BanG Dream! S.S. - 少女たちとの生活 - 作:津梨つな
「どーして俺まで。」
「お兄ちゃんだって幼馴染なんだから、文句言わないの。…って、去年もした気がするよこの会話。」
今日は蘭の誕生日らしい。らしい、とか言っておきながらきっちりスマホ内のカレンダーアプリで共有済みなのだが。
今は途中で合流した
「いい加減観念しろよ○○。いいじゃんか、年に一度くらい祝ってやったって。」
「うるせー。この歳にもなると…色々あんだよ。」
俺を含めた六人の幼馴染が一堂に会せば、俺以外は全員女子。皆が皆トモみたいに男勝りだったら問題ないが、流石に居心地も悪いってもんだ。
モカちゃんに会えなかったら絶対行かねえもん、マジで。
「ほー?」
「何だそのおちょくった様な顔は…?」
「別に。そんなに嫌か、アタシらと居るのは。」
「嫌ってわけじゃねえが…別に俺抜きでやったらいいじゃんかよ。いつまで強制参加させんだ。」
「だめ!蘭ちゃんの誕生日は、お兄ちゃんも絶対参加なの!」
「…っくりしたなぁもう。急にでけぇ声出すな。」
「あぅ。…だ、だって!お兄ちゃんが来ないと、蘭ちゃん寂しがっちゃうから…!」
あいつがそんなタマかよ。恐らく幼馴染イチCoolな女だぞ。何故かクラスも昔からずっと一緒だからよく見ているが、あの夏野も気軽にちょっかいを掛けようとしないのは蘭と桜恋くらいなものだ。
何と言うか、独特の拒絶オーラがあるんだよな。話してみたら気のせいだってわかるんだけど。
「へぇへぇ。」
「…光栄に思えよ?○○。」
「何でトモが誇らしげなんだよ。」
「蘭に好かれるなんて、卵割ったら三つ子だった時くらいの奇跡なんだ。お前は選ばれたんだよ!」
「大したことねえじゃねえか!」
スーパーで買える程度の奇跡にいちいち誇っていられるか馬鹿者め。
そう騒ぎながら歩く事十五分程度か。カラフルな電飾を雑に取り付けられたひぃの家の玄関が見えてくる。クリスマスかっての。
事前に伝えてあるしいいかと、チャイムも鳴らさずに中へ。
「おーっす!ひまりー!来たぞぉー!」
こういう時、馬鹿みたいにデカい声のノッポが居ると非常に便利だな。
ひぃの部屋が玄関から然程離れていない位置にあるせいか、ドタバタと慌ただしく動いているのが丸聞こえだ。やがてガチャリとノブが回る音に引き続き、なんともマイペースな足音が近づいてきた。
「やーやー。みなさんおそろいでー。」
「おう。これ、お菓子やらジュースやら買ってきたぞ。」
「ずっとトモちんが持ってきたのー?○○もいるのにー。」
「あ、ああ、いや、その、これはだねモカちゃん」
「こいつ、箸より重い物は持てないっつーんだよー。貧弱で参っちゃうよなぁ!ハッハッハ!」
うぜぇ。選りにも選ってモカちゃんの前で下らねえ冗談を言いよってからに。そもそもは俺に財布を預けてお前が商品持って行っちまったのが原因だろうが。
強く反論したかったがどうもモカちゃんの前だと調子がくるってしまい、上手く話せない俺を弄る…いつものトモのやり口である。汚い、流石宇田川、汚い。
「お、おま…うっせぇよ…。」
「……す、すごいよね巴ちゃん!力持ちさんだ!」
つぐみ。お前のそれは完全に追い撃ちだ。
「…そっかぁ。○○はハコイリムスメなんだね。」
「…ちがわい。」
「で、トモちんは筋肉もりもりマッチョマンのへんた…」
「そういえば、蘭ちゃんは??」
つぐみ。色んな意味でナイスだ。
「えとねー、今ひーちゃんがオメカシ大臣やっててねー、蘭を変身させるんだってー。」
「へぇ。」
「まだ結構かかりそう?」
