BanG Dream! S.S. - 少女たちとの生活 -   作:津梨つな

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【氷川姉妹】ひかわさんち。【完結】
2019/06/10 姉妹と僕と、3人で


 

 

今日は休日。

 

僕は2歳年上の姉さん二人とショッピングモールに居た。

 

 

 

「○○。そんなにキョロキョロしないの。

 ちゃんと前を見て歩かないと、他のお客様とぶつかってしまうでしょう。」

 

「あ、うん、ごめん紗夜ねぇ。

 …今日すごく混んでるね。月曜なのに。」

 

 

 

姉さん二人の学校が終わって帰ってきてから出かけたので、夕方という時間帯もあって

モールはそこそこ混んでいた。いや、ちょっと混みすぎな気もする。

イベントでもあるのかな?

 

…因みに僕だけ休日だったのは、開校記念日のせいだ。

お陰で一日暇だった。

 

 

 

「そうね。

 …ほら、こっちに来なさい。逸れるでしょ。」

 

「えっとね、逸れそうなのって、多分コレのせいだよ。」

 

 

 

紗夜ねぇは、出かけるといつも目の届くところに居るよう言ってくる。

もう中3だっていうのに、子供扱いしすぎなんだよな。

 

今だって逸れそうになっているのは僕のせいじゃないのに…と若干の抗議の意味も込めて

左腕に絡みついているもう一人の姉を指差す。

 

 

 

「えー、ひどくなーい?

 仮にもお姉さんに向かってコレとかぁー。」

 

「…日菜。

 あなたがウロウロしてどうするの…。○○が逸れないように手を繋いでいたんじゃなかったの?」

 

「だってね!すっっごい久しぶりに来たんだもん!

 あ!あそこってペットショップだった??前は洋服屋さんだったよね!」

 

 

 

うちの二人の姉さんは、全然似てない。

顔とか髪の色とかは結構似てるんだけど。

上の姉さん――紗夜ねぇはしっかり者で、決まりとか常識とかにすごく厳しい。

困った時に相談したりお願い事をするのは大体紗夜ねぇなんだ。

 

二番目の姉さん――日菜ねぇは何というか…元気?というかいつも煩い。

迷惑とかじゃないんだけど、何を考えているかもよく分からないし、疲れている時とかに喋ると

余計疲れるって感じだ。

今だって、しっかり手を握られているせいで逃げられないけど、あっちに行ったりこっちに行ったり…。

…お陰で紗夜ねぇに注意されるのは僕なんだけど…。

 

 

 

「…日菜。色々見て回ってきてもいいから、○○の手は離してあげなさい。

 あなたと一緒に居るといつ迷子になるかわからないわ。」

 

「…紗夜ねぇ?僕もう中3だよ?

 迷子とか、ならないって…。」

 

「いいえ!万が一ということがあるでしょう!

 …そうなった場合、日菜に任せていたとあっては後悔してもしきれないわ。」

 

「そ、そう…?

 ところで紗夜ねぇ?日菜ねぇ、さっきあっちに凄い勢いで走ってったよ。」

 

「ッ!」

 

 

 

あ、怖い顔してる。

 

 

 

「○○。」

 

「はい。」

 

「こっちに来て?手を繋ぎましょう。」

 

「はい。」

 

「これで逸れないわね?

 日菜を探すわよ。」

 

「はい。」

 

 

 

この顔をしている時の紗夜ねぇは逆らわないほうがいいんだ。

何というか、そのあともずっと離してくれなくなるしすごくめんどくさい。

 

――結論から言うと、日菜ねぇはすぐ見つかった。

何だかよくわからないぬいぐるみ?みたいなものを袋一杯に入れて走ってきたんだ

覚えのないゲーセンが入っていて何となくクレーンゲームやったら取れすぎちゃったんだって。

 

…そのテクニック、今度教えてもらおう。

 

 

 

「○○くんも一緒に来たらよかったのにー。

 なんかね!『ここだな!』って思ったところが全部当たっててね!

 あとあと!お店のお兄さんもすっっごい優しくて、サービスとかしてもらっちゃって!」

 

「日菜。あなたが勝手に逸れるから予定が狂ったでしょう?

 そういう話は後にして、まずは目的の店を周るわよ。」

 

「えー?あとー?

 あ!後だったら、おねーちゃんも聞いてくれる??」

 

「はいはい、帰ってからね。」

 

「うわーい!○○くん、さっさと済ませちゃうから、逸れないようについて来てね!!」

 

「あなたが言いますか…。」

 

「はは…大丈夫だよ日菜ねぇ。ほら、紗夜ねぇと手ぇ繋いでるから。」

 

 

 

繋いでいるというか最早握り締められている状態の右手を見せる。

 

 

 

「あ!!おねーちゃんずるいよー!

 さっきまであたしが繋いでたのにー!」

 

「ふふん。真っ先に迷子になるあなたには任せられないでしょう?」

 

 

 

少し勝ち誇ったような顔をしている。

 

結局紗夜ねぇは最短ルートで目的の店を周り、長いこと話していた間より

短い時間で全ての用事を終わらせた。

日菜ねぇは途中から飽きて不機嫌になるし、その相手をするのは僕だけだしで

平日より疲れた。

 

帰り道でも僕の両手は塞がっていたし、二人とも僕に話しかけてくるせいで気は休まらなかった。

 

たまに同級生の奴らに羨ましがられるけど、どこがそんなにいいんだろう?

二人とも優しいし、仲はいいほうだと思うけどさ。

 

 

また今度出かけた時にでも、じっくり観察してみようかな。

疲れない程度に。

 

 

 




何だかそれぞれのキャラでシリーズ化できそうな気もしてきました。
一応内容としては、日記のような、一部実話に基づいて構成しているため
ネタがない日だと投稿しない気がします。




<今回の設定>

○○:主人公。
   中学3年生になり、姉とベッタリが少し恥ずかしくなってきている。
   日菜には振り回され、紗夜には過保護にされ、と
   二人の正反対の姉の板挟みになっているせいか精神的にかなりタフ。

紗夜:姉①。
   重度のブラコン。
   そのくせ素直に愛情を表現するのが苦手なため、過保護気味な上に
   つい説教じみた物言いをしてしまいその度に自己嫌悪に陥る。
   日菜に対しては大好きな弟を振り回す事に対する敵意が希に出てしまう。

日菜:姉②。
   弟も姉も大好き。
   その性格と予測できない行動の為に友人が少なく、数少ない身内として
   家族に対する依存が物凄い。
   寂しがり屋。

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