BanG Dream! S.S. - 少女たちとの生活 -   作:津梨つな

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2019/07/15 帰省ED

 

 

 

3日間の帰省が終わり(と言っても内二日は実質移動日のようなものだが)、ようやく我が家へと帰還した。

無事に日菜たんも自宅まで送り届けたし、全く休めなかった帰省中の出来事でも振り返ってみようかと思う。

 

 

 

「因みに、日菜たんの双子のお姉さんも…紗夜さんって言うらしいんだけど大変素敵な方だった。

 日菜たんに落ち着きと冷静さを持たせて、可愛さよりも美しさを与えたような…。大変眼福でした。」

 

 

 

あとラ〇ンで繋がった。

 

 

 

**

 

 

 

突然の大勢での訪問の後。

目を丸くする母親を尻目に、懐かしさすら感じる自室へ。

うーん、汚さも変わってないぞ。

 

 

 

「わ!わ!ここが〇〇くんの部屋??」

 

「そうだが…。あぁ、あまりあちこち弄らないでくれな。」

 

「…きったな。マジきったねぇ。」

 

「今の君の言葉遣いも大概だぞ。千聖。」

 

 

 

安い車での長旅で心が荒み切ったのか、階段を上がっているあたりから不機嫌な千聖。

あ、そうそう。あの一件の後、呼び名を下の名前にすることで手を打ってくれたんだよ。ちーちゃん様は。

 

 

 

「ふん、素が出ちゃってるだけよ。」

 

「隠しとけ。アイドルやろ自分。」

 

「ねね!今日はこの後どうするの?」

 

「うーん…とりあえず運転疲れたから一眠りして…」

 

「えー!?そんなのつまんないよーぅ。どこか出かけよ??」

 

「日菜…。君らアイドルなんだから、迂闊に外出歩けないだろ??

 高速道路の料金所でさえ凄い目で見られたんだから。」

 

「いーのいーの!あたし気にならないもーん。」

 

「俺が気になんの。」

 

 

 

日菜たん…いや、もういいか。日菜は自覚が少し足りないというか、自分の置かれている立場を理解できていない節がある。

これも、一ファンとして見ているだけでは気づけなかったところだし、マジ運命に感謝。アイラヴューマイデスティニー。

 

 

 

「…まぁた気色悪いこと考えてるでしょ?」

 

「うるさいぞちーちゃん。」

 

「なっ……」

 

「それじゃあ、君らは好きに遊んできて良いよ。俺はちょっとばかし寝る…。」

 

 

 

愛着のあるベッドに横たわる。

マットレス二段重ねのふっかふかカスタム。シーツは可愛いくまさんだ。

 

目を閉じるとすぐに、周りのぶーぶー文句を言う声も遠くなって…。

 

 

 

**

 

 

 

「……ヘェッッショォイ!!」

 

「わっ!」

 

 

 

ほんのり肌寒い空気に耐え切れず、盛大なくしゃみと共に目覚める。…あぁ、そういや実家に来たんだっけ。

それよりも、わっ!って誰の声だ…?

 

 

 

「〇〇くん、起きたの?寒かった?」

 

「彩、か…。」

 

 

 

部屋には他に誰もおらず、ピンクの従妹だけがそばに座っていた。

その驚いたポーズ、昭和くせえぞ。

 

 

 

「〇〇くん、すっごく気持ちよさそうだったよ。

 疲れ取れた??」

 

「…まあまあかな。ほかの二人は?」

 

「えっとね、日菜ちゃんはすぐどこかに行っちゃったからわからないけど、千聖ちゃんはさっきおばさんとお話ししてたよ。」

 

「母さんと…?」

 

「うん。〇〇くんがだらしないとか、偏ったものばかり食べてるとか報告してた。」

 

「げぇ…。」

 

「…後が怖いね。」

 

「なんなんだあいつ…。それで、彩はずっとここに居たのか?」

 

「うん、まあね。」

 

「退屈だったろ。居間の方でも外でも、遊びに行けばいいのに。」

 

「ううん、〇〇くんの寝顔観察してたらあっという間だったよ。」

 

 

 

そんな小っ恥ずかしい趣味は即刻辞めろ。

なんつーもん観察してんだ。

 

 

 

「さて、…今何時だ。」

 

「18時過ぎたとこ。」

 

「じゃあそろそろ飯か。」

 

「さっきおばさんがご飯って言ってた気がする。」

 

「行くか。」

 

 

 

晩飯は経験上ほぼ無いと言っても過言ではないくらいの量の寿司だった。

何人前用意したんだか知らないが、日菜がたくさん食うってことはわかった。…掃除機みたいだったな。

 

 

 

**

 

 

 

いくら展開が無茶苦茶とはいえ流石に同じ部屋で寝るようなことはなく、二日目の朝は無事に迎えられる。

今日も特に予定こそないが、適当にダラダラと過ごすつもりだ。たまに実家に帰省すると大体そんな感じだよな。

 

