BanG Dream! S.S. - 少女たちとの生活 - 作:津梨つな
「やぁやぁ久しいね、〇〇氏。」
「何だその喋り方は。」
教室で一人読書に勤しんでいるところへやってきた同級生の女子…大和麻弥。いつも変と言えば変な奴だが、今日はいつにも増して頭がずれてしまっているようで。
顔を見るまで誰に話しかけられているんだか分からなかった。…いや、顔を見ても、一瞬分からなかった。
「今日は眼鏡じゃないんだな、麻弥。」
「あっ、気付いたっすか?……じゃない、気付いたのかね。〇〇さん…じゃないや、〇〇氏。」
「いやもう普通に喋れ。一貫できてねえじゃんか。」
「やはり自分を偽るというのは難しいっす。」
「どうして急に変えだしたんだ?」
「実は……」
麻弥の話を要約すると。一応芸能界に属す麻弥に、とある映画の出演依頼があったそうで。それがまた胡散臭いアイドル学者(?)の役で、役作りも兼ねて喋り方を変えているそうだ。眼鏡をコンタクトレンズに換装しているのも、メディア出演時に照れないように慣れる為らしい。
…どうも普段の麻弥を知っている身としては、不可能に近いオファーだとは思うんだが…。
「まぁ、眼鏡を掛けないってのは良いと思う。個人的な感想だがな。」
「そ、そっすか?……でも、あまり落ち着かないなって気はします。」
「最早体の一部だな。」
「眼鏡が本体ってのは、眼鏡キャラのお約束っすからね。」
そんなお約束は知らんが、眼鏡を掛けていない麻弥はかなり可愛い部類に入る。折角の整った顔だし、普段も眼鏡で隠しているのは勿体ないと思うんだが。
「そんなこと言って、ジブンがモテ始めたらどうするんです~?それから嫉妬しても遅いっすからねぇ。」
「嫉妬?する訳ねえだろ。」
「ちょっとはしてくれたっていいじゃないっすかぁ!」
「モテるのは良い事じゃんか。みんなが麻弥の可愛さに気付くって事だろ?…俺は別にモテたいとは思わねぇし。」
「あーいや、うん、そういう事じゃないっす。」
モテ始めた女子に嫉妬する男ってのも嫌な構図だろ。モテてきたってんなら、俺は素直に祝福すると思うね。逆に今これだけクラスで浮いてる意味が分からないし。
…あいや、それは嘘だ。こいつは浮く。…中身がアレだからな。
「…そういや、何か用があったんじゃないのか?」
「え?」
「態々話しかけてきたろ?」
「いや、別に…何もないっす…けど。」
「あそう。変なの。」
「きょ、今日のご予定は何かあるっすか?」
「帰り?」
「はい。」
「………青葉と飯食って帰るくらいかな。」
「…また青葉さんっすか。」
そう言われてしまうのも仕方ないかもしれない。ここの所登下校はずっと青葉と一緒だし、下校時は必ず何かを食べてから帰っているし、お互いそんなに広い交友関係も持っていない為必然的に二人きりになる。なんだ麻弥よ、お前も何か言いたいのかよ。
「…悪かったな、ぼっちで。」
「そ、そういうことを言いたいわけじゃないんすよ。…ジブンも、ぼっちですし…」
「…じゃあなんだよ。」
「ジブンも混ぜてほしいっす!!仲間外れは嫌っすもん!」
「お前、小食じゃん?」
「お二人が大食い過ぎるんすよ…。」
青葉はとにかく吸い込むからな。見ていて気持ちいいんだが、絶対体の体積以上の物を飲み込んでると思うんだよ。どういう仕掛けなんだあのダイ〇ン。
大して麻弥はと言うと、小食も小食。前に俺の昼飯に合わせて学食に行ったときなんか、ミニのかけうどんを残しやがった。限界です~とか言って突き出してきた残りを引き受けたが、ものの二口で平らげちまったよ。エラく驚いた表情をしていたが、俺にしてみりゃ一口分にも満たないんだよなぁ…。
「……で?今日はいっぱい食べられる日なのか?」
「うっ……が、頑張るっす…。」
「うっし、それなら良いだろう。…んじゃ、
「りょ、了解っす!!……あわわわわ。」
こうして地獄の大食いツアーに小食小動物ちゃんが連行されることとなり、渦中の小動物ちゃんは早くも恐れ戦きだしている。
…まぁ、多分また最後までは付き合いきれないとは思うが、それでも付いて来たいというのだから、本当に意味が分からない。
「……ほんとに、無理してこなくても」
「行くっすからぁ!!」
「会話は食い気味なんだな…」
モカちゃんは一回お休みね。
<今回の設定更新>
〇〇:登下校はモカと手を繋いでランランしているらしい。羨ましい。
麻弥:基本的に演技ができない。他人も自分も騙せない、いい子なのだ。
結局この後、即効ギブした。