BanG Dream! S.S. - 少女たちとの生活 -   作:津梨つな

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2020/09/08 はかりごと、はかられごと

 

 

「ねね、〇〇って、目玉焼きには何掛ける??」

 

「……。」

 

「ねね、〇〇!!はぐみね、いいこと思いついちゃったんだけどぉ……聞いてる??」

 

「…………。」

 

「もう!朝からずーっと話しかけてるのに、全然聞いてくれないじゃん!!」

 

「………………。」

 

 

 

何故だ。

月渚に言われるがままにコミュニケーションをとったあの日。あの時の妙な達成感は今も朧気ながら覚えている。

が。

 

 

 

「まさか懐かれるとは思ってなかった。」

 

「ひえぇ、でござるな。」

 

 

 

北沢(きたざわ)はぐみ。奇しくも、俺が初めてまともに意思疎通を図った花咲川生であり、今最も俺の悩みのタネになっている少女。

泣きついたところで佐崎はどこ吹く風。いや未だに女子との交流を避けているのか。

とにかく、俺ははぐみに懐かれた。それも、扱いに困るほどに。それが事実だ。

 

 

 

『うんうん、〇〇くんの魅力をわかってくれる、いい子だよねぇ。』

 

『も、もちろん天使(ひな)ちゃんもわかってるからね??』

 

『えぇ??本当にぃ?

昨日なんて、「正直〇〇くんの何処を良さと言っていいかわからない」とか言って――』

 

悪魔(ひな)ちゃん!?ちが、ちがうでしょ!?

あれは……いつまで経っても女子が苦手とか格好つけながらも、頭の中ではとても人に言えないようなえっちな――』

 

 

 

「オイ!!」

 

「ッ!?敵襲でござるか!?」

 

「あ……ああ、いや。ちょっと頭の中で、なぁ。」

 

「…………ははぁ、〇〇殿も、大変な女子(おなご)に纏わり付かれたでござるなぁ……。」

 

 

 

可哀想なものを見る目で見られる。

はぐみのせいで心労か何かにやられたとでも思っているのだろうが、否定しても別の意味で面倒なのでやめておいた。

そう思わせておいても特に問題はないだろう。

「頭の中で声が聞こえる」などとほざくよりは。

 

 

 

「……それより、昼どうすっか。」

 

「ぬ?いつもどおり弁当でござろう?」

 

「いや――」

 

 

 

いつもならば天使(ひな)の用意した弁当を教室(ここ)で広げるわけだが、今日は違った。

朝のリビングで平謝りされたときは面食らったが、要するに寝坊して準備ができなかったと。……お詫びに何でもするだの何だのという部分は聞き流しておいたが、続けて起きてきた悪魔(ひな)が悪ノリしてネグリジェを剥いたあたりで家を出て。

一食くらい抜いても……とも考えたが、いざ昼を迎えてみれば腹はしくしく寂しんでいる。とはいえ、急な問いに佐崎も些か面食らったように手を止めている。

すまんな、楽しそうにパンの袋を開けているところに。

 

 

 

「今日はその、弁当を用意できなくてさ。」

 

「…………心労もそこまで……なるほど、拙者は理解したでござるよ。」

 

「……学食、行かねえ?」

 

「ふむ。それもまた一興……か。」

 

 

 

勘違いはそのままに。話が早いのもこいつのいいところだ。

お陰で変に気を回さずにいつも一緒に居られる。

 

 

 

**

 

 

 

「あっ!!〇〇も来たんだ!!おおぉぉぉぉいっ!!」

 

 

 

いつもどおり、混んでいるといえば混んでいる程度の人混みの中に突入したその時。発見のアラートボイスに早くも後悔の念が湧き上がった。

北沢はぐみ……お前いつも弁当派だろうに。

 

 

 

『こういうのも運命っていうんだよね!』

 

『これはもう食べちゃうしかないですなぁ!』

 

『はあ……はあ……あたし、なんだか興奮してきちゃったよ……!』

 

天使(ひな)ちゃん……キャラ立たせるなら、「るんってきた」って言わないと……』

 

『む。たしかに。……〇〇くん!あたし、るんっ♪って来――』

 

 

「ええいやかましい……!」

 

 

 

いい加減善悪両サイドに別れてくれないだろうか。

いつまで経ってもこいつらは、人の頭の中でツッコミ不在のボケまくり街道を驀進しようとするんだから、参っちまう。

思わず口を衝いて出た悪態に心底心配そうな表情をする佐崎。すまんな。

 

