BanG Dream! S.S. - 少女たちとの生活 -   作:津梨つな

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2020/02/07 ニッチでエッチ

 

 

 

仕事の都合…それも出張の都合で海を挟んだ向こう側の都市まで行かなくてはいけなくなった。それも急遽の話。

二日ほど準備の期間があったとはいえ、数日の間一人で過ごすと言うのは何とも複雑な心持ちだ。心配やら寂しさやら、様々な思いがこもったチャットにスマホを震わせられつつ電車に揺られていた。

 

 

 

『○○くん』

『いつ帰って来るの』

 

 

『すぐって言ったろー』

 

 

『ほんとう?』

『延長とかってなったりしない?』

 

 

『飛行機さえ飛べばな』

 

 

『えー』

 

 

 

最近特にべったりだった彩はずっとこんな調子だし

 

 

 

『飛行機の時間覚えてる?』

 

 

『あぁ』

 

 

『電車降りたら寄り道しないで』

『すぐに搭乗手続きするのよ』

 

 

『あぁ』

 

 

『今何してる?』

 

 

『特に何も』

 

 

『ちゃんと彩ちゃんにも返信したげなさい』

 

 

『してるよ』

 

 

『もっと早く』

 

 

『無茶言うな馬鹿』

 

 

 

千聖は素のお母さんっぷりを全力で発揮している。

かと思えば、その二人の間を縫うようにして

 

 

 

『みてこれー』

【彩の寝顔写真】

 

 

『盗撮はやめようや日菜』

 

 

『え』

『ちゃんと撮っていいか訊いたよ??』

 

『そしたら』

『いいよぉんって』

 

 

『寝てる奴が返事するかよ』

 

 

『○○くんが』

 

 

『いや俺かい』

『待てそれ絶対俺じゃない』

 

 

『よぉんよぉんよぉんよん』

『よんよんよよんよぉんよよぉぉん』

 

『どう??るんってきた??』

 

 

『お前うるさい』

 

 

 

日菜はチャットでも煩く、まともに相手をしていたら暇も暇でなくなる。正直面倒臭いし、他に返信を待つ人間が居る以上重点を置いて構ってやることは出来ない。

…そんな中、結局のところ一番の癒しなのが、

 

 

 

『出張とお聞きしました!』

『飛行機はこれからですか??』

 

 

『お』

『誰から聞いたのー』

 

 

『アヤさんです!』

 

 

『あいつ何でも話すんだな』

 

 

『一時間くらい前に』

『寂しいよって連絡がきたんです』

『みますか?』

 

 

『大体想像できるからいいや』

 

 

『はーい』

『夜遅くで大変ですねー』

 

 

『仕事だからねぇ』

『イヴちゃんはまだ眠くないの?』

 

 

『明日は早くないので大丈夫です!』

 

 

『いい子は寝る時間なんだよ?』

 

 

『あらぁ!』

『いい子じゃないです!』

『まちがえました』

『いい子だけど子供じゃないのでまだ寝ません!』

『○○さんもそろそろオネムなんじゃないですかー』

 

 

『俺は大人だからなぁ』

『まだまだ元気一杯さ』

 

 

『私も大人ですよ!』

『ぷんぷんですっ』

 

 

『怒ったの?』

 

 

『おこです』

 

 

『えー』

『こまったなー』

 

 

『大人ですから』

 

 

『イヴちゃん』

『お土産何がいい?』

 

 

『物には釣られません!』

『でも美味しいものは何でも好きです』

 

 

『そっか』

『それじゃあおいしそうな物探しておくね』

 

 

『ほんとですか』

 

 

『ほんと』

 

 

『ほんとにほんとですか』

 

 

『ほんとにほんと』

 

 

『美味しくなかったらセップクです?』

 

 

『気合い入れないと死んじゃうのかぁ』

 

 

『大丈夫です』

『カイシャクは任せます』

 

 

『え』

『そこも自分でやるの?』

 

 

『私血が苦手なんです』

『でも美味しいものは好きです』

『○○さんもですよ』

 

 

『その並びだと俺も食われそう』

『まぁ頑張るさ』

 

 

【ジュースを飲むイヴちゃんの写真】

 

 

『相変わらず綺麗だ』

 

 

『御礼のオフショットです!』

『お土産代の前払いですっ』

 

 

『お土産に対価は求めないんだよ普通は…』

 

 

『あちゃー』

『ですね』

 

 

 

何ともほっこりする会話である。できることなら一生こうしてチャットを続けていたい。

何でもないような会話だが実に幸せだと思う。表情にも出ていたのか、向かい側でこちらをガン見していたスーツ姿の女性が何とも怪訝そうな顔でこちらを見ている。

いかんいかん、ポーカーフェイスを貫かねば。

……ええと…このままイヴちゃんとチャットを続けると破顔の限りを尽くしてしまいそうになる。一旦画面を閉じ、ピコンピコンと通知を鳴らし続けている愛すべき従妹とのトーク画面…を……。

 

 

 

『まだ返事くれない…』

【鎖骨の写真】

 

 

 

「俺はそんなニッチな性癖してねえ!!」

 

 

「…あの…すみませんがもう少しお静かに」

 

 

「あぁぁ!もうすみません!!」

 

 

 

あまりにも破廉恥な従妹の写真に思わず声が…いや、ツッコミが違うとか言っちゃいけないよ。ほかの乗客に注意されるってそこそこの煩さだよな。反省せんと…。

確かに、冷静に考えてみたら鎖骨だけのアップの写真だし、性的な部分も顔も見えていないが…俺にはわかる、この控えめな主張でありながら線の綺麗な可愛らしい鎖骨は彩のだ。間違いない。

