前世扇風機だった俺は売れ残り処分されたと思ったら転生しました 作:ぽぽろ
ぽぽろと申します。
この度オリジナル小説にも手を出しました。
思いつきですので、投稿頻度は不定期になると思います。
ウィ~~ン。となんの為か分からないビニールの紐を付けられ、それを鯉のぼりの様にパタパタとさせ、今日も一日ホームセンターの扇風機売り場で、そうは言っても本当の端っこで稼働している。
おっと。名乗り忘れたな。
どうも、扇風機です。
詳しく言うならば、型番DIP-69だ。
色は黒。形などは今とはあんまり変わらないだろう。あっちは少しスタイリッシュだけど。
このホームセンターで6年以上売れ残っている可哀想な扇風機。
周りには、最新型のスタイリッシュで電気をあまり使わない扇風機ばっかりだ。
なぜ俺がずっとここに置かれてるかって?
店員さん曰く、移動するのが面倒臭い、今は夏でサボる時に涼めるから。らしい…
ここで、俺はずっと売れ残り、周りの新しい扇風機が売れていくのをよそ目に今日も一日左右に首を振り、ビニールテープをパタパタとさせる。
しかし、そんな6年にも続いた俺の売れ残り生活は、今日で終わりを告げる。
売れたのではない。
それなら、どれだけ良かった事か。
処分される事になったのだ。
普通に考えれば今まで置いてくれていたのが奇跡だ。
最新と比べると音は大きいのでうるさいし、電気代も大きい。
世は常に新しい物に目を向け、古い物には目もくれず処分される運命だ。
俺がもし、壺だったなら古くなっても骨董品として価値がある物になっていくだろう。
でも聞いた事あるだろうか?
扇風機は、古い物がいいと言う人を。
お年寄りでも、流石に最新式を買う。
安いし。
店員さんがやって来て、俺は箱ごと運ばれて、大きなトラックに他の色々な箱と共に詰め込まれていく。
人間とはなんて、自分勝手なのだろうか?
作るだけ作っといて、必要なくなったらすぐに捨てる。
使われずに捨てられる物の気持ちを考えた事が人間はあるのか!
そして、ガタガタと揺られながら今までの人生を振り返る。
今まで色々あったなぁ…
いや…ずっと同じ場所で稼働してただけだわ。
何も思い出は無かったわ。
思い出の捏造ダメ。絶対
何なら黒歴史が多い。
数多ある内の黒歴史を1つ上げるとするならば…
一時期、何故か女子を口説く練習をしていた。
暇だったから。
俺が生み出した誰でも落とせる扇風機告白ゼリフは
「俺の恋のスイッチ強まで、入っちゃったぜ?」
だ。かっこいいだろぉ?
エアコンに聞かれてて恥ずかしい思いしたんだけどさ。
* * *
車に揺られる事1時間くらい。
キキッ!というブレーキ音からゴミ処理場に着いたのだろう。
箱の中に入れられて、見えないが浮遊感があるので今はきっと中の方へ運ばれているのだろう。
ドサッと何かに置かれやっと、上の蓋が外され光が入ってくる。
目の前には轟々と大きな火柱を上げ、こちらを燃やさんと待っている焼却口
俺は死の恐怖で震え上がった。
そして、目を瞑り死を受けいれた…
最後に考えてた事は、
「何で俺扇風機なのに、喋れてるんだろう…」
という非常に呑気な事だった
目の前には真っ暗な世界が広がる
いや、目つぶってたからだわ。
目を開ける事にしよう。
天国ってもんが実際にあるのかどうか、確かめてやろう。
そうしてゆっくり、ゆっくりと目を開けると目の前には広がる光景は
前とは違った世界だった…
どうやら、俺はこの世界で生きていかなきゃ行けないらしい…
これからこの作品をよろしくお願いします!