BanG Dream! S.S. - 少女たちとの生活 -   作:津梨つな

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2019/11/04 俺「これもある意味社畜…なのか?」(終)

 

 

 

「ぶー………。」

 

 

 

昼飯時。俺の隣のデスクで桃色子豚ことひまりちゃんがぶーぶー言っているのには理由(ワケ)がある。その理由とは、彼女の視線の先…俺のデスク迄椅子を引っ張ってきて食事を取る彼女(燐子)と見て間違いないだろう。

自分の作った飯だって言うのに目を細めて幸せそうに食いやがる。食レポの一つでも覚えりゃTVデビューも夢じゃないんじゃないか。

 

 

 

「……〇〇さん、いつから燐子さんとそんな関係に…」

 

「…ひと月近く経って気付く事じゃねえぞ。」

 

「だってっ!最初から何か仲良さそうだったし!そーゆーもんかなって思ってたんですけど!

 ……何と言うか、ズルいじゃないですか…。」

 

「ふふふ………上原さん……可愛い、ですね……」

 

「おいコラ煽るな。ややこしくなる。」

 

 

 

あれから…付き合うことになってから、社内での燐子の行動はよりアグレッシブになってきた。休憩時間はやたらと付いて回るし、昼飯も燐子の作った弁当以外口にすることは許されていないし…まぁ上手いからいいんだけどよ。

お陰でひまりちゃんは終始こんなんだし、友希那は友希那で冷やかしやら茶化しやらをバンバン飛ばしてくるし…正直、大っぴらに公表する内容じゃなかったと今更になって絶賛後悔中だ。

 

 

 

「でも、〇〇さんは………私が、好きなんです……もんね?」

 

「………俺を辱めて楽しむんじゃねえ。」

 

「もー!!私がそれやりたかったのにぃー!!」

 

「うーん、何というか……うーん。」

 

 

 

そういいながらも絡んでくるこの桃色ちゃんは何なんだろう。いいかい?君がさりげなく手を握ってきたり腕を絡めてくる回数、全部燐子さんはカウントしているからね?

その分退勤後が地獄になるんだから本当に勘弁してもらいたい。今だってどさくさに紛れて左手握られてるし…この子分かってんのかな。

 

 

 

「…あら、相変わらずのハーレムっぷり羨ましいわね。このモテ男。」

 

「どうしてアンタ迄…余計拗れんだろうが。」

 

「随分な物言いね?」

 

「ぅ……。」

 

 

 

わちゃわちゃやっているところに参戦してくる我らが湊様。相変わらず神々しいちびっ子であられる。

この人も相変わらず絡みに来るんだけど、その度に燐子の態度がキツくなるんだよなぁ…。

 

 

 

「……何でしょう湊さん?……ハーレムだなんて、〇〇さんは私だけの…ですけど。」

 

「あら?ここまで堂々とイチャつけるのは誰のお陰か分かって?」

 

「ぐっ……。」

 

「あのさ、友希那。」

 

「何よ。」

 

「自然な流れで抱きついてくんのやめない?」

 

「いいじゃない、そこに貴方が居たんだもの。」

 

 

 

燐子の当たりが強まるのも当然で、如何せんこの人はスキンシップが激しすぎる。たまたま体の起伏が他の二人より穏やかなせいで落ち着いていられるけど、それでも独特の雰囲気に呑まれそうになるのが怖い。

……ああもう、耳を噛むんじゃない。

 

 

 

「いーなー…。」

 

「上原さんも気にしないでやっちゃえばいいのよ。」

 

「おいコラクソ上司。お前には常識ってもんがねえのか。」

 

「…貴方だって満更でもないんじゃなくて?面接のときだって…んむぐっ。」

 

「友希那、言って良い事と悪いことがあるぞ。」

 

「………ペロッ」

 

 

 

こいつ…口を封じる手を…!

