BanG Dream! S.S. - 少女たちとの生活 - 作:津梨つな
「ひょっほほほほほ。」
「な、なに!?」
「あぁすまぬまりなタソ。またもミッションを達成してしまってな。」
「……よかったね。」
ソシャゲとは一日にしてならず。万里の長城の如き堅実な気の長さと持ち様でただ只管に耐える事こそ肝要なのだ。
コツコツと毎日の"お仕事"を熟していき、また貯まったわけだ。十連分のゲーム内通貨が。
最近ゲームに熱中しているせいか、リアル嫁こと愛しのまりなタソがご機嫌ナナメ気味だがそれもまた一興。拗ねて頬を膨らます様を眺めながら決戦のボタンをタップするのだった。
「もー……○○くんは、私とゲームとどっちが大切なのー?」
「ふっ…まだまだ若いなまりなタソ。全くベクトルの違う愛を天秤に掛けるなどという愚かな行為…そこに意味は、あるかな?ジッサイ。フヒッ」
「そうかもしれないけどさぁ…部屋中キャラクターのポスターとかフィギュアばっかりだし、私の事好きじゃないのかなーって心配になっちゃうよぅ…。」
「…………さぁて、ガチャの時間ですぞー!!」
「ちょ、む、無視!?」
ぱぁぁぁっと画面が明るくなり暗転。まだまりなタソが脇でぶつぶつ言っているのでスマホ本体の音量を上げることで対処する。
次々と出てくるキャラクター達一人一人にじっくりねっとりと目を通し、今日の妄想材料を探す。…ンホホ、中々に悪くないラインナップではござらんか。
「ほっほーぅ。」
「…○○くんのばか、もう知らない。」
「まりなタソ!まりなタソォ!」
「…ふんだ。」
「……拗ねる嫁が今日も可愛い件について。」
「ふぇっ!?ちょ、ちょっと!やだもう!……可愛いって、わたしのこと?」
「あぁ。(精一杯のイケボ)」
「はぅ……!」
月島まりな、■■歳。…コントロールが容易な嫁である。
「それじゃあまりなタソ、拙者はいつものルーティーンを嗜む故、美味しい晩御飯をお願いしても良いかな?」
「…う、うんっ!…えへへ、今日は何食べたぁい?」
「………まりなタソの作る料理なら全てが至高…愛情たっぷりメニューお任せで宜しく頼むでござるよ。」
「えへへっ、えへへへへっ!私、頑張るねっ!!」
………元気に駆けだしていってしまった。ここまでチョロチョロしいと却って不安であるぞ嫁よ。
まあいい。これで安心して妄想の世界に浸れるというものだ。さぁ二次嫁の元へ、レッツ・ダイヴと洒落込もうじゃないか。
**
「リサってさ、ぶっちゃけギャルなの?」
「はぁ?」
ただでさえデカい目をまん丸にして訊き返してくる。何かおかしい事を言っただろうか。目の前の彼女…
赤茶の髪とピアスやらネックレスやらのアクセサリーも相まって、語彙力の残念な自分には"ギャル"とかいう時代すら感じるワードでしか彼女を表現できなかったのだ。
「だってなんかほら、すげえその…」
「……不真面目感、とか?」
「ああいや、そうは言ってないけども。」
「じゃあなにさー。」
「…エロ、さ?」
「……え、え、ちょっと待って。○○ってソッチ系?」
「そっちってどっち。」
「ギャルって簡単にやらせてくれそう…とか言っちゃう、気色悪いオジサンみたいな…」
失礼な。
自分の体を抱き締めるようなポーズを取りつつ、椅子を引いて距離を取られる。あ、これ傷つくわ。
「そんなんじゃないが?失敬だな。」
「ふーん?…そういうのは興味ない感じ?」
「………。」
「あはははっ!否定しないんだ!」
「そりゃだって、男の子だもの…。」
「えーキモー。」
う"っ。
彼女が罵倒の言葉を発する度にグサグサと見えない何かが自分の体を貫いていくのが分かる。生憎とそっちの趣味はない為、純粋に心が痛い。
何か反撃でもかましてやらないと、ただ自分が惨めな変態にでもなってしまったかのような、悲しい気持ちで別れることになりそうだった。
「くっ……そ、そういうリサぴょんはどうなんだね。」
「え"、何その呼び方。」
「思いついた。」
「んー、やめて欲しいかなー。キモチワルイし。」
「また…!」
「で、どうって何が?」
「だからその…エロい事とか、興味あんじゃねえの。」
「まっさか!ギャルがみんなエロいと思ったら大間違いだよー?」
