BanG Dream! S.S. - 少女たちとの生活 - 作:津梨つな
「なぁ、お前シェイクスピア知らないだろ。」
目の前で大袈裟な動きと共にウザったい口調で話す元同級生。
そいつの口癖か、頻繁に槍玉に挙げられるシェイクスピア。時代的に死体蹴りもいいところだ。
「ん?知っているともさ。」
「…簡単に説明してみ。」
「そうだね…。彼女達は、本当に素晴らしい、偉大な偉人だったよ。
様々な…言葉とか、そういう伝説的なもの?を残した。」
「ぐっちゃぐちゃじゃねえか。」
どこから突っ込めばいいやら…。
これを真顔で言ってのけるのだから、やっぱりコイツは俺の記憶にある瀬田とは違う人間のようだが。
「まず、シェイクスピアって男だからな。」
「ふふ、偉大な芸術を前にして、男も女も関係ないということさ。」
「あと、複数形で言ってたけど一人だぞ。」
シェイクスピアってグループはねえだろ…。
一族をグループ扱いしてんのか?
「そういうこともあるだろうね。あるだろうさ。」
「雑。」
「…………。」
「………今日は、一人なのか?」
「……駄目かい?」
「つまんねえ。」
「……ッ!」
あ、ショック受けてる。
だってよ、松原も美咲も来ないんだぜ。目の保養云々もそうだが、話のアクセントもねぇ。
「取り敢えず座れば?」
「あぁ、そうさせてもらうよ。すまないね。」
「今日何度目だそれ…。
喋る度に立ち上がるのやめたら?」
「ふふぅ、それでは小さな演技しかできないだろう?
体を大きく、動きにメリハリをつけることが、演技の基本だよ。」
「お前ほんとに何しに来てんの。」
演技するなら演劇部にでも行ってろ。俺は別に見たくもなんともない。
「つーかさ。お前ひとりなんだったら、尚更昔の、素の状態出してもいいんじゃねえか?」
「えっ」
「なんだその意外そうな顔は。」
「あの頃の私の方が、君にとっては需要があったということかい?」
「需要ってか、それが普通だと思ってるからよ。
今は正直、瀬田かどうかも怪しんで喋ってるくらいだ。」
「ふむ……。」
顎に手をやり思考中っといったところか。
違和感さえなければ、確かに様になる見た目ではあるのだろう。
「じゃあ、今日だけ。」
「…あ?」
「えっと…〇〇…くん。」
「………。おい何だその三文芝居は。」
「ふ、ふふん…。恥ずかしすぎて無理だということだ。」
「逃げるのか演技馬鹿。」
「し、シェイクスピア曰く」
「会話から逃げるな。」
「ふぇぇ…。」
「モノマネも禁止。」
「……今日は、お暇するかな。」
追い込み過ぎたのか。
真っ青な顔になり尋常じゃない量の汗が見える瀬田。ここはサウナか何かか。
フラフラと玄関へ向かうが、…倒れないか心配だな。
「あでゅー、〇〇。
きっとまた、鍛錬の成果を見せに来るよ。」
「…松原も一緒に呼んでくれ。」
「〇〇…君は全く…。」
そのまま出て行ってしまわれた。
「いや、もう来なくていいから…。」
誰に向かってでもなく呟いた。
何気に薫くんに真っ向から立ち向かえる人って少ないですよね。
<今回の設定更新>
〇〇:嫌悪感が前面に出てきて凄い。
薫:素を出すのが寧ろ恥ずかしいという演者あるある状態。