 

 

 

「…汚いからやめなさい。」

 

「ふふ、美味ね。」

 

「湊チーフ……私も、やっていいですかね??」

 

「ええ、いいわよ上原さん。」

 

「よかないっ!」

 

 

 

…あ。暫く静かだと思い燐子を見たら、またあの『視線だけで人を殺せる気』を放ってらっしゃる。

何と弁明しようかと考えていると

 

 

 

「……別に、良いですけど……私以外の誰と何をしようと……。」

 

 

 

予想外の言葉が飛んできた。

 

 

 

「いい……とは?」

 

「〇〇さんがモテモテなのは知ってますし………私にとっても、誇らしいところではあるので……」

 

「…それで?」

 

「…子供さえ、作らなければ……」

 

 

 

…はい?

恐らく、その場にいた全員が同じ気持ち・表情をしたと思う。一種のシンパシーってやつだ。

 

 

 

「子供…とは?」

 

「燐子、貴女いくら何でも許し過ぎよそれは。」

 

「そ、そーですよ!それなら、ワンチャン当たらなければどうということはないっていう…」

 

「上原さん、職場でそれ以上はいけないわ。」

 

 

 

何か最低な事を口走ろうとしているひまりちゃんはさて置き、真っ赤な顔をして睨みつけてくる我が恋人は何を思って何を言っているんだろうか。

…とうとうおかしくなったんだろうか。

 

 

 

「こっ……言葉通りの意味、です………!…私は〇〇さんを愛しています…。でも、縛り付けたいわけじゃないんです…。」

 

「……。」

 

「いっ、いけませんか??…〇〇さんの好きにしていいと……言っているのです…!心だけは、私を一番に愛してくれるなら…ですけど…。」

 

「……燐子…。」

 

「…ふふふふふ、ふふふふふふふふ。」

 

「友希那??」

 

 

 

怖い怖い怖い。何が怖いって、ここ真昼間のオフィスだよ?ご覧、みーんな殺意に満ち溢れた目で俺を見ているよ?

ちびっ子上司も相変わらずブカブカのジャケットを震わせて何やら笑ってるし。

 

 

 

「ふふふ、貴女いいわね、燐子。」

 

「……こうすれば、あなた達も執拗に……〇〇さんを篭絡しようとはしないですよね………?」

 

「…考えましたね、燐子さん…!」

 

「すべては…〇〇さん次第ですから、ね……?」

 

 

 

もう思考が付いて行かないよ。相変わらずニヤニヤと遠巻きに見ていやがる山外と酒匂に助けを求めるも、二人そろってハンドサインはブーイング。後で覚えとけよ。

諦め半分でどう言ったものか考えていると

 

 

 

「…ふーっ。」

 

「ひゃいっ!?」

 

 

 

先刻より抱きついたままの友希那に吐息を掛けられる。耳と頬を撫でていったそのそよ風に思わず背筋が震えたが…これは興奮とかそういう変態チックな物じゃないと信じたい。

 

 

 

「…いい加減観念なさい。」

 

「いきなりそういうのやめろよな…。」

 

「あら、可愛い声だったわよ?」

 

「うっせぇ。」

 

「えいっ!」

 

「うぉ、なんだひまりちゃ………いや、ひまり(さん)。」

 

 

 

友希那を引き剥がそうと伸ばした左手は、またしても桃色の後輩に絡め取られ、そのまま立派なお山の中へと監禁されてしまった。

ふうむ、素敵な落ち着きっぷりよ。まるで実家のような安心感…じゃなくて、これでほぼ身動きが出来なくなった俺に畳みかけるようなひまりちゃんの口撃が。

 

 

 

「絶対、堕として見せますからね。」

 

「堕ちません。…燐子と付き合ってるんだっての。」

 

「でも、…んっ、子供さえ作らなきゃ何しても……あぅっ、良いって言ったじゃないですかー。」

 

「そういうこともしません。何せ俺は紳士」

 

「んもう、さっきから左手が…ひゃんっ、卑猥な動きしてますけど?」

 