「どうだか。リサはムッツリそうだからな。」
「無い無い…本当に、人並み程度にしかないから。」
「……。」
はて。人並み程度とは。
…全くないと言い切る訳でもない辺り、彼女らしさが見えるというか何と言うか…ここはリサの言う人並みレベルについて問い詰めておくか。
「因みに人並みってどれくらいよ?一応おいどんも人な訳だけども。」
「えぁ?…うーん、そうだにゃぁ……。」
暫し考え込む。
「○○が人かどうかは置いとくとして。」
「うぉい。」
「人並みって難しいねぇ。」
「………言えよ。」
「ん?」
「人並み云々を判定してやるから、リサちょっちょが興味あるエロい事、言ってみろっての。」
「……………………………なに?そういう性癖なの?」
「散々溜めて言う事かそれが。」
心配そうに顔を覗き込むんじゃない。…ああもう、憐れんだ目で見るな。
「じゃあ○○は何に興味がある訳?」
「儂?」
「ん。健全な男の子なら、多少は興味もあるよね~?」
「……………。」
「ほらほらー、お姉さんに話してみなー?」
「同い年じゃん。」
「にっひひー、いいからいいから。」
くそぅ、調子乗りやがって。見とけよ。
「リサ、今日さ…ガッツリ胸元空いてんじゃん。」
「ッ…そ、そうだね。」
「……正直デカいとか小さいとかわかんないけど、その……うっすら出来てる谷間っつーの?…それは、気になる。」
「~~~~~~!!!……ど、どこ見てんのさぁ…ばか。」
「胸。」
「い、言わなくていいっての!」
「リサっぺが言えって言ったんだろうに。」
「も、もういい!もういい!!○○がエッチなのはわかったし!」
まさかこんなに早々とエッチ認定されるとは。思ったよりも耐性がなさそうだ。
自分の中で、リサのイメージが"ギャル"から離れていく気がした。いやでも、そもそもそんなにガバーっと胸元空けてるのはギャルの証拠なんじゃ…
「…で?リサの興味あるエロいことって?」
「う…………言わなきゃダメ、だよね?」
「拙者は言わされたかんな。」
「……………あ、あははははっ!アタシ用事思い出したからこの辺で…」
「リサ。」
「……んもう…すっごい意地悪じゃん…。」
どっちがだ。こちとら「友人の胸の谷間が気になっております」ってカミングアウトさせられたんだぞ。
「言って。」
「…………そ、その……笑わない?」
「内容による。」
「…………………。」
「……?」
「…………き、キスって…どんな味なのかな……っていう……」
「…………。」
**
「ふぉぉぉおお!?こ、このギャップ!まさに神!神の如き恥じらいですぞぉ!!」
辿り着いてしまった、境地に。
一見手慣れてそうなギャルギャルしいあの子が実は途轍もなく清純な乙女で――と、擦りに擦られ使い古された手法だがまさに王道。王たる道故に民衆の心を掴んで離さない…つまりは至高!
余裕たっぷりな表情が限界まで追い詰められ、沸騰せんばかりに染まった真っ赤な顔を俯かせて、精一杯振り絞った様な震え声にて囁かれる純な気持ちは淫靡な呪文の様…!
「ぬぁぁああああああ!!!!!!これはっ!これはまさに!!当たり!!!神引きですぞぉぉお!!!」
今日も今日とて素敵な出会いに感謝を、妄想に敬意を。
「○○くんっ!晩御飯できたよ~!」
「おぉリs……まりなタソ。」
「栗鼠?」
「ああいや、こっちの話でござる。」
「そ?…今日はねえ、すっごく張り切って作っちゃったからねぇ…」
「時にまりなタソ。」
「ふぇ?」
「…まりなタソってえっちぃ事には興味津々?」
「な、ななな…急に何言ってるの!」
「完全なる興味本位だお。」
「えぇー?……うーん、でも、言っても大人だからね。そろそろアブノーマルなプレイも」
「なるほど!いやぁ何だか無性にお腹が空いてきたなぁ!」
「???…じゃあ、早く行こ?」
……現実とは非情な物である。
まりなさんは手練れ
<今回の設定更新>
○○:自重しない方向。
以外にも清純派や純情好き。
リサ?:とってもいい子。少し前まで手を繋ぐことに憧れがあったらしいが、
いざ実践することを考えると心臓がおかしくなってしまうため別の
ことを考えるようにしたそうな。
まりな:ハード。