BanG Dream! S.S. - 少女たちとの生活 -   作:津梨つな

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2019/11/29 二曲目 まじかるくっきんぐ

 

 

 

歌詞とは言葉。言葉とは想い。

時に人は己の想いを誰にも打ち明けられず、それでも留めておく事ができず…

身近にあるもの、そう例えば何気ないノートや日記帳なんかに吐き出すこともある。

 

人によってはそれを揶揄ったり馬鹿にしたりと、嘲笑うこともあるのかもしれないがそれは間違いで。

想いの速さに身を任せ、想いの強さに腕を動かし、想いの丈を書き殴る。これ程までに純粋な人の心が表れる…所謂"ポエム"と呼ばれる其れ等こそ、愛するべき物なのだ。

 

 

 

**

 

 

 

「…あら?あなたは…」

 

「奇遇だね紗夜。今帰りかね?」

 

「ええ……また日菜の所に?」

 

「まあそのようなものだよ。…ああそうそう、時に紗夜。」

 

「何でしょう。」

 

「帰りということは、今ほんの少しだけなら時間を頂けるだろうか?」

 

「……また作品を読めと、そういうことでしょうか?」

 

「察しが良くて助かるよ。つい今しがた思いついた物なんだが…。」

 

「例によって私がモチーフなのでしょう?」

 

「ああ。日菜の元を訪れて君について考えるというのも可笑しい話かもしれないが…閃とはそういうものだ。」

 

「わからなくはない話ですね。理解できる事象ではないけれど。」

 

「ふむ。……それでは、そこの喫茶店にでも入ろうか。」

 

「『羽沢珈琲店』…?まぁ初めて行く店でもないですし、いいですよ。」

 

「そうかねそうかね。今日は私の奢りだ。」

 

「あら、紳士ぶるおつもりで?」

 

「いやぁ、はっはっは。」

 

 

 

 

 

* * *

 

 

 

 

 

"あなたを見ています"

 

"だけれどもその視線に 熱が篭もり過ぎていないか心配で"

 

"ドキドキと早鐘を打つこの(ハート)に 気づかれてしまいそうで"

 

"溶けてしまいそうなこの気持ちは あなたがくれたものなのでしょうか"

 

"あの日教わった まるで魔法のようなレシピで掻き乱される私"

 

"これが恋という料理(モノ)ならば その隠し味はきっと、沢山の砂糖(シュガー)とほんの少しの刺激(スパイス)"

 

 

 

「…ふぅ。」

 

 

 

 あの日以来、どうしても貴女の一生懸命な表情が、直向きで真っ直ぐな瞳が、涼やかに響く声が、軽やかに動く細い指が…そのどれもが頭から離れないのです。

 少しでも気を緩めたならば、まるで堰を切るかのようにその想いが溢れてしまいそう。

 

 …嗚呼、貴女の元に行きたい。またお菓子作りを教わる()()をしながら貴女のことを深く知りたい。

 勇気を出してあの扉を押せば会えるだろうに、私の足はそれ以上は踏み出してくれないのです。

 

 

 

「…はぁ。」

 

 

 

 出てくるのはため息ばかり。わかっています…これが想いを封じ込めている蓋から漏れ出る"想いの隙間風"だってこと。

 もしも全て吐き出せてしまえたら、すべてぶつける事ができたら、貴女はどんな顔をして受け止めてくれるのでしょうか。

 

 

 

「んん"っ…。」

 

「…私の本当の気持ち、聞いて…ください。」

 

「~~~~~~~~ッ!!!!!」

 

 

 

 何を言っているの私は。だってこんなの、私らしくもなければ恥ずかしすぎる。

 …………言えるわけがない。こんなに欲張りで甘すぎる秘密。

 それでもきっと止めることはできない。…届けたい、私が蕩けてしまう前に。

 

 この気持ちも、貴女に伝えたい言葉(リリック)も…焦げ付いてしまう程熱い想い。

 貴女のことを思い浮かべるだけでときめきを伝えて止まないこの心。その胸の内に秘めた気持ちはほんのりビターなガナッシュのよう。

 

