BanG Dream! S.S. - 少女たちとの生活 -   作:津梨つな

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本シリーズは【白金燐子編 Platinum dayS】の第二部となります。
第一部をお読みいただいた後の方がより楽しめるとかなんとか…。


【白金燐子Ⅱ】Platinum harlem dayS
2019/12/11 俺「ハーレムに幻想抱いてる奴、ちょっとこっち来い。」


 

 

 

師走。師も走り回るほど忙しいとはよく言ったもので。

現在全力で社畜人生を全うしている俺も、勿論例外じゃあなかった。まぁ確かに?家に帰れば恋人が癒してくれる…回復装置があるってだけで勝ち組なのかもしれんが、その恋人だって同じ職場で死ぬ思いをしてんだよなぁ…。

…と、仕事の手を止めていた俺に、上司からのキツイ叱責が飛んでくる。

 

 

 

「ちょっと何ボーッとしてんの。……あ、今あなたえっちなこと考えてたでしょ。」

 

「ちげえや。」

 

 

 

俺の属する部署の上司に当たるこの女。長い銀髪を腰まで伸ばし、スーツに着られているようにさえ見える小さなボディ。顔について特筆すべき点は無いが、恐ろしく目つきが死んでる。

顔が死んでいるわけじゃないが、終始ジト目?とかいうやつで見てくるのだ。瞳は綺麗なもんだが、あまり見つめていると口説かれそうになるので凝視できたもんじゃない。

 

 

 

「どうしてそう思ったんで?」

 

「…すっかり元気なんだもの。」

 

「あんたこそちゃんと仕事しろよ…」

 

 

 

少なくとも周りが慌ただしく動き回っている中で部下の股間を凝視しているような上司に叱られる謂れはない。これ以上俺の()()プライバシーを侵されちゃ堪ったもんじゃない。背を向けるように椅子の向きを変える。

 

 

 

「あはっ♪どうしたんですかー○○さぁん。」

 

「……こっちはこっちでなぁ…。」

 

 

 

向きを変えることにより視界の中央で捉えることとなってしまう、ピンク髪の女性。そのスーツが少しキツそうに見えるのは、恐らく一部が非常に山盛りであるためだろう。…いや、特盛かな。

明朗快活でとてもいい部下ではあるんだが、こいつもこいつで問題が…

 

 

 

「あれぇ、元気ないですねぇ!………あ、なるほど、そっちに元気を持って行かれちゃったわけですね!さっきもしたばかりなのに、またしたくなっちゃったんですか?」

 

「何も言ってないよね?…あと、君もどうしてそうシモ方向に元気一杯なの?」

 

 

 

あのクソ上司と同じ、やたらと過激な発想をお持ちの彼女は例えるなら肉食獣。俺の色々を常に虎視眈々と狙い続けている子なのだ。

…勿論、モテていると言えば聞こえはいいし悪い気もしない。だが、既に彼女持ちの俺だ。濫りに淫らな関係を増やしていきたくは無い。

 

コツン

 

 

 

「あいた。」

 

「…お疲れ様です。」

 

「んぁ?…ぉお燐子(りんこ)、また急ぎの発送でもあったのか??」

 

「いえ、私の部署は今日……割と暇なので……。」

 

「じゃあ何で…」

 

「いちゃつくなら、私の見えないところで……って、言いました…よね…?」

 

 

 

後頭部を小突かれ振り返った先に立っていたのは、恐らく女性にしては高身長で透き通るような黒髪を腰まで伸ばし、パンツルックのスーツが今日も似合っているMy Sweet Heart。

向かいのデスクからじっとりとした嫉妬光線を放つ桃色の双丘といい勝負になりそうなモノをお持ちで、そのあたりも非常にドストライクな彼女だが、そもそもこの混沌(カオス)な状況を是としているのもまた彼女なのだ。…ううむ。

 

 

 

「そもそも禁止すりゃあいいんじゃないの?」

 

「それは……きっと(みなと)さんや上原(うえはら)さんには通用しない…ので……。」

 

「いやぁ…流石に言ったら聞くとは思うぞ…」

 

「表向きは…ですよね。」

 

 

 

あぁ……。そういやそうだった。今こそ燐子の許可があるから表面上の下ネタ合戦程度で済んでいるが、完全禁止にするとどう動かれるか分からないと言う事か。

勿論俺は禁じられている不貞行為に走る気は更々ないし、何かされた時には報告も必ず都度するが…水面下、という部分が恐怖でならないんだろう。

 

 

 

「…俺、愛されてんなぁ…。」

 

「当たり前です……ハジメテで最後の男の人…なんですから。」

 

「燐子さん、それもうプロポーズじゃないですか。」

 

「私は最初から…そのつもりですよ。」

 

 

 

…重い。

俺も燐子のことは好きだけど、言動の端々にやたらと重い影が差すことがある。まぁ多少重かろうと気にしないようにはしているのだが、こうして他の女性が絡むとヘビィ燐子が出てくる仕組みになっているらしい。