 

 

「〇〇殿、付け回されているんじゃ……?」

 

「俺もそんな気がしてきたよ……。」

 

 

 

人混みをかき分けながら近づいてくるオレンジの髪。家族皆同じ髪色なんだろうか――そんなどうでもいいことを思いながら、諦め半分で級友(はぐみ)と昼を共にすることにした。

 

 

 

「……はぐみ。」

 

「うん!!」

 

 

 

元気いっぱい。

もはやトレードマークと言ってもいいだろうか。眩いばかりの笑顔を前面に、一瞬で距離を詰める彼女に諦めてリアクションを返す。

自分の食事を中断してまで駆け寄って来たが……見たところ数人の女子生徒と卓を共にしていたようだが。

 

 

 

「別に俺を見かけたからと言っていちいち寄って来んでも……さぁ。」

 

「〇〇も一緒に食べる!?」

 

「聴いちゃいねえ。」

 

「えとね、席まだ三つ空いてるよ!!食べる!?」

 

 

 

勢い。こればかりはきっと、コミュ障云々関係なしに苦手なやつにはトコトン刺さるやつだろう。

隣の佐崎は早くも逃げ腰だ。さてどう返答したものか……。

 

 

『さて、選択肢といえば!』

 

『はいはーい!あたしたちでーす!!』

 

『よねー!』

 

 

「……よね!?」

 

「う??……はぐみ、ヨネじゃないよ?」

 

 

 

今までにない付け足しに思わず過剰反応してしまった。はぐみにも首を傾げられるし、いけないいけない。

心臓に悪い導入は置いといて、果たしてどんな選択肢を見せてくれるのか。

 

 

『じゃあ1つ目、天使の日菜ちゃんからです。』

 

『うんうん!』

 

『佐崎くんを追い返して、一人ではぐみちゃんとお昼を食べる。』

 

『おー。』

 

『あわよくば……というか最優先で、だけど

はぐみちゃんも美味しくいただくっ!』

 

『るんってするね!』

 

 

するか!

第一お前、知り合って間もないってのにそんな。

いやそもそもその表現は天使としてどうなんだ。

 

 

『そんで2つ目~!小悪魔の日菜ちゃんでぇす!』

 

『あ、ずるーい。それならあたしも、大天使がよかった……。』

 

『堕天使の間違いでしょ??……まいーや、2つ目はねぇ……』

 

『堕天使……それもるんってするかも!!』

 

『佐崎くんを追い返して、はぐみちゃんとお昼を食べるっ!』

 

 

だからどうして同じ意見になるんだ……。

選択肢という体すら為してないじゃねえか。

 

 

『え、ちゃんと違うよー。』

 

 

何処が。

 

 

天使(ひな)ちゃんのは、はぐみちゃんと"二人で"食べる、でしょ?』

 

『……あ!!』

 

『ふふーん。あたし、伊達に小悪魔やってないからね~。

はぐみちゃんについて行って、テーブルの全員食べちゃうっていう壮大な――』

 

 

「バカじゃねえの……?」

 

「!?……はぐみ、ばかじゃないよ!?」

 

「あ、あぁ北沢……氏、〇〇殿は時々こう……色々疲れているでござるよ。原因は言いにくいでござるが……」

 

「ささきくんはおさるさんなの?」

 

「おさ……!?い、いや、拙者はレッキとした人間であり……!!いや、霊長類という意味ではある意味……」

 

 

 

何考えてんだ。

人の頭の中だと思って好き勝手言いやがって。

普通に食事を摂るという選択肢が無いのも問題だが、両者ともスムーズに佐崎を除け者にしようとしている所も中々にクレイジーだ。

校内唯一気を許せる人間だぞ?この奇行をさらっと受け流してくれる"超"が付くほどの善人だぞ?佐崎さんだぞ?