 

 

「だめよ。」

 

「…なにが。つか、何時から居たんだ。」

 

「つい今しがた来たところよ。

 それよりも、折角普段は居ないところに来たって言うのに、時間を無駄に潰すつもりなの?」

 

「そうは言ってねえだろ。」

 

「はぁ。口に出さなくても何となく察しがつきます。〇〇さん、分かりやすいから。」

 

「だからって人の頭を読むんじゃないよ。」

 

 

 

そんなところまで天才感出さんでよろし。

 

 

 

「で?…どこに行きたいんだ?」

 

「別に。ただ…誰かの田舎、地元って滅多に来ることもないし、その人ならではのエピソードとかもあるわけじゃない?

 今回は〇〇さんだからちょっとどうでもいいけど、それを聞きながら散歩っていうのも有意義かと思って。」

 

「失礼な事言われた気ぃするけど。」

 

「気のせいよ。」

 

「まぁいいか。要は徘徊に付き合えって事?それともデートのお誘い?」

 

「あなたとデートするくらいなら割り箸と結婚するほうが幾分かマシよね。」

 

「おい。」

 

「早く。日が暮れるじゃない。」

 

「…ほかの二人は?」

 

「さあ?呼んだら来るんじゃない?」

 

「そか。…どこにいるんだあいつら。」

 

「別に、誘わなくてもいいじゃない。」

 

「お前ホント何しに来たの。」

 

 

 

彩の為だの何だの言っていたのは何だったのか。

…あ、俺を遠ざけられるなら何でもいいのか。

 

 

 

「まあいいや。準備して行くから、下で待っててくれ。」

 

 

 

**

 

 

 

「…外出る時に限ってクソ暑いなおい。」

 

「いいじゃない。季節だもの。」

 

「そういうもんかね。」

 

 

 

道路が歪んで見える程の熱気が支配する、自然多めの田舎道を並んで歩く。

隣を見れば、真っ白なワンピースを身に纏い、俺の部屋から強奪したベースボールキャップを深めに被った千聖。

見た目だけなら完璧なんだよな。流石芸能人。

 

 

 

「知り合いに会ったら羨ましがられそうね。」

 

「そういうコト自分で言えちゃうハートってどうやって育てるの。」

 

「彩ちゃんに感謝なさいよ。」

 

「話を聞く耳は育ってないようだな。」

 

「私たち、恋人に見えたりするのかしら。」

 

「一人で喋ってる変人には見えると思うぞ。」

 

「あなたが?」

 

「お前だ!」

 

 

 

あぁ、アイドルと歩けるなんて少しでも浮かれていた俺が馬鹿だった…。

家でダラダラする方がよっぽどよかった。

見ろよこの顔。やってやったぜみたいに笑ってるけど…そんないたずらっ子だったか君。

 

 

 

「いじめ過ぎた?」

 

「あぁ、もう帰りたくなったぞ。」

 

「…悪かったわよ。ホントは、ちょっと二人で居たかっただけ。」

 

「はぁ?」

 

「そんな嫌そうな顔しないで…。」

 

 

 

言いながら腕を絡めてくる。

いや普通に暑いしやめて。

 

 

 

「…私にくっつかれるの…いや?」

 

「うん、暑いし。」

 

「…………。もうちょっと喜ぶとかないの?」

 

「何に対して?」

 

「…ばか。」

 

 

 

何が何やら。

スキンシップ取ってやったんだぞ喜べよとかそういう?

 

 

 

「…可愛くねえなぁ…。」

 

「なに?」

 

「なんでも…お、コンビニでも寄っていかね?暑くってよ。」

 

「久々にアイスとか食べたいわね。」

 

 

 

冷房の利いた店内へ。

果たして逃げたのは熱さからか、それとも千聖の捕縛からか。

 

 

 

「みんな美味しそうね。」

 

「奢らんぞ。」

 

「まだ何も言ってないでしょう。」

 

「そうか。」

 

「…お財布を忘れたわ。」

 

「……チッ。…好きなの選べ。」

 

「あら?優しいのね。」

 

 

 

それ見たことか!!

 

 

 

**

 

 

 

結局暑さに負けた俺たちは只々アイスを貪って引き返してきたのだった。

 

帰ってくるなり母親とその他二名に捕まり晩飯の買い出しに連行されたのはまた別のお話。

因みに晩飯は鍋だった。クソ暑いってのに!!