「うんー。三人はリビングに行ってると良いよー。あたしはひーちゃんに報告があるからー。」
言われるがままに靴を脱ぎ散らかし中へ。
「つっかれたぁー!ただいまぁ!」と相変わらずの声量で突き進むトモの脱ぎ捨てた靴をせっせと揃えるつぐみを待って、俺達兄妹もリビングへ。恐らく準備の途中だと思われるリビングには俺が物心ついたころには既にあったバカでかいテーブルと二組の三人掛けソファ。いつも通りの見慣れた光景があった。
俺から回収した上着を自分の物と纏めて隅に置き、早速腕捲りで気合を入れる妹。
「お兄ちゃん。」
「ん。」
「手洗いとうがいしなきゃ。」
「まじかよ…。」
「まじ。巴ちゃんもいくよ!」
成程、準備に取り掛かる前に恒例の儀式をしないと気が済まないらしい。
真面目なのも考え物だな、妹よ。
**
「…こんなもんでいいか。…トモ、そっち貼ってくれ。」
「おー。」
あれから少し時は過ぎ、未だ終わらない蘭の準備を待ちつつ後着組三人は会場設営を完了させるところだった。
幼い頃から自分たちでプロデュースするこの誕生会。リビングが一番広いひぃの家が会場になるのはすっかり恒例で、昔は大したことができなかった飾り付けも年々クォリティが高まっているように思える。
手先不器用な俺とトモは主に小学生レベルの工作を任されることが多く、今も色紙を使った鎖を張り付けているところだ。今日は他にも、モカちゃんお手製のくす玉やひぃ手作りのカーテン・謎のオブジェを飾ったりしたが…踏み台を必要としない点だけはトモが羨ましかった。
一方つぐみは飲食・食器周りなどパーティの中心となる繊細な部分を担当している。…食器並べるだけに繊細もへったくれも無いと舐めてかかっていたが、俺とトモではマキビシのように食器の破片を床に飾り付けてしまう事が分かった為早々にクビにされたわけだ。
「わぁ!もうばっちりだね!」
「あ、ひまりちゃん。蘭ちゃんの方はどう??」
「もうすっごいよ!蘭って素材がいいから何着せても似合うんだけど…今日のは私でもときめいちゃう感じ!」
幼馴染きっての
影響されて女子力が上がる…ということではなく、女子力を発揮するキャンバスにされてしまうという事だ。この前も、ひぃの見た目と豊満な持ち物に惑わされた夏野が女装の刑に処されていたし。
「目覚めそう」だぁ?知らんが。
「えー!すっごい楽しみー!…ね?お兄ちゃん。」
「あん?なにが。」
「蘭ちゃんだよ!ひまりちゃんプロデュースってなると、誰でもお人形さんみたいになっちゃうからね!」
「○○も楽しみでしょ!?すっごい可愛いんだから!」
「…………。」
別に蘭は着飾らなくてもそこそこ整っている方なんじゃないかと反論しそうになったが、男女の感性差として「可愛い」の基準が違う可能性とその発言を厭と言うほど弄られる危険性を察知して何も答えなかった。
最近のこいつらはやたらと俺と蘭を紐付けたがる。迂闊に乗らないのが吉ってもんだよな。
「…よし、こんなもんで完成か。」
「だな。お疲れ○○。」
「トモもな。」
「えぇー?何か二人とも…えぇー??」
「んだよ。」
「○○がまるで興味ないみたいでつまんないのー!…巴は、蘭の可愛い姿見たいよね?ね??」
ひぃはミーハーというか、騒がしい的な意味で"年頃の女の子"っぽい。スイーツの話だとか、遠くて行けなかったファンシーショップが近くの街にできたとか、誰と誰が両思いだとか…あいつの話題はいつもそんなのばっかりだし。
こんなに女ばかりの身内だというのにその存在が浮くのもまた珍しい話だろうと俺は思う。他が落ち着き過ぎなのか?