どうしてこんなに素晴らし…破廉恥な事態になってしまったのか探るべく、チャットの履歴を辿る…。

そこそこスクロールの手間は要したが始まりのポイントを見つけた。画像もちょくちょく挟まっているせいで無駄に縦長な履歴になってはいるが…

 

 

 

『ねー』

 

『ねーねー』

『○○くーん』

 

『もう飛行機のっちゃった??』

 

『見てこれ!』

【顔の右側と髪が写った写真】

『今日美容室いったんだぁ』

 

『かわいい??』

『もっと巻いてみたの!』

 

『もー!』

『千聖ちゃんには返事してるのにー!』

『(`‐ω‐´)オコダゾ』

 

『もう乗っちゃったのかな』

 

【スマホを笑顔で操作する千聖の写真】

『日菜ちゃんがとったの』

 

『千聖ちゃんとばっかりー』

 

『ずるいよー』

『ばかー』

 

『うそ』

『ごめんね』

 

『千聖ちゃんツム○ムしてたんだって』

 

『まちがっちゃったね』

 

『(*ゝω・)てへぺろ☆』

 

【上目遣いばっちりな自撮り】

『お詫びの私おくるね』

『あ、ブログにも載せてないやつだよ!』

『○○くんだけ特別だからね!!』

 

『( ・`ω・´)』

 

『(´・ω・`)』

 

『(´;ω;`)』

 

『あのね』

 

『日菜ちゃんが教えてくれたんだけど』

『○○くんって特殊性癖さんなの』

『??』

 

『特殊性癖さんって何』

 

『これみて』

【彩視点で太腿から爪先までを見下ろした写真】

『こういうのが好きなの??』

 

『わかんにゃぴ』

『わかんない』

『ってうちたかったの』

 

『あーあー』

『全然見てくれないなー』

『つまんないのー』

『べーだ』

 

『まだ返事くれない…』

【鎖骨の写真】

 

 

 

それでこの流れになったのか…。日菜には怒りたい事と褒めたい事が半々で浮かんでいる。

…が、そんなハシタナイ写真、お兄さんは許せないぞ。保存はするがキチンと返信もしておこう。

 

 

 

『彩』

 

 

 

一文字返信しただけだが秒で既読がついた。開きっぱなしにしてんな…?

 

 

 

『あひ』

 

『ちがうよ』

『あって打ちたかったんだよ』

 

 

『おちつけ』

 

 

『飛行機まだなの?』

 

 

『まあね』

 

『写真見たけど』

『ああいう写真は気軽に送っちゃいけません』

 

 

『えー』

『だって日菜ちゃんがね』

 

 

『仮にもアイドルだろ…』

『ちゃんと返信するようにするから』

『おかしな写真送るんじゃないよ』

 

 

『嬉しくなかった…?』

『(´;ω;`)』

 

 

『嬉しかったけど』

『帰ったら生で見せてもらうからさ』

『ほら、楽しみ減っちゃうからさ』

 

 

『うん』

『○○くんのえっち』

『特殊性癖さんって日菜ちゃんの言うとおりだったんだね』

 

 

『否定はしない』

 

 

 

今の時代SNSってのも中々に恐ろしいからな。どこからどうなって流出があるかわかったもんじゃない。兎に角これでプライベート写真集の作成は防げたわけだが…

残念なことにそろそろ空港に着いてしまうようだ。残り数分で電車を降り、暫くはスマホを見る余裕も無くなってしまうだろう。…まぁ態々伝えなくてもこの連中なら大丈夫だろうけど…千聖にだけは報告しておこうか。

 

 

 

『そろそろ飛行機乗っちゃうから』

『彩たちの事、よろしくな』

 

 

『言われなくても』

『貴方も気をつけて』

 

『寂しくなったらいつでも言って』

 

 

 

**

 

 

 

千聖のお母さんっぷりとか彩の構ってちゃん具合とか、色々盛りだくさんな道中だったが…飛行機を降りる頃にはもう何も残っちゃいなかった。

電波の使えない機内ということもあって、ただ只管に彩の鎖骨と脚…それに自撮りを見比べている内に恙無くホテルまで着いてしまったのだ。

 

 

 

「……あ、そうだ。」

 

 

 

『日菜』

『大天使さんよ』

 

 

『はいはーい!』

 

 

『ぐっじょぶ』

 

 

『ひっひー♪』

『日菜ちゃんに感謝してよねー♪』

 

 

『あぁ』

『お土産何がいい?』

 

 

『あたしはね』

『○○くんが帰ってきてくれるだけで十分だよ!』

 

 

『そういうのいいから』

 

 

『るんってするキーホルダーとかがいい!』

 

 

『はいよ』

『いつものな』

 

 

『○○くん好きー!!』

【ダブルピースの自撮り】

 

 

 

「………。」

 

 

 

これは別に保存しなくていいか。

 

 

 




チャットって楽しい。




<今回の設定更新>

○○:希少価値は大事だよねってお話。
   あれ、この主人公滅茶苦茶幸せな環境で暮らしてない?今更だけど。
   最終的なベストショットは帰宅後撮影した彩の肩甲骨らしい。

彩:主人公に対してのみ構ってちゃん。
  自撮りもブログに載せるものより厳選しているようだ。

千聖:ママ。
   安定感が尋常じゃない。

イヴ:ほっこりする。いっしょに住んでいないからこその可愛らしさ。

日菜:希少価値で言うならほぼないに等しい。
   主人公がスマホを置いてどこかへ行った隙にそのスマホで自撮りを大量生産
   したりするせいだと思う。
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