BanG Dream! S.S. - 少女たちとの生活 -   作:津梨つな

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2019/07/26 ヘアースタイラー有咲

 

 

 

「有咲ってさ、ずっとその髪型じゃん?」

 

「あぁ?…あぁ、まあ。」

 

「飽きない?」

 

 

 

暫く一緒の時間を過ごしての純粋な興味というか疑問というか。

ふわふわしてて可愛いんだけど、それ以外見たことないなーと。

 

 

 

「は?飽きたわけ?」

 

「そうじゃないけどよ…怒んなよ。」

 

「別に怒ってないし。

 だってさ、一番慣れてる状態が一番楽じゃん?当然っちゃ当然だけど。」

 

「ふーん…そういうもんかね。」

 

「不満かよ。」

 

「不満とかじゃなくて、色んな髪型も見てみたいなって思っただけだよ。

 なんでも似合いそうだし。」

 

「…寝るときとか、流石に下ろしてるけど気づいてないのか。」

 

「お前より先に寝てお前より後に起きる俺が気づく訳無いだろう。」

 

「………チッ。」

 

 

 

舌打ちすんな。

 

 

 

「つーわけで今日は、色々髪型をいじってみようと思う。」

 

 

 

言いながらシュシュを外す。

口ではなんだかんだ文句を言いつつも抵抗はしないようだ。

 

 

 

「随分勝手だな…つか外す前に言え。」

 

「あ、ちなみに、俺解くのはできるけどセットはできないからそこは任せたぞ。」

 

「めんどくせえ。」

 

「いーじゃんか。色んな面を見て全部の有咲を好きになりたいんだ。」

 

「うるせえ、きめえ、死ね。」

 

「ひでえ。」

 

 

 

**

 

 

 

というわけで色々持ってきたぞ。

雑誌やら動画やらブラウザやら、いくらでも調べられる環境だ。

 

 

 

「気合入れすぎじゃね。」

 

「まあいいからいいから。…その下ろしてる状態も中々いいなぁ。」

 

「これは別に珍しくないだろ…。」

 

 

 

それはそうと、今日提案する髪型はある程度チョイスはしてある。

まぁ、ざっと目を通した時に気になっていたことでもあるんだが…

 

 

 

「あのさ、芸能人とか参考にしようとしたんだけどさ。

 …パスパレ出過ぎじゃね。」

 

「んぁ?…あぁ、今人気のアイドルバンドだしな。そりゃ見かける機会も多いでしょーよ。」

 

「ふーん…。じゃあ、今日はこれにしよう。」

 

「…パスパレ?」

 

「そう。みんな可愛いし。」

 

「でもさ、言うほど特徴的な髪型無いだろ。彩先輩なんて同じツインテールだし。」

 

「…お前、彩と知り合いなの?」

 

「一応、学校の先輩なんだ。…お前こそ、呼び捨てって。」

 

「変かよ。」

 

「いや、イキったファンみてえだなと。」

 

「言い方!」

 

「だってさ…」

 

「別に、妹のこと呼び捨てってそんなおかしくねえだろ。」

 

「…は?」

 

「あれ、言ってなかったっけ。パスパレの丸山彩って、俺の妹だよ。」

 

 

 

そういえば言ってなかったかもしれない。

訊かれることもなかったしな。

 

 

 

「まじかよ…似てねー…。」

 

「兄の俺が言うのもアレだけど、可愛い顔してるもんな。」

 

「きも」

 

「はいはい、それで、髪型どうする?」

 

「んー、雑誌とかもいいけど、定番系とかでもいいんじゃないか?ポニテとかなら普段もたまにするし。」

 

「おk、じゃあまずポニテから行こう。」

 

 

 

慣れた手つきで髪をまとめ、高い位置で括る。

 

 

 

「あぁなるほど、上の方のタイプか。」

 

「まぁ、最近伸びてきてるのもあって、低い位置だと邪魔くさいんだよ。」

 

「ほーん…。…おぉ、これもなかなかそそるなぁ。」

 

「…お気に召しましたか?」

 

「うんうん、写真撮らせてくれ。」

 

 

 

スマホのメモリにも保存しておかなくては。

…しれっとピースしているあたり、案外乗り気なのかもしれない。

 

 

 

「じゃ、じゃあ次は」

 

「おい解くのはえーな。」

 

「さっきのパスパレの話じゃないけど、三つ編みとか…?」

 

「あぁ、イブちゃんか。あの子も独特の雰囲気で可愛いよなぁ。」

 

「チッ…。いいから、今は髪型の話だろ?」

 

「そうだった…。三つ編みってさ、見た感じ面倒そうなイメージなんだけど。

 やる側としてはどうなんだ?」

 

「んー、私は普段やらないからなぁ…。慣れてないとやっぱ大変なんじゃね?」

 

「そういうもんか…。って話してる間にどんどん出来上がってくな。」

 

 

 

因みにイブちゃんはプライベートでも彩と仲がいいらしく、俺も2度ほど会ったことがある。

ふわふわを自称している彩よりふわふわしていて可愛らしい子だった。

あの子に『お兄さん』って呼ばれるたびに擽ったい気持ちになるんだよな…。

 

 

 

「おい、聞いてんのか。できたぞ。」

 

「おぉ、すまん。……ほほう、頭良さそうに見えるぞ。」

 

「お前よりは頭いいと思うんだが。」

 

「読書とかしそうな感じ。」

 

「私するじゃん、読書。」

 

「電子書籍じゃん。」

 

「まぁ…。」

 

 

 

読書っつったらこう、やっぱ実物の本を読んで欲しい感あるよな。

ハードカバーとかもう…。

 

 

 

**

 

 

 

その後も、サイドテールとかビシッとしたストレートロングとか、手間のかからない程度に変えて遊んだ。

どれも非常に似合っていて、やはりこういうのは素材が大事なんだと改めて実感できたよ。

 

 

 

「いやー満足満足…。お疲れだなぁ有咲。」

 

「あー…面倒くさかった…。

 もう一生いつものでいい…。」

 

「そんなこと言うなよ有咲ぁ、全部可愛かったぞぉ。」

 

「なんだよその気色悪い言い方…。」

 

 

 

嘘は言ってないんだけどな。

サイドテールとか、すっげえ新鮮で気に入ったんだけどなぁ…。

 

 

 

「あ!」

 

「…なに。」

 

「そういえば、髪下ろしてる有咲は頻繁に見てたわ。」

 

「そりゃそうでしょーよ。」

 

「いつも風呂入ってる時は下ろしてるもんな?」

 

「…あぁ、そうだけど。」

 

 

 

そう考えると、頭洗ってる時の肌に張り付く髪が一番好きかも知れない。

 

 

 

 




リサ姉でやるか迷った話。




<今回の設定更新>

○○:実はパスパレと交流がある。
   彩の兄であることは別に隠してないが訊かれないと答えない。

有咲:最近は主人公の家でしか入浴していない気がする。
   ほぼこっちで過ごしていればそうなるか。

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