英雄志望の白兎は財団に収容されたそうですよ? 作:くまもんち
あの後、僕は部屋に案内された。実際は『小さな魔女』の現実改変能力があれば直ぐに帰すことが出来るらしいが、彼女は『魔女』だ。魔法陣の構築だの触媒だのの準備で時間がかかるらしい。なので、その間過ごす部屋として与えられた部屋らしい。
「ふぅ......」
僕は与えられた部屋のベッドに横になっていた。オラリオの自室よりも豪華なくらいの部屋だ。様々な観葉植物やベッド、壁には月に向かってジャンプしている兎。机とその上には、デフォルメされた兎の置物......。
なんか兎グッズ多くない?
......まあ、それはさておき、
「なんか今日は色んなことがあったなぁ......」
ダンジョン入って、未発見領域入って、召喚されて、ピザ食べて、自分がーーー物語の人物って知ってーーー
(ああああぁぁ!!!考えたら恥ずかしくなってきた!!!)
この話題は地雷だったとばかりにベッドを転がるベル。少し落ち着き、備え付けの時計を見ると、11時を示していた。
「早く寝よう......」
初めて寝る場所にも関わらず、オラリオの自室のベッドよりも圧倒的に質のいいベッドに包まれてあっさりと眠りに落ちてしまい、眠れるのか?という懸念は直ぐに彼方へと消え去った。
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朝、起きると着替えがないことに気づくが、クローゼットを開くと、中から通気性の良い黒の運動用の服のようなものが出てきたので、それを着る。
「やあ、おはよう!ベルきゅん!スポーティな格好も似合っていていいね!」
「あぁ......おはようございます。ブライト博......あれ?すみません。人違いでした」
朝、起きて部屋に置いてあった地図を頼りに、食堂まで移動しようとしていると、肩にてを置かれ、自分に向けられた独特な呼び方からブライト博士と判断するも、そこに居たのはだぼだぼの純白の白衣を着た白髪、赤眼のベルと容姿の似た人物がいた。
「人違いとは酷いじゃないか。ベルきゅん」
「でも......初対面......ですよね?」
「HAHAHA☆違うよ!私はブライト博士だよ!これはSCP-963の力さ!君とお揃いのアルビノにしてみたのさ!ところで、今日は早いね?」
低血圧と言う言葉なんぞ辞書に存在しないとばかりに早朝からハイテンションでベルに話かけるブライト博士を名乗る少女。
「SCPって本当なんなんですか!?」
「まあ、それがよく分かってないから収容されるんだよね。あ、本題を忘れるとこだった。後で第3実験室まで来てね」
とてつもなく昨日と比べると違和感のある可愛らしい声でベルに本題を告げるブライト博士。そして、だぼだぼの白衣の袖を振り回しながら食堂の方へと突っ走って行ってしまった。
「自由な人だなぁ......ま、いいか。僕も食堂いこっと」
だんだん順応してきたベルであった。
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辿り着いた食堂はかなり広く、ざっと500人以上は入れそうだった。食堂に入った瞬間に色々な視線に晒され、少し気圧されるが、オラリオでいつも感じていた配膳カウンターで何の料理を食べるのか迷っていた。オラリオで見たことのあるものを食べるべきか、
「いやいや。冒険するとこって絶対にそこじゃない気がする。いや、でも普通に美味しそうだしなぁ......」
最終的に譲歩案として、オラリオで見たことはないが、極東にあるという話は聞いたことのある『和食』を選んだ。
結果、ベルの好奇心と食欲を十分に満たすことが出来た。納豆や、味噌汁、鮭の塩焼き、そして白米と純正日本人なら大喜びのメニューだが、ベルの口にも合ったようだった。
「えーと......確か第3実験室だっけ......」
食堂から廊下を歩きながら移動する。が、このサイトは比較的危険度の低いSCPオブジェクトが収容されているとはいえ、SCPを収容する施設には変わりないので、小さな迷路のような作りになっている。ダンジョンの中を歩くのが仕事の冒険者を惑わす程にその迷路は入り組んでいた。
「......どうしよう。困ったなぁ......」
「ふふふ......何かお困りかな?」
「?」
なんか妙に違和感のある笑い声を上げながら近づいて来るゴスロリ姿の美少女。しっとりとした黒髪に、赤色の目と青色の目のオッドアイ。実際は赤色の目はカラーコンタクトだが。
「ええと......またブライト博士ですか?」
「違いますよ!あんな人と一緒にしないでくださ......我をあのような者と一緒にするな。ほら、堕天使様もそう言ってますよ!」
「すみま......せん?」
未だにブライト博士がサイコパスではあるが良識はあると思っているベル。その良識が向けられるのは自分だけだと気付かずに。
「それよりも堕天使って?」
「えぇ!聞いて驚くがいいです!我の前世は『奈落の悪鬼、黒き翼のアイスヴァイン』なんです!14歳になった我の体で目覚めたんですよ!」
誰もが通る道、誰もが振り返りたくないと思う道、それを今、彼女は歩いている。思春期特有の病気、『厨二病』である。それを見て、ベルはーーー
「か、格好いい!」
ベル・クラネル、年齢14歳。未だ、彼女と同じく多感な年頃である。そうでなくとも、ここと
「ふふふ......中々分かってるじゃないですか。あなたの名前を聞いておきましょう」
「ベル。ベル・クラネルです」
「そうか......ベル、今日より汝に
「滅茶苦茶格好いい......!二つ名これが良かったなぁ......」
厨二臭い二つ名を与えられて喜ぶベル。いい名前を付けたとご満悦のアイスヴァイン。はたから見たらどう見えるのだろうか。
「あれ......なんか忘れてるような......まあ、いいか」
厨二トークを続ける2人。
その背後には麻酔銃を持った謎のアルビノの少女の姿があったという。
『奈落の悪鬼、漆黒の翼のアイスヴァイン』http://ja.scp-wiki.net/scp-014-jp-j
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アイスヴァイン。アイス・ヴァイン。......アイズ・ヴァレンシュタイン......。
ははっ☆(オチに困った)