 

 

『えーだって、ハーレムものといえば男はやっぱ一人じゃないと。』

 

『うんうん、天使(ひな)ちゃんもそう思うなぁ。』

 

 

うるせえ。

そもそもハーレムを作る気もないし、女子の中に一人で居るなんて地獄以外の何物でもない。

……か、会話とか、どうすんだよ。

 

 

『『……ヘタレ』』

 

 

「うっせぇ!!」

 

 

 

もう我慢できなかった。本日何度目になるかわからない突然の一声に、肩をすくめる佐崎と目を白黒させる北沢はぐみ。

このまま倫理観が文明崩壊レベルの脳内会議に耳を傾けていても埒が明かないし、さっさとはぐみに同行することにする。

もちろん、佐崎も一緒にだ。

 

 

『えぇ……?』

 

『〇〇くんって、ほんっとるんってしない選択しがちだよね。』

 

『盛り上がらないこと貧乳のごとし……』

 

『あ、だから小さい子好きなんだ。』

 

 

いかん。早いこと行動に出ねば。

脳内とはいえ俺の根も葉もない性癖が公表されてしまう。

……しかし待て。はぐみは良しとしても目的地のテーブルには他の女生徒が居たはずだ。

件の、六人掛けのテーブルをちらりと見やれば、二人の女生徒を確認することが出来た。

水色と桃色、それぞれ淡いパステルな髪色をした見たことのない顔で、一人は心配そうにこちらを凝視している。

もうひとりは……何やら手元が忙しそうだが……急に見知らぬ男子生徒が二人も同席することに、異議はないのだろうか。

 

 

 

「……あー、はぐみ。俺はその、一緒に食うのは構わないが……。その、なんだ。」

 

「?」

 

 

 

言葉が出てこない。

二人に許可を取りに行かせるのも違うし、「行くわ!」と元気に答えるのも図々しいだろう。

こういうアレコレ考えてしまうから人付き合いってのは面倒なんだ、大体――

 

 

『あーあー、悪いクセがはじまっちゃったよーぅ。』

 

『どうする?また選択肢提案してあげたほうがいいかな??』

 

 

隣の佐崎にも頼れそうもない。何なら俺よりもこういったことに弱いだろうし、腹もストレスその他諸々に弱い。

だんだんと自分が情けなくなってきた、その時――

 

 

 

「お、〇〇じゃん。めずらしーね?学食で会うなんてさ。」

 

「ヒ……不良でござる。」

 

 

 

そういえば今日はまだ見ていなかった、銀の髪が隣に現れる。と同時に縮こまる佐崎。

 

 

 

「月渚?……驚いたな、てっきり今日は休みかと……」

 

「ん、まぁ色々、ね。……で何してんの?」

 

 

 

朝のHRには居なかったはずだ。ついでに午前中の授業でも見かけなかったし、普段も休みがちな彼女だ。

今日も会うことは無いだろうと思っていたのだが。

突然の登場に、もちろんあのミス好奇心が食いつかない訳ない。

 

 

 

「るーくん!!るーくんも一緒にご飯食べよ!!」

 

「んー……はぐみとご飯食べると駄弁りメインになりがちだかんなぁ……」

 

「え!あ!じゃあはぐみ、食べ終わるまで静かにしてるよ!だから一緒に食べよ!!」

 

「あははは、わかったわかった。それじゃあご相伴に与かるとしますかねー。」

 

「うわぁい!!」

 

 

 

何という戦闘力、もといコミュニケーション能力。

不良は皆こういうものなのだろうか。

感心して眺めていると、二人分に増えた視線が再度降り注ぐ。

結果として横顔を見つめることになってしまっていた俺は、気怠げな方の瞳を正面きってぶつかる羽目に。

特に気にしていない様子の月渚。慌てて目を逸らした自分によくわからない嫌悪を抱きながら、次いで飛んでくる月渚の言葉を受けた。

 

 

 

「アンタも誘われたわけ?」

 

「あ、あぁ。……でも、他に連れが居るみたいだし、どうしたもんかと……」

 

「いいじゃん別に。ほら一緒に行こ。」

 

「……お、おう。」

 

 

 

来たときと同じように元気いっぱいで戻っていくはぐみの背を見ながら、半ば強引に纏めた月渚に腕を引かれる。

慌ててついてくる佐崎を尻目に、不思議と悪い気はしなかった。

 

 

 

**

 

 

 

自分の昼食を引き換えた後、再びテーブルへと戻る。

丁度六人掛けテーブルが全て埋まった状態になるが、はぐみと月渚を除いて空気が重い。

当然といえば当然だが、初対面の連中が食事の姿を晒し合っているのだ。

個人的な見解かもしれないが、食事中の自分というのはかなりプライベートな部分だと思う。

仲の良い友人でも躊躇ってしまうような、そんな印象。それが初対面ともなれば……言わずもがなである。

 

 

 

「ど、どうするでござるか?〇〇殿。拙者、早くも胃のほうがシクシク言い出したでござるよ……?」

 

「……俺にとっても初めてのことだ。とりあえず食うのに集中して――」

 

 

『もう!折角月渚ちゃんが導いてくれたのに!』

 

『そうだよ!このチャンス活かしていかなきゃ!!』

 

 

無茶を言うな。佐崎との意思伝達だけでも手一杯だってのに、これ以上……というかそもそもチャンスなのかこれは。

うんざりしつつも顔を上げると丁度斜め向かいに座っていた、はぐみの連れの一人と目が合う。と同時に何やら口が動いたように見えた。

……なんて言ったんだ?