「んー…蘭は別に、着飾らなくても可愛いだろ。」
……。
そういやお前はそういう奴だったな。見ろ、つぐみもひぃも赤面プラス絶句状態じゃねえか。
どうしてそう恥ずかしい事を臆面も無く言い放てるんだよ。お前の口はもう武器だよ、武器。
「…なんだぁ?皆変な顔して。」
「……巴ってさ、そういうとこズルいよね。」
「わかる。きっと「恥ずかしい」ってスイッチをどこかに落として来ちゃったんだよ。巴ちゃんは。」
「あーやっぱり!」
「おい。」
エライ言われようである。南無。
「お兄ちゃんは逆に変なかっこつけばっかりだからさ、ちょっとは見習ってほしいんだけど。」
「おいつぐ。」
おい。
「言えてるー!」
「おい!!」
「あはははは!!それじゃ、蘭の仕上げ行ってきまぁす!」
「こら!ひぃ!!」
荒らすだけ荒らして歩く女子力は去っていった。残されたつぐみとタラシとかっこつけの三人は何とも言えない雰囲気の中、各々で時間を潰す作業に入るのだった。
モカちゃんが眠そうな表情でリビングに入ってきたのがそれから二十分後くらい、続けてひぃが続き、クラッカーを構えて待つ一同。
…宴が、始まるのだ。
**
「…し、失礼…します。」
カチャ、と控えめに扉を開けて彼女が入って来ると同時にパンパンと軽快な音を奏でるクラッカー。いつもとはまるで方向性の違う美しさを纏った蘭の姿に紐を引く手が一瞬遅れてしまったがバレてはいないだろう。
例えるならばそう、気付けばいつも窓から見ていた風景のうち一本の樹だけがある日突然クリスマスツリーになっていたような…いや俺に例え話は向いていなさすぎる。兎に角衝撃だった訳だ。
「う、うぉお!何だそれ可愛いな!蘭おまえ可愛いな!?」
「ちょ、巴…近い、近いって…」
「赤のドレス…!うんうん、ひまりちゃん、さすがのセンスだね!」
「でしょー!…今回は、普段蘭があまり出したがらないデコルテを全部露出させるという革新的な…」
「………。」
「蘭!なんつーエロさなんだ!?誘ってるのか!?おぉ!?」
「トモちんうるさいー。」
「あはははっ!巴にはクリティカルだったか~!」
「……お兄ちゃん?固まってるよ??」
一気に沸き立つ会場。食い付きの良すぎる巴に困惑する蘭が、未だ嘗てない程に綺麗に見えた。眩い程きめ細かい肌を見せつけんばかりに肩と胸元、それに両腕を曝け出したかと思えば引き締まって括れた腰回り。膝上程の短い丈のスカートの下からは黒地に金のメッシュをあしらった薄手のタイツが覗いている。
髪飾りも恐らくひぃがプロデュースしたんだろうが、花束を思わせるそれには数種類の花が綺麗で、そして華やかに纏められていて…。要するに暫し見惚れていたって事。
「…ぁ?…あぁ。」
「…○○。…やっぱ変、かな。あたしがこんな格好してるのって。」
「………まぁ?…ィッツ!?」
隣に座るつぐみに全力で太腿の辺りを抓り上げられる。痛いのなんのって。
だって変だろ。昔から見慣れてる幼馴染相手に可愛いとか思っちゃうのってさ。その原因が目の前の衣装にあるのならば、それは
「お兄ちゃん?馬鹿なの?」
「や……だってさ、変だろ?蘭が可愛いんだぜ?夢でも見てるみたいだ…ッイツッイッツゥッ!?」
「………。」
どうやら求められている答えは違う様だ。このまま問答を繰り返していても俺のシルクの様な肌に青痣が刻まれてしまうだけであり、事態の打開にはならない。
気恥ずかしさを誤魔化す意味も込めて、蘭に別角度の質問をぶつけてみる。
「と、ところでその花、蘭が選んだのか?」
「ん……これ?」
複数の花が組み合わさったブーケの様な髪飾り。花の話題なら蘭にぴったりだし、俺も全く関心が無い訳じゃない。何というかこう…色も形もそれぞれの物を一つの芸術品に仕上げるってのは夢があるし凄い事だと思ったんだ。
少し沈んだ表情に見えた蘭だったが、自分の得意とするジャンルという事もあってか元気を取り戻したように喋り出す。
「…あたしが選んだのと、ひまりが提案してくれたのと。」