 誰にも打ち明けられない。勿論貴女にも。

 …でも、この小さなキャンバスに吐き出すくらいはいいですよね。

 

 

 

"私の本当の気持ち、聞いてください"

 

"ずっと止まらないこの想い 全部全部あなたに届けたいんです"

 

"だってこのままじゃ弾けてしまいそうだから"

 

"出来ることならば曝け出したい ずっと本当の私を見ていて欲しい"

 

"ふわふわと胸焼けしてしまいそうな甘さの中に落ちていくような"

 

"きっとこれが 恋心"

 

 

"私の本当の気持ち、聞いてください"

 

"あなたと過ごした僅かな時間でさえ キラキラ輝く宝石(キャンディ)のような思い出"

 

"叶うならば気付いて欲しい 私の抱えきれないほどの気持ちに"

 

"そしていつかきっと あなたと夢のような蜜月(ドルチェ)を"

 

 

 

「……なんてね。」

 

 

 

 叶わぬ想い。祈りにも似たこの気持ちを。

 そっと閉じて仕舞っておこう。私だけのノートの中に。

 

 

 

 

 

* * *

 

 

 

 

 

「な……な………な……ッ!」

 

「読み終えたかね。感想を」

 

「こっここここここここ」

 

「…はて、鶏なぞ登場しなかったはずだが。」

 

「ここっ、これを、どこで…」

 

「そりゃ勿論、先程君の家にお邪魔した時だがね。」

 

「だだ、だって、あのノートは、ちゃんと仕舞っておいたはず」

 

「その辺は俺が知ったことじゃあないがね。…日菜が持ってきたのだよ。」

 

「……ぇ…?」

 

「丁度創作の話になった時だったか…「おねーちゃんも小説書いてるんだよ!」とか言ってな。」

 

「み、みみみっみ、見たの??」

 

「あぁ、全部な。」

 

「忘れなさい!!今すぐ全て忘れて!?あれはその違うの、全部全部その」

 

「何を慌てている。……俺はね、君がとても愛おしくなったのだよ。」

 

「なっ………!?はぁ!?」

 

「人を愛する気持ちというのは、生物が本能から忘れずに持ち続けている最上に美しい宝だ。決して無くしてはいけない、始まりの心。」

 

「…………馬鹿にしてるの。」

 

「そんなことないさ。その溢れんばかりの想いを吐き出せずこっそり書き溜めていたのだろう。」

 

「態々言葉に出さないでくれるかしら…?」

 

「愛い。とてもな。……いずれ伝えられる事を願い、応援させてもらうよ。」

 

「…ち、違うから、そういうのじゃないですからね?ほんとに、ほんとですよ?」

 

 

「失礼します!ええと…ブレンド二つと、こちらが来月から始まる新作の…」

 

 

「おぉつぐみ、いつも美味しいスイーツを感謝するよ。」

 

 

「そんな…○○さんはいつも良くしてくれてる常連さんですから!」

 

 

「そうかね。それじゃあ遠慮なく頂くとしようか…。」

 

 

「それにしても珍しい組み合わせですね。紗夜さんとだなんて。」

 

 

「ふふ…まあ色々とね。」

 

「つっ、つつつつ……つつつつ」

 

 

「???紗夜さん、どうしちゃったんですか??」

 

 

「ああ大丈夫、君は仕事に戻り給え。」

 

 

「あっ、そ、そうでした!…ではごゆっくり!!」

 

 

「君も、折角運ばれてきた珈琲が冷めてしまうよ?」

 

「……はぁ…はぁ…はぁ…分かっててここに連れてきたんですか…?」

 

「はっはっは。…まぁ、とりあえずこのイヤホンをだね…」

 

「またそうやって誤魔化す…!!」

 

「はっはっは。…今一度、素敵な調べに心を委ねると良い。」

 

 

 

"まじかるくっきんぐ"

 

 

 

 




不思議と元気な曲や電波っぽい曲も心にしみる瞬間があるんですよね。




<今回の設定更新>

○○:相変わらず謎が多い。
   取り敢えず交友関係の幅が凄い。

紗夜:ポエマーさん。
   とっても純でとってもか弱い。

つぐみ:かわいい。
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