BanG Dream! S.S. - 少女たちとの生活 - 作:津梨つな
「○○!!○○ってばぁ!!」
平和なとある朝。三度寝の後ぼんやりと天井を見つめていた俺のもとに、騒ぎと無駄に元気な雰囲気を引き連れた幼馴染が勢いそのままに飛び込んでくる。
因みに、名前を呼び始めたのは部屋に入ってからじゃない。玄関に入ったであろう衝撃音とともに聞こえ始めていたため、恐らくその声は数分にわたって家の中に響き続けていたであろう。
「○○…って寝てるし!!」
「朝から騒がしいんだよお前は…。」
「起きてんのっ!?」
「部屋入ってきた時から目ぇ合ってんだろうが。」
まさか俺が目を開けたまま寝ると思ってたのか?乾くわ。
「あ、そっか。…おはよう?」
「おはよう。…何しに来たんだ?」
「あ!!」
「ッ!…いちいちでけぇんだひまり…。」
「……えっち。」
「声だバカ!」
「はははっ、○○ブーメラン~。」
その、持ち上げるように腕組む癖やめろ。気にならなくても視線が行くだろうが。
第一何がブーメランだよ。お前がアホなこと言い出さなきゃ投げなくて済んだブーメラン何だぞ。言わばお前が投げさせたブーメランだ。
「……で?何の用。」
「えっとね…○○、今日何の日か知ってる?」
「今日?…学校が休みになった幸せな日。」
「他には?」
「……何かあったっけな。」
「ぶぅー……。」
「うるせぇぞ豚。」
「酷くないっ!?そういうぶーじゃないから!!」
「カワイ子ぶってんじゃねえよ…。はぁ…お前の誕生会は夜だろうが。」
今日、十月二十三日は上原ひまりの誕生日。…毎年々々こうして突撃を受けているせいで覚えてしまった。その点では学校に行っていた方が幾分かマシだったかもしれない。
小学生の頃までは可愛いとも思えていたんだけど。
**(昔)
「どうぞー」
「おじゃま…します。」
「ひまり!!そとさむくなかった?」
「うん、ちょっとね。でもほら、てぶくろつけてきたから!」
「おぉ!かわいいね、ぶたさんのてぶくろ」
「ぶぅぶぅ!!」
「ぶーぶー!あははははは!!!」
「ねえねえ○○、きょうなんのひかしってる?」
「ひまりのたんじょうびだよね?」
「あたり!おぼえててくれたの?」
「あたりまえだろー。ひまりはぼくのだいじなおさななじみだぜ!」
「えへへ…うれしぃ。」
**(昔終わり)
「……あぁ、大体俺のせいか。」
「??」
「…こっちの話だ。で?今日はお主の誕生日…の朝なわけだが何用で参られた?」
「え、誰?」
「○○でござる。大変おネムで候。」
「……ね、眠いと早いってこと?」
「真面目な顔して何言ってんだ朝っぱらから。」
漢字を間違えるにしてももうちょっと間違え方があるだろ…。そっちは絶対ダメだ。
「……あ、"のど"って書く方か。」
「あれ"喉"じゃねえよ。ほんっと馬鹿なお前。」
「うるさいよっ!○○も、そ、ソウロウのくせに!!」
「誰が早いんじゃゴラァ。」
「……た、試す?」
「試さない。何がしたくてきたんだお前は。」
早く目的を言ってくれ。何も言わずに布団に潜り込もうとする意味が本当にわからない。マジで試すのはやめろ。
「…えっとね?きっとまだ私へのプレゼント、買ってないでしょ?○○のことだから。」
「すげぇ角度の話ィ。…買ってねえし、買うつもりもなかった。」
「えぇ!?…じゃあ一体何をくれるつもりだったの?」
「なんだろうな。何も考えてなかった。」
「…私の誕生日ってそんなもん?」
目に見えて萎れるひまり。いいから早く掛け布団を返せ…朝は冷えるんだ。もう昼だけど。
「誕プレなら他の四人から貰えるだろ?…なら俺は別に物質的なものじゃなくてもいいかなって。」
「……それはそーだけど…物質的なものじゃないって何?」
「お前さ、毎年パーティ終わったあと泣きながら一緒に帰るだろ?終わるのが嫌だって。」
「…う、うん。」
祭りの後特有の寂寞感はわからなくもないが、毎回慰め役をやりつつ家まで送り届ける俺の身にもなって欲しい。
何なら家の前に着いても一緒に部屋に来いとゴネる。マジ面倒。
「だからな?今年は延長戦をプレゼントしてやる。」
「えんちょーせん?」
「………言葉の意味はわかってるか?」
「ええと、前の園長が辞任したから次の園長候補を」
「だろうと思ったよ。延ばす方の延長な。延 長 戦。」
「…っあぁ~!…なんの?」
素でやってるのかボケているのか。そのきょとんとした顔からは読み取れないが、ひまりは基盤がアレだからな。きっとおバカさんなんだろ。
「…ひーのおばかさん。」
「??」
「よくみりゃハチミツとか似合いそうな顔してんなぁ…」
「何の話…?」
「今日から君は…"ハチミツ太郎"だ!!」
「太郎…?」
「よっ!ダイナマイト!!」
「!!…お、おっぱいが?」
「持ち上げんなバカ。…ええとだな。」
「○○はほんとえっちだ…。」
それ本当に精神衛生上悪いからやめろ。
「だから、誕生会が終わったあとな?…お前の部屋、泊まってもいいか?」
「えっ!!ほ、ほんとに??泊まってくれるの??」
「…あぁ。ほら、途中どっかの店でお前の好きな甘いもんでも何でも買ってさ、お前が寝落ちするまで誕生会続けてやるっつってんの。」
「えっ、えっ、…え?本当に??いいの??」
「それが俺からのプレゼントってことでいいならな?」
「う、うん!!いいよ!すっごくいい!!私、○○とずっと一緒に居たいもんっ!!」
…そんなに規模の大きい話じゃないんだが。
「ずっとって…明日の朝、学校前には帰るからな?」
「あぅ、うん。わかってるよ。」
「……それでいいか?」
「…うん。毎年、それがいい。」
「マジか。そりゃ楽でいいな。」
勿論面倒臭がってこの結果になってるわけじゃないぞ?いろいろ考えた末の結果だからな?
「え、えへへ…嬉しいなぁ…。」
「ん。…じゃあ、誕生会までは予定もなくなったし、四度寝に入るわ…布団返せ。」
「へ?それまでも遊んでくれるんじゃないの?」
「何でだよ…貴重な休みだぞ?体力回復に努めさせろ…。」
「………もー。」
「…お前も一緒に昼寝するか?」
「!!するっ!!」
「あそ。ちゃんと起きろよ?」
「うんっ。…服、全部脱ぐ?」
「…お前のパジャマ置いてあるだろうが…それ着ろよ。」
「つまんないのー。」
結局、何だかんだ寝起きの悪いひまりのせいで、誕生会のスタートは一時間程押した。
昼寝したせいで朝まで寝かせてもらえないし、無駄に次の日も御機嫌だしで、早くもこのプレゼントを選んだことに後悔を覚えていたのだった…。
はっぴぃばぁすでぃひーちゃん。
<今回の設定更新>
○○:息抜き的な話になったかな?
ひまりのアレもすっかり見慣れてしまったようで、揺れようと持ち上げようと
言うほど気にならなくなってきた。…触るのは別。
ひまり:いつもでかい(語弊)
誕生日は皆に祝ってもらいたい派。
結局夜通しスィーツパーティと洒落込んだせいで、その後絶食期間を設ける事になる。