 

 

 

「……なあ、あんた。」

 

「ひっ、ひゃっ、ひゃいっ!?」

 

「……そんなに驚かんでも。」

 

 

 

釣られて声あげそうになったじゃないか。

彼女は水色の髪の方。さっきから心配そうにこっちを……というよりはぐみを見ていた子だ。

当然ながら見覚えもないが。

 

 

 

「……なんか、ごめん。急に声かけたのもそうだけど、その……昼時に、邪魔しちゃったな。」

 

 

 

一応、謝っとくか。

 

 

 

「え、あ、いや、そんな、謝られるようなことじゃ……ふ、ふえぇ、気にしなくても、だいじょぶ、ですからぁ……!」

 

「……そうか。」

 

「……。」

 

「はぐみとは、仲いい……のか?」

 

「あ、はい、その……仲良し……かはわからないんですけど、ごはんとか、たまに食べます……。」

 

「へえ……。」

 

「え、えへへ……。」

 

 

 

いたたまれない!!

腹の底がモヤモヤする。

きっと彼女もかなりの人見知りなのだろう。

投げてもまっすぐ返ってこない言葉に、俺は早々に会話を諦めた。

あまりに間が開くせいで手元の日替わり定食が進むこと進むこと。や、無理に話しかけなければいいだけなのだが。

 

 

 

「……〇〇殿、腕を上げたでござるな。」

 

「あ?」

 

女子(おなご)との会話、中々のテクニックではござらんか。」

 

「……。」

 

 

 

佐崎の感想は、俺たちの()の属性をよく表しているようだった。

泣きそうになる。

 

 

 

「……よしっ!投稿完了っ!」

 

 

 

次に声を上げたのは桃色髪の方。さっきから何やらスマホを弄っていたようだがそれも終わったようだ。

続いて「うわぁ冷めてる!」などと騒がしい彼女だったが、暫く眺めていると流石に気づかれる。

 

 

 

「……?私の顔、何かついてます?」

 

 

 

テンプレのような第一声だったが。

 

 

 

「……いや、そういうわけじゃないが……」

 

 

 

無難な返しを、と口を開いたが言葉の途中で気づいてしまった。

この女生徒、無駄に顔がいい。

造形というべきか、表情というべきか……取り分け美人というわけではないが、妙に愛嬌のある顔つき。

小首を傾げるその仕草も、計算されたように庇護欲を唆る。

ああそうだ、これが"あざとい"か。

 

 

 

「……かっ、おっ、あっ、いや……な、なんでもない。」

 

「??……そっか。あ、はぐみちゃん、またコロッケ定食にしたんだ!」

 

「うん!うちの程じゃないけど、ここのやつもサクサクでおいしーんだ!!」

 

「へぇ~!今度、食べてみよっかなぁ……」

 

「うんうん!おすすめだよ!!」

 

「ふぇぇ……で、でも(あや)ちゃん、油物控えるって言ってなかったっけ……?」

 

「う"っ!!……そ、そうだよね、そう、言ってたよね……」

 

 

 

なるほど。あの桃髪はアヤという名前らしい。別に覚えることでもないけども。

姦しいやり取りに幾程目を奪われていたか。完全に意識の外から飛んできた声に我に返る。

 

 

 

「……〇〇、見すぎだって。陰キャ感めっちゃ出てるし。」

 

「なっ……そういうもんなのか?」

 

「ん。クラスの一番かわいい子に中々声掛けられない小学生みたいだった。」

 

「具体的な……それに別に可愛いとかは考えてないし……」

 

 

 

茶化す月渚から再度アヤの方へ視線を動かす。

……うおぉ、やっぱり顔がいい。

 

 

 

「ね、月渚ちゃん。知り合い??」

 

「ええまあ、同じクラスの……私とアンタって、知り合いなのかな?」

 

「……どうだかな。」

 

「……ま、同じクラスのヤツって感じです。彩さん。」

 

 

 

月渚の感じから察するに先輩?っぽい。そうは見えないが。

 

 

『ほほう、これはきょーみ深いですなぁ。』

 