「……Oh…。情けないぞ俺のGentle…。」

 

 

 

本能には逆らえなかったようで、先程腕を包み込んでいた感触は左の手のひらに収まっていた。これもう懲戒免職もんだな。

そして"動かざること山の如し"を貫いていた本命の彼女…燐子がついに動きを見せた。

 

 

 

「……むー。」

 

 

 

頬をぷくーっと膨らませている。

これは、何時ぞやに喫煙所で見せた表情だな。…何やら思うところがあるのか、いや、この状況作り出したのそもそもお前だし、文句言うのはお門違いだぞ。

 

 

 

「…別に、何をしてもかまわないとは言いましたが……私の見えないところでやってほしい…です。」

 

「…なぜ?」

 

「………やっぱりその…妬いちゃう、ので…。」

 

 

 

ふいっと目を逸らす燐子。てっきり流れからして右側を拘束されるかと思ったが…。何というかその、うん、この中で一番可愛らしくて女の子やっているのは燐子なんじゃないだろうか。

そう考えると、俺が選んだ相手はこいつで正解だったのかもしれない。

 

 

 

「……聞いた?上原さん。」

 

「聞きましたよ、湊チーフ。」

 

「…俺の責任、重すぎね?」

 

「ふふ、いざとなったら三人纏めて面倒見てもらうわよ。」

 

「判断はぜーんぶ、〇〇さん任せですからね~。」

 

「それでいいのかお前ら…。」

 

 

 

どうやら解放してくれる気はないらしい二人に、これから俺は一体どうされるのか。

先行きが見えない上に不安しかない将来だが、それはそれでアリ…なんだろうか?

 

 

 

「なぁ、燐子…」

 

「……私が一番、ですよね………?」

 

「当たり前だろ。俺は一途な男だぜ。」

 

「ふふ………それなら、やり過ぎには注意して……おふたりとも"交流"してあげてください…。」

 

「その交流は意味深すぎるぞ。」

 

「……私の分も少しだけ残しておいてくれたら、それでいいですから……ね?」

 

「もう嫌だこの職場。」

 

 

 

ただ金を得る為だけに入ったこの職場で、まさかこんな事態に巻き込まれるとは、恐らく入社前の若かりし俺は思いもするまい。

だが実際に白金と出逢ってしまったことで、こんなにもとち狂った愉快な日々は始まり、俺は今もその中に居る。

金では到底手に入れられない素敵な人との出会い、そして普通の人間であればまず遭遇することのないであろう"オイシイ"状況。

それこそまさに、希少な運命……PlatinumDaysなんだろう。

 

 

 

「あら、貴方に格好良く締めさせると思ったかしら?」

 

「……あんた、相変わらず思考を読んでくるんだな。」

 

「当たり前でしょう。私が直々に目を付けた獲物だもの。」

 

「燐子ぉ……」

 

「み、見えないところで……やってくださいっ…。」

 

「ですって!行きましょう〇〇さんっ!」

 

 

 

あぁ……詰んだ。

 

 

 

終わり

 

 

 




他シリーズよりかなり早い進行となりましたが、これにて完結となります。
多分そう遠くないうちに第二部が来ると思いますがね…。
ご愛読ありがとうございました。




<今回の設定更新>

〇〇:共有の玩具になった。
   因みにこの一件で上からこっぴどく叱られ、一週間ほど謹慎を食らった。
   イマイチ締まらない男。

燐子:心の広い…というより、ただ純粋に愛情を抱いている。
   大好きな人が誰と何処で遊ぼうと、重荷を作らずに戻ってきてくれればそれでいい…
   ある意味純愛ですね。
   余談だが、主人公の謹慎期間に合わせ有給休暇を申請したらしい。

友希那:黒幕。主人公と一緒に謹慎を食らった。
    かわいい。

ひまり:素晴らしい。可愛い。
    タッチの差だぞ!まだ頑張れ!
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