BanG Dream! S.S. - 少女たちとの生活 -   作:津梨つな

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すみません、投稿できないことに気づいておりませんでした…。
本日は夜も投稿するので2本立てと思っていただければ幸いです。


2019/06/29 ねぇ。

 

「……日菜ねぇ、戻ってきませんね。」

 

「んー。まぁたどっかで道草食ってるんでしょー?

 そのうち帰ってくるって。」

 

「そう、ですよね…。」

 

 

 

気まずい。

優雅な午後を満喫しようとしていたはずだったのに、どうしてこんなことに。

折角、姉さんが二人とも居ない時間をまったり過ごしていたのに…。

 

昼食後、窓のすぐそばで日向ぼっこを兼ねた読書をしていた僕。

あの時まではぽかぽかして幸せだったんだ。そう、あのうるさい方の姉さんがお客さんを連れてくるまでは…。

 

しかも連れてきたら連れてきたで、雑に紹介された上で丸投げ。『仲良く遊んでてね!』と謎の指示を出した姉さんは買い出しに行くと出て行ってしまった。

あれから一時間はたっただろうか。隣に座ったギャルっぽいお姉さんと気まずい時間を過ごしていた。

 

 

 

「ねね、弟くんはさ、お姉さん二人とは仲良しなの?」

 

「まぁ…仲良しかはわかりませんけど、喧嘩とかはしないですかね。」

 

「へぇ~。姉弟ってさ、なんかいいよねー。

 …ほら、アタシ兄弟とかいないからさー、憧れ?みたいなものがあってね~。」

 

「…お姉さんって感じしますけどね。今井さん、一人っ子なんですか?」

 

「そそ、ずーっと一人でさ。…あ、でも手のかかる幼馴染が居るから、面倒見る相手には事欠かないかなぁ。」

 

 

 

日菜ねぇが連れてきたお客さん――今井リサさん、というらしい――と会話して過ごす時間。うん、やっぱり気まずい。

無駄に話しやすくて逃げるタイミングが見つからないのもまた気まずい。

なんだろう、ウチの二人にはない()()()()()というか、姉力??みたいなのがある。

これで一人っ子だって言うんだから、よっぽどその幼馴染さんが強烈なのか…。

 

 

 

「ってかさ、そんな畏まらなくていいよ??お客さんはアタシの方なんだし。

 二人に聞いてたとおり、しっかり者なんだね。」

 

「え、あの二人、僕のこと話してたんですか。」

 

「うんうん、色々聞いてるよ~?

 甘えん坊とか、優しいとか、…まぁ、最後には二人ともかわいいかわいいって」

 

「も、もういいです…ストップで…。」

 

 

 

あの人たち外で何の話してんだ。聞いてるだけで恥ずかしい言葉がポンポンと…。

思わず遮っちゃったけど、他に何言われてるのか分からないし…もう余計なこと言われないようにベタベタするのはやめよう…。

 

 

 

「あははは、どしたのー?照れちゃった?

 仲良しでいいよねぇ。」

 

「別に…そんな特別仲良しとかじゃ……。」

 

「ふぅん…?」

 

 

 

あ、この感覚は知ってるぞ。

確実に良くない流れが来てる時のやつだ。

今井さんも、目を細めてじっと見てるし…絶対良くないこと考えてる。

なんでわかるかって?日菜ねぇも同じ目で見てくることがあるんだよ。

 

 

 

「弟くん?…アタシのこと、「リサねぇ」って呼んでみてよ。」

 

 

 

あー…そっちかぁぁ……。

 

 

 

「…はい?」

 

「あの二人が羨ましくなっちゃってさー。…アタシにも弟がいたらな~って思っちゃって。

 ねね、どうせ今、ヒナが戻ってくるまで暇でしょ??

 ちょっとやってみてよ~。」

 

 

 

うーんと、高校生くらいのお姉さんってのはドコでもこうなのかな?

確かに暇なのは暇だし、流石に今日会ったばかりの人が無茶苦茶言ってくることもないだろうし――

 

 

 

「…リサ、ねぇ。」

 

「んんー?ちょっとぎこちないっかなぁ。

 …もう一回♪」

 

「リサネェ」

 

「あはははは、もー、何そのイントネーション!