『ですなぁ。』

 

 

油断していた。

脳内でまた騒がしくなり始めた二人の声を振り払うように、手元の日替わり定食を滅する作業へと集中する。

月渚はいつもの調子でアヤの相手をしているし、こっちに話を振ってくるやつも居なさそうだ。

気を抜けばまた脳内天災に巻き込まれかねないし、ちらっと見た佐崎も限界そうだし……早いとこ飯を片付けて教室へ戻ろう。

 

 

『かわいい、だってさー。』

 

『ね。聞き捨てなりませんね。家に帰れば最高にキュートなあたしがいるのにさー。』

 

『これはひょっとするとひょっとするかもしれませんなぁ。』

 

『ヘタレにも春が来るかもしれませんなぁ。』

 

 

…………よし、食い終わった!

 

 

 

「佐崎ぃ!!」

 

「!?……い、胃に響くでござる……。」

 

「それはすまん。が、俺も食い終わったし、もう教室戻らないか?」

 

「おぉ、それは僥倖……!では早速――」

 

 

 

とっくに片付いていたパンの包みを握り立ち上がる佐崎。続くようにトレーを引っ掴み立ち上がる俺。

……に静止するがごとく投げられる声。

 

 

 

「え?まだ昼休み中じゃん?折角なんだから駄弁っていけば?」

 

「いや、俺たち用事が――」

 

「どーせまた二人でヨロシクやるだけでしょ?……こんな可愛い先輩方と交流する機会なんてそうそうないんだし、楽しんで行きなってば。」

 

「ふぇ!?か、かわいい……??」

 

「月渚お前、一体どういうつもりで……」

 

「別に?女の子相手にして強く意見できるならいいけど?どうすんの?」

 

 

 

無視して行っちまえばよかったと今になって思う。だが耳を傾けてしまった。足を止めてしまった。

不覚……!

ニヤニヤとすっかり楽しんでいらっしゃるご様子の月渚を前に、視線を彷徨わせることしか出来ない俺の背に、すっかり歩き出す気満々だった佐崎がぶつかる。

「わぷっ……でござる」じゃねえよ。キャラの徹底がすごいな。

 

 

 

「る、月渚ちゃん……その子困ってるみたいだし、その、無理強いは良くないんじゃ……」

 

花音(かのん)さん、男友達いましたっけ。」

 

「ふえぇ!?……そ、その、私のクラス男の子いないから、交流もあんまり……」

 

「じゃあ丁度いいじゃないですかー。……この男、さっきからお二人の可愛さにやられてるっぽいですし。」

 

「ふえ……ふえぇ!?ど、どど、どういうこと……?」

 

 

 

すっかり勢いに乗った不良娘の口車により退路がどんどん断たれていく。アヤは不思議と満更でも無さそうにこっちを見上げているし、カノンと呼ばれた水色髪の先輩もチラチラと視線をくれる。

くそぅ、俺は一体どうしたら……

 

 

『んふふ、困っているみたいだねぇ〇〇くん。』

 

『しょーがないなーもー。ここは、堕天使であるあたしが道を示してしんぜよー。』

 

『小悪魔の日菜ちゃんもいるよ!!』

 

天使(ひな)ちゃんの案、

"甘んじて美人の先輩達と繋がりを作っちゃう"!』

 

『続いて悪魔(ひな)ちゃんの案、

"親切なクラスメイト(るなちゃん)の厚意を無下にして逃げ出す"!!』

 

『『あははっ、どっち??』』

 

 

くそう……くそう……!!

 

 

 

「こんな時ばっかまともに意見別れてんじゃねえよ!!」

 

 

 

魂の叫びを前に、くふふと小さく嗤う路鹿毛月渚と、騒ぎに目もくれず飯を掻っ込む北沢はぐみが印象的だった。

ごめんよ、佐崎。

 

 

 




月渚ちゃん大活躍




<今回の設定更新>

〇〇:そもそも他人という存在が苦手なタイプ。
   だというのに周りがどんどん埋まっていき……

日菜:今回も絶好調。
   存在は説明すると長くなるので雰囲気で抑えておいてください。

はぐみ:案外食べるのが遅い。

花音:境界線の上学年組。
   主人公たちの学年以下のみ合併が行われたため、上級生は女子校生活
   継続中。ひゃっほう。

彩:とにかく顔がいい。
  あとは……とにかく顔がいい。

月渚:主人公が困ってると楽しい。

佐崎:南無ー。
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