「ほー。何種類くらいだ??」
「四…かな。」
「そか。…うん、シャレオツでいいじゃん。似合ってるし。」
「ん。」
「………な、何て種類の花なんだ?」
気を抜くと沈黙の中見つめ合う羽目になってしまうのはいつも通りか。こういう時くらいもっとテンション上げても良いだろうに。
「…知りたい?」
「おう。…えと、この薄紫の花は?」
「それはツルニチニチソウ。花弁の形が可愛いでしょ。」
「ああ。」
形云々より、"ニチニチ"という音が何だか気に入った。狭い空間に生肉をたっぷり詰めたような音。
「で、その隣の紫の小さい花は…○○でも知ってる花だよ。」
「え。…向日葵とか?」
「馬鹿なの?見たら違うって分かるでしょ。」
「そりゃな。…でも俺が知ってる花なんてそんなに…」
「パンジー、知らない?」
「……。」
成程。それなら俺でも聞いたことがある花だ。ただ全くの知識が無い為、名前からの連想でもっと大きい花だと思っていた。
いやはや、こんな可憐な紫の花弁もあるのか。
「パンジーって一口に言っても色もサイズも色々。」
「ほほう。チューリップみたいだな。」
「…花を花で例えないで。…これは少し小さくて、ビオラって言ったらわかるかな。」
「うむ、わからん。」
「あそ。」
「あそ、って………で?こっちの派手目なピンクの花は形が違うようだけど…」
少し長めに、アクセントの様に加えられている存在感の強い花。恐らくパンジーでもニチニチのやつでもないだろう。
ピンクという俺の発言にやや首を傾げていた蘭だったがやがて閃いた様に顔を戻す。
「…あぁ、エゾギク…かな。一応赤いのを選んだつもりなんだけど。」
「これ、赤なのか。」
「…ふふっ、綺麗でしょ?」
「ああ。色がどうだろうと、蘭に似合っていてすげー良い。」
「ばっ……そ、そう。」
「蘭のメッシュほど赤くはないけど…うん、これもいい赤だ。綺麗だな。」
赤とピンクの中間…と言った感じだろうか。いやはや美術的センスの欠片も持ち合わせていない俺だが、この色は嫌いじゃない。存在感を感じられつつも決して他の邪魔をしていない…そんな色。
それはそうとさっきからうるせえな外野よ。
「……。」
「四種類…ってことは、わーっと広がってる白い花で最後か?」
「うん。」
「可愛らしい花だな…。まぁ、勿論種類はわかんねえんだけど。」
「これ、リナリアっていうんだ。小さくて儚くて…可憐で…。」
儚くて可憐で…か。外野も盛り上がってるみたいだし、ここは幼馴染として空気を読んでやろう。
ワードから連想するものと言えば…。
「…今日の蘭みたいだな、それ。」
「ひぅっ…!?な、なんで…?」
「…実はさっきも恥ずかしくて言えなかったんだけどさ。…今日はその、誕生日ってこともあって、気合入ってるって言うか…頑張ってるって言うか…」
「……ん、んぅ。」
「普段じゃ見られない格好、じゃん?そもそもスカートもあまり見ねえし。」
「そう…だね。」
「だからその…なんというか……。」
「………。」
「……正直、滅茶苦茶可愛いと思う。…いや!へ、変だよなぁ!長い付き合いなのに!」
「………!!」
やはり人を褒めるのは慣れない。可愛いという単語自体はつぐみにアホ程ぶつけているので言い慣れてはいるが、やはりこれが身内と他人との違いか。
さっきまで嬉々としてお花談義を繰り広げていた蘭は上気した顔で心ここにあらずと言った様子だが…そりゃ引くよなぁ。どうもトモのように上手くは立ち回れないみたいだ。
「…あー……その、変なこと言ってごめんな?思ったからって何でもかんでも言うもんじゃなかったよ。」
「……あ、う、その…かわいいって、ほんと?」
「?…ああ。」
空気を読むとは言ったが騙すつもりはない。いつもとは違って、感想を素直に言ってみただけの事だ。
案の定外野勢は大興奮。視界の端ではトモとひぃが何度目か分からない乾杯を交わしていた。一方複雑そうなつぐみが気にはなったが…あいつは心から引いてるだけだろう。