 笑わせに来たでしょ??もっかいもっかい!」

 

「そりゃ初めてだと呼びにくいし、緊張もしますよ。」

 

「あはは、敬語もいらないから、ヒナとか紗夜と接する感じいいよ~。

 ほら、もう一回。」

 

「くっ……。じゃ、じゃあ、今だけはタメ口にするね?リサねぇ。」

 

「おっ……。」

 

「??また何か違った?リサねぇ?」

 

「あ、あはは…これはこれは、思ったより恥ずかしい、みたいなー?」

 

 

 

あなたがやらせたんでしょうが。

こっちの方がより恥ずかしいの、分かってます??

 

 

 

「う、うん!こりゃあの二人が堕とされるわけだ~。

 ほら、おいで弟くん?」

 

「おいで?とは?」

 

「弟くん。今はアタシの弟くんなんだから、大人しく可愛がられなさい。ね?」

 

「………はぁ。」

 

「ほら、おいでって。」

 

「……ん。リサねぇ。」

 

 

 

もう抵抗はできない。助けになりそうな人も誰も家にいないし。

僕は諦めて、両手を広げて待っているリサね…今井さんに体重を預けることにした。

 

 

 

「んっ。……おぉ、これはなかなか…。

 ん"んっ。…よーしよし、存分に甘えなさいな、弟くーん。」

 

「ちょ、ちょっと、リサねぇ、くすぐった…じゃなくて、力強くない??

 髪のセットが…。」

 

「おぉ?ませてんだねー、弟くん。

 どうせ今日は出かける用事もないでしょー?…ほらほら、もっと撫でさせなさーい。」

 

 

 

その後、日が落ちて真っ暗になるまで日菜ねぇは帰ってこなかった。

そのせいでずっとリサねぇのおもちゃにされて過ごす休日となってしまった…。

 

結局、紗夜ねぇと日菜ねぇが一緒に帰ってきた頃には、すっかり打ち解けてしまった僕とリサねぇだったけど。

 

 

 

「ごめんねリサちー。来てもらったのに一緒にいられなくて…。

 あ、○○くんとは仲良くなれた??」

 

「別に気にしなくていいよー。こっちはこっちで仲良くやってたし、楽しかったからさ~。

 …ね?」

 

「ぅ?うん。…あ、はい。」

 

 

 

急にウインクとかやめて、心臓止まっちゃう。

 

 

 

「今井さん、私の弟が迷惑かけたりしなかったかしら?」

 

「迷惑?うーん……どうだったかなぁ…。」

 

「え!?ちょ、リサねぇ?」

 

「あらら。」

「えぇ!?」

「は?」

 

「…あ。」

 

 

 

気づいた時には遅く。

この数時間ですっかり洗脳された僕の口は、馴染みきってしまった姉呼びを漏らしてしまっていた。

その後、わーわーと関係性について騒ぎ立てる二人の姉さんを尻目に、「あはは」と苦笑いのリサねぇは素早い動作で帰っていった。

 

 

 

**

 

 

 

「いーい?○○くん。

 リサちーと仲良くって言ったけど、そーゆー仲良しさんは違うんだからね?

 ○○くんがお姉ちゃんって呼んでいいのはあたしだけなんだから、ね?」

 

「ちょ、日菜、私は。」

 

「えぇー?おねーちゃんはあたしにおねーちゃんって呼ばれるからいいでしょー?

 それともおねーちゃんは色んな人におねーちゃんって呼ばれたい様な欲張りなおねーちゃんだったの??」

 

「日菜、うっさい。」

 

「は、はは…」

 

 

 

お姉さんという生き物は、難しい。

 

 

 




リサちぃ。




<今回の設定更新>

○○:大正義弟くん。図らずも姉が増えてしまった。
   弄られすぎて、色々麻痺している気がする。

リサ:ついに動き出した姉界のボス。
   溢れ出る女子力を武器に、主人公を自分の弟にしようと――

日菜:いつも何処か行ってんな。

紗夜:風紀委員の用で頻繁に土曜は潰れるため、今日も習慣で登校したが。
   結局特に仕事はなく、見回りやら教師陣の手伝いやらで遅くなってしまった。
   頑張り屋さん。

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