞるベル。端末にはアイズに膝枕されるベルが写っていた。
(これは恥ずかしすぎるっ!!!)
この後に起こった出来事を思い出し、急いで先に飛ばすとちょうどミノタウロス戦の初めの所で止まった。
『ーーーこの、譲れない想いのために。僕は今日、初めて冒険をする』
『アイズ・ヴァレンシュタインに助けられる訳にはいかないんだっ!!!』
息を飲む。
初めての冒険の時の決意。
あの金色に追いつくために、近づくために、
どうしようもないくらい無様な戦い方。
今、映像で見たからこそ分かる。
ベートさんからもそう言われても仕方のないことだと思う。
この頃は大剣も十分に扱うことができなかった。
それを食い入るように見る。
何故か人を惹きつけるような何かがそれにはあった。きっと、
細腕に似合わぬ男を語るその男らしさからなのだろう。
ーーーーー
ーーー
ー
「......」
見終わったあと、僕はなんとも言えない気持ちになっていた。『英雄になりたい』という英雄願望までもが晒されてしまった。
しかし、逆に自分がどんなことを目指しているのかということが分かった。
英雄、そう呼ばれる程の高みに上がらなければあの人には釣り合わない。
ベートさんの
『雑魚にアイズ・ヴァレンシュタインは釣り合わねぇ!』
という言葉が思い出される。
「あの人に届くために......」
決意を新たにしたベルであった。
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「おーいベルきゅ......え?もう読み終わったのかい?そんなに私が行ってから時間経ってないと思うんだけども......」
「はい。ブライト博士、書類ありがとうございました......本当にいるんですよね?」
「うん。実在してなければベルきゅんはここにいないさ。間違い無く存在するよ。それよりも......私はベッドで悶絶するベルきゅんが見たかったんだけどなぁ......」
「あはは......」
悔恨の極みと言った風な表情を浮かべるブライト博士と苦笑するベル。
「ところでーーー今は小説を読んでるのかい?」
「はい!アイスヴァインさんから借りた本なんですけど本当に面白くて!」
ここが面白いと熱弁するベルを微笑ましく見るブライト博士。そして、ドアの隙間から見たことのないブライト博士の表情を見てカタカタ震えるアイスヴァイン。
「あ、アイスヴァインさん。どうしたんですかそんなところで?」
「ん?なんだ?来てたのかい?」
ビクリと扉の向こうで肩が跳ねるアイスヴァイン。
「い、いやー。ベルが寝てたら悪いなーと思いましてー」
自分でも苦しいと思うような言い訳だが、案外2人にはそれでも通じたようだ。
「大丈夫ですよ。起きてますから......というか正直この本のシリーズ全部読むまで寝れる気がしないです!」
「それは良くないぞ、ベルきゅん!寝不足は肌荒れ、ストレスの増加、集中力の低下などを引き起こすんだ!」
「1番このサイト内で無駄に夜更かししてる貴方が言いますかね」
「RPGのLv上げは無駄じゃない!精神統一のために必要なんだ!」
「精神統一したいんなら『太平洋の嵐』とかやってればいいじゃないですか!」
「そこでクソゲー出すかな?」
ギャーギャーと喚く2人を見ながら自分の体の調子を確かめる。
(何とか動けるぐらいかな......?)
幾つか相手にペナルティがあったとはいえ勝てたのはほぼ奇跡だったと思ったベル。
「お前ら何で病室で騒いでんだ......」
「おっ、コン!こいつキノコの山派なんだぜ......信じられるか......?」
「コンドラキ博士!もちろんタケノコの里派なんて言う邪教じゃないですよね?」
「いや、知らねぇよ......俺は小枝派だし」
ピキリと空気にヒビが入る。
「これは......」
「戦争......ですね」
「いや、知らんがな」
「えぇ......」
ブライト博士、アイスヴァイン、コンドラキ博士、ベルの順でこの状況に様々な反応が起きる。
「「ベル(きゅん)は何派ですか(なんだい)!?」」
「え、えーと僕は......」
「「......」」
「お前らアホか」
「「痛ぁ!?」」
「何でキノコの山もタケノコの里も、というかチョコすら知ってるか怪しいようなやつに何派か聞いてんだ」
2人から無言の圧力をかけられたところで救いの手(コンドラキ博士)が差し伸べられる。
(た、助かった......)
コンドラキ博士はどう見ても渋めのおっさんにしか見えないが今、この瞬間だけはベルにとって天使に見えていた。
「というかコンは何で来たの?」
「SCP-239-Aの様子を少し......な?」
要するにお見舞いに来てくれたということだろう。
「で?見舞いの品は?」
「お前病人じゃねぇし図々しすぎない?......まあ、いい。ほれ」
どさりとあらかた本がなくなったサイドテーブルの上に果物の詰め合わせが置かれる。
「おお、コンにしては珍しくまともなものだ」
「じゃあお前は何持って来たんだよ?」
「SCPの書類」
「は......?嘘だろ?」
「いや、マジ。そこにあるじゃん」
「......」
額を抑えて天を仰ぐコンドラキ博士とニコニコ顔のブライト博士。そして、冷や汗を流すベルとアイスヴァイン。
最終的にコンドラキ博士がブライト博士を捕まえようとして、少女をおっさんが追いかけるという社会的に死を迎えそうな絵面が出来上がった。
ベル: クソトカゲと顔見たやつ絶対殺すマンの書類を読んで滅茶苦茶ビビった。
ブライト博士: タケノコ派。
アイスヴァイン: キノコ派。
コンドラキ博士: 小枝派。
ちなみに私は□□□派です。過激派ではないです。
あとこれ原作: SCP財団の方がいいですかね?