気を付けなくては。

 

 

 

「…ですからくれぐれも、見えないところで…ね……。」

 

「その念押しは…まぁ、わかったよ。」

 

「………流石の威圧感ですねぇ…お家でもあんな感じなんですか??」

 

「いや、君らが居る時だけだよ。…あぁもう、いつの間に隣に来たんだひまりちゃん。」

 

 

 

言うだけ言って帰って行く背中と靡く様に揺れ動く黒髪を見送る。考え込みがちだったり、根幹が割と暗い性格だったりと…あれはあれで色々大変なんだろう。

隙を見つけたようで左側のデスクとの間、丁度人一人がしゃがみ込める程のスペースでこちらを見上げる桃色の双丘持ちに話しかけられる。狭い所で目が合って固まるハムスターみたいだな。

 

 

 

「ふぅん…私達、悪いことしちゃってるんですかね??」

 

「今更だなぁおい…。」

 

「でも、私○○さんが大好きなんですもん。燐子さんの為に退くなんてできません!」

 

「なんだかなぁ。」

 

 

 

普通は好きな人に恋人が居たら諦めると思うんだが…どうやらこの部下と、あのちびっ子上司は違うらしい。本妻が駄目なら愛人、恋人が駄目なら都合のいい関係…と、位を落としてしがみつこうとする。或いは、己の肉欲を満たす為だけに"丁度いい人"として利用しようとしているのか。

さっきだってそうだ。トイレから出るなりいきなりひまりちゃんに呼び止められ…いや、これ以上は言うまい。

 

 

 

「ちょっと。」

 

「…何すか。」

 

「「何すか」じゃないわよ。何堂々とお喋りしてる訳?」

 

「いやいや、それはひまりちゃんの方から一方的に」

 

「そんなに暇なら仕事を割り振ってあげなくちゃね。……こっちに来なさい。」

 

「やっ、そんな暇じゃ、あれ力強いね!?」

 

 

 

相変わらず死んだ目の上司にむんずと右腕を掴まれ、そのままオフィス内を引き摺られる俺。大の大人の男が自分の胸程までしかない身長の女の子に成す術なく連行される様はさぞシュールな事だろう。

ただ、この職場ではこれが普通、割と日常茶飯事なのも困りものだ。

 

 

 

「ンフー、ンフー」

 

「鼻息荒すぎだろ友希那(ゆきな)……お前、俺に仕事させる気ないな?」

 

「うるっさいわね。奉仕だって立派な仕事よ。」

 

「上司に奉仕する仕事がどこにあんだよ、どこにぃ!」

 

「笑止。どんな内容であっても上司に指示されたらやるのが道理。」

 

「お前の気紛れで職権を濫用すんじゃねえよ。」

 

 

 

オフィスを出て廊下をひたすら歩く。掴む位置を腕から手に変え、鼻息荒く早足で歩く上司に最早恐怖すら感じる。こいつ、本気なんだなって。

本気で俺を食っちまう気なんだ…。少し距離を取って歩いてくるあたり、きっとひまりちゃんも参戦するんだろう。それを友希那が良しとするかは分からないが…。

 

 

 

「いや、流石にこのクソ忙しい中で三人もサボるのはダメだろ。俺は仕事に戻」

 

「これも仕事でしょう?お給料も発生する上に、あなただって満更でもないでしょ?」

 

 

 

そりゃまぁ…好意云々は抜きにして行為だけで考えれば…男の子だし…。

 

 

 

「いやでも、燐子に申し訳ないというか…!」

 

「あっ、それは大丈夫ですよっ♪」

 

「ひまりちゃん!?なにがっ!?」

 

「前にお話しして知ったんですけどぉ、多分燐子さんってネトラレもいけるクチなんですよぉ。」

 

「君ら何の話してんの?」

 

「…??…性癖。」

 

「答えんでいい。」

 

 

 

ああもうだめだ。この二人に捕まっている時点で、恐らく俺のスタミナ低下は避けられない運命なんだ。

…ごめん燐子。ちゃんと後で全部報告するし、俺の一番は君だけだから…ッ!

 

 

 

「別に私たちは二番でも三番でもいいのよ。」

 

「一番って言ってる辺り、複数を想定してますよね。さすが○○さぁん♪」

 

「じゃかましいっ!」

 

 

 

 




ただいま。




<今回の設定更新>

○○:燐子とは同棲を始めたらしい。
   早出に残業に休日出勤と、仕事では散々な模様。
   まいにちたのしいね。

燐子:懐が広いのか仕方のない予防線なのか…。
   何にせよ、あれだけ彼氏が弄られ(物理)ているのに愛が冷めることが無い
   のは本当にすごいと思う。
   ネトラセもイケるらしい。

友希那:ちびっ子モンスター。急な思い付きでとんでもないことを始める。
    かわいい。

ひまり:よく弾みよく沈み込む。一応一番の座を諦めてはいない。一応。

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