BanG Dream! S.S. - 少女たちとの生活 -   作:津梨つな

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だらだらぐだぐだするものが書けたらと。
筆休みのような作品を目指します。


【大和麻弥・青葉モカ】不思議と眼鏡と唐変木
2019/09/02 文化の祭りとSandwiche


 

 

 

「ねーねー。早く次のひとくち食べさせてよー。」

 

「まぁ待て青葉、まず口の中無くせ。」

 

「いつ見ても凄い食欲っすねぇ…。」

 

「…そういうお前は俺の手を塞ぐのをやめろ。」

 

 

 

昼休み。ここは、多くの生徒が休み時間に利用する羽丘学園高等部の中庭。

木陰に座った俺は、両側をそれぞれ一人ずつの女子生徒に詰められて、およそ昼食時とは思えない激務に追われている。

一夫多妻だの少数精鋭ハーレム(笑)だの、同級の男に揶揄われる事もすっかり慣れたが、ここ数年で共学化された影響か男子が少ないんだ。…仕方ないだろ。

 

 

 

「ねーねーせんぱーい。…あーーーん。」

 

「…悪い、俺の片手はすっかり汚されてしまってな。千切ってやれそうにないから、そのまま食ってくれないか。」

 

 

 

左側で雛鳥のように口を開け、次の一欠(エサ)を待っているこの後輩は青葉モカ。

名前は片仮名だが日本人だ。…多分。

特徴と言っては何だが、とにかく食欲がすごい。言われるがままに餌を与え続けると、永遠にごちそうさまを聞けないまま寿命が来てしまいそうなほどだ。

今も待ちきれないためか、ロールパンを持った俺の左手を持って食事に勤しんでいる。…いや、そうするなら自分で持って食えよ。

 

 

 

「食欲もそうっすけど、相変わらずべったりですなぁ。」

 

「なあ麻弥。…俺もこのあと授業受けるわけだけど…それ続ける?」

 

「えぇー。だって、お手伝いしてくれるって言ったじゃないっすかー。」

 

 

 

右側で俺の右手にベタベタとマニキュアを塗りたくっているのは、クラスメイトの大和麻弥。

最近気付いたんだが、上から読んでも下から読んでも「やまとまや」になるんだ。すごくね。親酔っ払って名付けたんかな。…そんなアイドルがいたような…。

あ、アイドルで思い出したんだが、こいつこんな調子で現役のアイドルらしい。正式に言うとアイドルバンド…しかもドラム担当だ。

人は見掛けに拠らないとはよく言ったもんだよなぁ。

そんな彼女が俺の右手を前衛的アートに仕上げている理由は、『足りない女子力を高める一環としてネイルアートを習得する』為らしい。

 

 

 

「…自分のでやれよ。」

 

「えっ?何か言ったっすか?」

 

「…別に。」

 

「フヘヘヘ、じゃあ大人しくしてて欲しいっす。」

 

 

 

二人とも何がきっかけで連むようになったかまるで覚えちゃいないが、気づけば学園生活の殆どをこの二人と過ごしている気がする。

こいつらも、何が楽しくて俺なんかと一緒にいるのかわかんないけど…。

 

 

 

「せんぱーい。…なくなっちゃったよー。」

 

「指を舐めるんじゃない。…これで買った分全部だろ?まだ食い足りないのか?」

 

「うーん……………………腹二分?」

 

「ダストシュートみたいだなお前。」

 

 

 

あーあー…左手はべっちょべちょだ。おまけに右手はべったべただしな。

ところで、そろそろ文化祭があるわけだけど、うちのクラスは全く出し物が決まっていない。…ふと気になったので青葉に訊いてみよう。

 

 

 

「お前のクラスってさ。何やんの?」

 

「ぅ?……勉強??」

 

「勉強?変わった出し物だな。」

 

「あー、文化祭のことかぁー。」

 

「なんだと思ったんっすかね。」

 

「さあな、青葉だし。」

 

「…うちのクラスはぁー、メイド喫茶ぁ?をやるみたいなんですよぉー。」

 

「……ベタだな。」

 

「漫画みたいっすねぇ。」

 

 

 

よくありがちなアニメや漫画の文化祭みたいになりそうだな。別にメイド服なんかこれっぽっちも興味はないが。

うちのクラスは去年クソ真面目に展示なぞやっていたらしいが…。本当に参加しなくてよかった。

 

 

 

「○○さん、今年は参加するっすかぁ?」

 

「…うーん、そうだなぁ…。」

 

 

 

よっぽどのことでもなければ時間勿体無いしなぁ。

 

 

 

「何か、心躍るような出し物になるんなら考えるさ。…それか面白そうなイベントでもあるなら。」

 

「…地味に難しいこと言いますよねぇ…。」

 

「あ、じゃーあー。…モカちゃんと一緒に、文化祭散策しませんかぁ??」

 

 

 

これまた漫画かアニメみたいな展開だな。つか、青葉みたいに外見だけはいいやつなら他に喜ぶ奴も居そうなのに。

…そもそも、

 

 

 

「お前、幼馴染連中と回るんじゃないのか?」

 

「んー??……うーん、せんぱいとは2年しか一緒にいられないでしょー?

 3年になったらみんなと回ろっかなーって。」

 

「ふーん…。…彼氏とでも行けよ。」

 

「えー?モカちゃんじゃ不満ですかぁー。」

 

「そ、それじゃジブンが…」

 

「麻弥かぁ……。いつも一緒に居るしなぁ…。」

 

 

 

それじゃあイマイチ特別感?が無いんだよな。……まぁ、まだ当日までは時間もあるからどうでもいいや。

…きっと今年も参加しないんだろうな。

ぶー、と音が聞こえてきそうな顔で睨みつけてくる二人を見ながら、漠然とそんなことを考えた。

 

 

 




またしても新シリーズです。
書きにくい二人。




<今回の設定>

○○:高校2年生。無気力だが面倒見はいい。
   こんなに羨ましい状況なのに、ただただ鬱陶しく思っている。

モカ:かわいい。めっちゃ食う。甘えんぼ。鳴き声は「うなー。」

麻弥:メガネを外すと美人。メガネをかけるとメカニック。
   同級生にも敬語。異性とかにはあまり興味がないよう。
   怒ると怖い。

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