BanG Dream! S.S. - 少女たちとの生活 - 作:津梨つな
「やれやれ君は…折角の休日だというのに…」
ボクの部屋のベッドですやすやと寝息を立てる花園を見下ろしながら思わず独り言る、日曜の昼下がり。
花園たえは唐突に――いつもの如く、脈絡も前触れもなく訪れた騒がしき来訪者は、当然のように無言で部屋に入り流れるようにベッドへ。
それ以来三時間ほど経過したが状況は何一つ変わっていない。
…あっ、こいつよく見たらパジャマじゃないか。最初から寝る気で来たってのか…いや、そもそもこの格好で街の中を歩いてきたのか?
ううむ、花園の
「にしても、だ。…仮にも男の部屋に来てこの無防備さよ。余りにも先が思いやられるな。」
この先どんな出会いがあるかは分かったもんじゃないが、こんな姿を晒すような女の子を放っておいていいはずがない。
一先ず一言物申すべく、花園を起こすことにした。
「起こす、と言ってもな…。」
体に濫りに触るわけにはいかないし、かと言って痛みで起こすのも女子相手にやるべきことではないか。
結局、安らかな顔で抱き締めている大きなウサギのぬいぐるみを引っこ抜いてみることにした。
「………みゅ?……うーっ!!」
「ウォッ!?……力強いなぁ…。」
この細い体のどこにそんな力が隠されていたのか。
ボクが引っ張るウサギを、渡すまいと言わんばかりの力で抵抗してくる。…ここまでして何故起きないのか。
「くそぉ……もっと日頃から鍛えておくんだった。」
「うみゅぅ…………スピー…スピー…」
呑気な顔しよってからに。
よし次の手だ。次はそうだな……おっ。
そういえば花園は常にギターを持ち歩いていたな。…次は聴覚、爆音から攻めてみよう。
今日も今日とて背負ってきたらしいギターケースを開く。中からは愛用のブルーのギター。…ほほう、楽器は詳しくないがこれはなかなか…。
どんな用途のものであれ、完璧な手入れが施されている逸品というのは素晴らしいものだ。つい目を惹かれてしまう。
ビィン……
「………??意外と…小さい音しか出ないんだな。」
ベィンッ、ピィイ、ビョィン…
指で強弱を付け弾いてはみるが、まるで普段聞いているような音は鳴らない。なんというかこう、蚊の鳴くような音というか、か弱く細い音しか鳴らない。
花園がかき鳴らすあの"ギュィイイイイン"という音はどう出すんだろうか。
「……なんだこれは。」
ケースに別途収納されている小さなスピーカーのようなものとケーブルを見つけた。ほうほう、これを接続するわけだな?
ふむふむ、
「どわぁ!?」
突如鳴り響く甲高い爆音。耳を劈く様なその音に、何かを確実に間違えたんだと知らされた。
「いやしかし…ッ、これは僥倖…ッ!」
この爆音なら寝続けるのは不可能であろう……花園!!…はまだ寝たままか。恐ろしい眠りの深さだな。
…母親か。いやうん、確かに家全体が揺れそうな程だったけどさ。仕方ないでしょうよ、このお寝坊さんを起こすためなんだから。
未だ残響を残している
「…ごめんよ母さん。機械は詳しくなくて。」
「もう。…ご近所迷惑になるでしょ??それに、おたえちゃんも眠ってるんだから静かになさい。」
「……ここ俺の…いやボクの部屋なんだけど。」
「見なさいあの可愛らしい寝顔…。……あんたたち、付き合ってるのかい?」
「……そう見える?」
「そうあって欲しいと思ってるんだけど。」
「……まだ、かな。」
「あそ。…まぁ、静かにしてなさい。無理に起こさなくてもそのうち構ってくれるわよ。」
ニヤついた母親がその場を後にする。人を構ってちゃんみたいに言うのやめてくれないかね…。
…複雑な気分のまま、可愛い寝顔と評判の花園の枕元へ座り込む。より詳しく確認しようと顔を近づける。
「……あっ。」
「うみゅ?」
鼻と鼻の触れ合いそうな距離で、目が合う。……何だってこんなタイミングで目覚めるんだね君は。
「あー、だーりんだぁ……えへへへへ」
「っ!」
その瞬間、まだ夢の中に居るかのようなふわふわした声で呟き、ふにゃりと笑う。
……心臓を、鷲掴みにされた気分だった。不覚にも、可愛いと…思ってしまった。
「まっ、ま、まだ寝るのかね。君は。」
「うー……ん。…だーりんも、一緒に、寝よ?」
「はぇっ!?いや、ぼ、ボクは」
「ぎゅー」
返答も待たずに布団に引きずり込まれる。頭を抱え込まれるようにして抱きしめられている、いやこの状態で眠れる訳無いだろう!!
体中に密着するふにふにした感触というか、顔に押し当てられるささやかな……
結果として、日付が変わるくらいまでぐっすり寝た。
目覚めスッキリ!!(午前1時)
<今回の設定更新>
○○:楽器と機械はからっきし。…いや、興味のある機械に関してはオタクっぽいほど。
母親とは少し仲良くなった。
たえ:恐らくあの不思議なキャラを維持するために物凄いカロリーと睡眠を必要としているのだ。
…それどこの固有結界?