 

 

 

**

 

 

 

ほぼ徹夜明けの最終日。つまりは今日だな。

正午前くらいに体を揺すられ、うたた寝していたのだと気づく。目の前には彩の緩んだ顔。

 

 

 

「その趣味悪い観察癖をなんとかしないとな。」

 

「酷い言われよう…。」

 

 

 

今日は自宅へ帰る前に日菜を送り届けてやる必要もある為、少し早めの出発をと計画していたのだが。

如何せん寝不足の頭では重い腰を上げるだけの命令が下せない。

…いや、重い原因は太腿にかかる重みにもあるか。丁度人の半身ほどの…。

 

 

 

「彩。」

 

「なに??」

 

「俺が動き出せないだろうが。」

 

「じゃあもうちょっと寝るっていうのは如何でしょう。」

 

「起こしといて何を抜かすかこの小娘が。」

 

「しーらなーい。」

 

 

 

まぁもう少しごろごろするのもいいか。

思い返してみれば、昨日は丸一日千聖と過ごしていたし、あまり彩と一緒に過ごす時間は取れていなかった気がする。

一緒にいるときは大体俺が寝ているし…。あ、出発前から一番そわついてたのは彩だったっけ。

 

 

 

「じゃあもう少しだけ寝てから帰るか。」

 

 

 

いつの間にか寝息を立てている従妹の髪を手櫛で梳いてやる。

気持ちがいいのかくすぐったいのか、眉根に皺を寄せて身を捩る。それが面白くて何度も繰り返していると。

 

 

 

「あれぇ、静かだと思ったらこんなとこでいちゃついちゃってたのかぁ。」

 

 

 

大天使日菜たんだ。

俺が座っているソファの後ろから肩ごしに覗き込むように近づいてくる。

 

 

 

「…日菜、今寝付いたところだから、静かに(しー)な?」

 

「わかったよ。…しーっ。えへへへ。」

 

 

 

よしよし、物わかりのいい日菜たんは本当に素敵だ。

頭をぐりぐりしてやろう。…目を細めて笑う様子も猫みたいで可愛い。結婚しよう。

 

 

 

「それにしても、すごいぐっすりだね…。」

 

「まぁ、疲れてたんだろ。…この状況、逆だったらきっと幸せなんだろうけど…。」

 

「膝枕されたいの?甘えんぼさん?」

 

「そうかも。」

 

「えっへへ~。今度してあげよっか??」

 

「おぉ、…ファン冥利に尽きるってやつだな。

 是非お願いし」

 

「ふーん??相手がアイドルでも相変わらず節操がないのね。」

 

「随分な言い様だなちーちゃん。」

 

「ふん。…まだ帰らないのかって、お母様が言ってたわよ。」

 

「帰ってほしいってことか。」

 

「何でも渡したいものがあるとかないとか。」

 

「ふーん??」

 

「もう少し休んでから帰るの?」

 

「うんまあ、彩がこれだし。」

 

「彩ちゃん、ほんとすやすやだよね~。

 見てみて千聖ちゃん!鼻ちょうちん、本物初めて見たよー!」

 

「きったねぇ。」

 

「ちーちゃん、素が出てるよ。」

 

 

 

結局彩が起きるまでみんなで休むことになり――

 

 

 

――結局実家を出発できたのは夜22時頃。

みんな揃って爆睡していたらしく、最初に目覚めたのは彩だった。

 

 

 

**

 

 

 

「とまあそんなこんなで、日菜には手を出してないので安心してください。

 …ええと」

 

「紗夜です。お話だけで信じろと言われましても…。」

 

「あぁ、それでしたら。

 …この写真、その時に実の母親が撮ったものなんですけどね。」

 

 

 

帰ってくる最中、母親からメールに添付されてきたであろうその写真を見せると。

 

 

 

「ふふっ。微笑ましい光景ですね。」

 

「でしょう。」

 

「まぁ、お母様が撮られたというのだから、信用できるものなのでしょうね。」

 

 

 

写真には。

一つのソファに座り目を閉じる俺と、そこに膝枕の要領で横たわる彩。

後ろから俺の首に腕を回し涎を垂らしつつ眠る日菜と、俺の肩に寄りかかるようにして寝息を立てる千聖の姿。

…ハーレムにも見えなくはないが、紗夜さん曰く「幼い子供たちの安息の時間」のようだと。

たしかに、まさに安らぎといった印象を受ける写真だった。

 

 

 

「もしよかったら、これからも仲良くしてあげてください。」

 

「ええ、よろこんで。

 …あ、そうだ。紗夜さんもよければ、今度ゆっくりお食事でもどうです?」

 

「ふふ、考えておきましょう。

 これ、連絡先なので。」

 

 

 

やったぜ。

 

 

 

 




帰省分総振り返り。
しっかり話がつながるのは珍しいかもしれませんね。




<今回の設定更新>

○○:モテ期。

彩:素直に可愛い。

千聖:演技力と知略の化物。
   アイスはクリーム系が好き。

日菜:どこかに出かけて行っている間は、行く先々でもれなく人だかりを作ったらしい。
   後日Twitt○rのタイムラインで知った。

紗夜:美人。日菜が大好きなおねーちゃん。
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