「……えへへぇ、何だろう、嬉しい。…かも。」
「……ッ!」
こっちはこっちで大変なんだ。可愛い格好して、可愛い花を頭に飾り付けた蘭が、見たことないくらい可愛い顔で笑うんだから。
違うんだよ、そういうのじゃないんだってばモカちゃん。
**
「いやぁ、食った食ったぁ。」
「……。」
すっかり暗くなった夜の道をつぐみと手を繋いで歩く。さする腹には、何故か蘭に大量に食わされた料理がパンパンに詰まっており、幸福感と苦痛を同時に与えている。
結果から言うならばパーティは大盛り上がり。例年にはなく蘭本人がご機嫌だったこともあって、いい思い出になったと言えよう。ただ一方で我が妹は終始難しそうな顔をしているのだが…腹でも下したのだろうか。
「…なんだよつぐみ、構ってもらえなくて拗ねてるのか?」
「そんなわけないでしょ。」
「だよなぁ。…なら、何をそんなに思いつめた顔してんだ。」
「…………。」
素っ気ないようでありつつもチラチラとこちらを見上げるつぐみ。やめろやめろ、その恋する乙女のような視線を実兄に向けるんじゃない。惚れてしまうでしょうが。
「…お兄ちゃんは、蘭ちゃんのこと、どう思ってるの。」
「まぁ今日はかなり可愛く見えたよなぁ。でもま、クラスメイトとしても幼馴染としても悪くない関係だと思ってるけど?」
「…それだけ?」
「うん。」
「……はぁぁぁ……。」
途方も無い馬鹿を前にしたかのような深い溜息。失礼な話である。
それとも何か?さっきまでのパーティノリがまだ残ってて、「愛してる」とでもほざいた方が盛り上がったとでも?
「…あのね、このままじゃ蘭ちゃんが可哀想だよ。」
「や、流石にさっきのはノリだって分かって…」
「分かるわけないでしょ!?見た!?あの蘭ちゃんの顔!!」
……何ともだらしなく笑っていた印象はあるが…表情一つでそこまで読み取れるものだろうか。
可哀想、そいうワードも相まって、何やらとんでもないことをやらかした気分になってきた。それならそうと、トモやひぃも教えてくれたらいいのに。
「お兄ちゃんのそういうところ、ホント嫌い。」
「お、おい…。」
「……桜恋ちゃんに報告する。」
「待てっての!あいつは今関係ねえだろ!?」
「…じゃあどうするの。蘭ちゃん、お兄ちゃんの事…」
「そんなの分かんないだろうが。それとも、蘭が俺の事好きとでも言ってたか?…俺達は、幼馴染だろうが。」
「……言われてないけど…聞かなくてもわかるよ。」
「…………意味わかんねえ。」
「お兄ちゃん!」
モヤついた気分だ。
曲がりなりにも女子である蘭から好意を向けられていることに少しばかりの興奮を覚えた。だがそれは事実であるならば、の話だ。
つぐみが加担するとは思えないが、トモやひぃあたりの揶揄いである可能性すら残っている。…第一、俺が好かれるほど蘭に何かしたかよ。あいつにはもっと釣り合う奴が…。
「お兄ちゃん。…花言葉ってね、調べたら簡単にわかるから。」
「………だから、なんだよ。」
「蘭ちゃんのこと、大事な幼馴染だと思ってるなら、お話した事覚えてるよね。」
「…………。」
花言葉、ねぇ。
意味は沢山ありますが都合のいい物だけ選ぶと…
<今回の設定更新>
○○:空気の読める男。
だが、人の気持ち迄は到底読めない。
相変わらずモカちゃん推し。
つぐみ:ちょっとおこ。
鈍感な兄に思うところは無いが、人を傷つける兄は許せない。
周りは楽しければ良しが強すぎた為か、今年の誕生日は純粋に祝えなかった。
蘭:かわいい。
想いは止まらず、感情は追いつかず。
勿論重い話にはしませんとも。
巴:主人公はトモと呼ぶ。
強ぇ。
ひまり:主人公はひぃと呼ぶ。
女子力ゥ。
モカ:長髪可愛い。
意識した花言葉
・ツルニチニチソウ:「楽しき思い出」「幼なじみ」
・パンジー・ビオラ:「あなたのことで頭がいっぱい」「信頼」
・エゾギク:「変化」「信じる恋」
・リナリア:「この恋に気づいて」
全部4月10日の誕生花らしいですね。
お、重い。