乗っけから読者の皆様に質問がある。
【貴方は子供の頃、漫画やアニメの技を習得しようとしたことがありますか?】
答えは人によって様々だろう。
英才教育を受けていたためそんなことを考える暇など無い、という人もいれば『かめはめ波ぁ〜!』と両手を突き出して遊んでいた人もいるはずだ。
だが、所詮は只の紙に描かれた空想の産物。
誰も習得などできなかったと思われる。
子供達は、そんな絶望を味わって(一部除く)一歩大人の階段を登るのだ。
『俺の街に、落ちてくんじゃ、ねぇ!』
「かっけーっ!」
そしてここにも、道端に落ちていた『ワンパンマン』を読む『ワンサマー』こと『織斑一夏』少年がいた。
「スッゲー!おれもパンチ1発で隕石をこわせるくらい強くなりてー!」
あぁ少年、それは現実的には不可能だ…。将来開発される『IS』ならともかく、ただの人間だとまず隕石に拳が届く範囲までの跳躍は無理なのだよ…。
「うーんでも、隕石こわすだけだと他の家が壊れちゃうのか……あっ!それなら空中をけって、散らばった隕石を粉々にしに行けばいいんだ!」
さらに無理難題をおっしゃりやがる。
「……いや、そんなことよりもっと簡単な方法があるっ!」
あっ、めっちゃキラキラした瞳。
これは子供らしいとんでも発言の予感。
「サイタマも超えるくらいのすっっっっごい力で隕石まるごと消せばいいんだ!おれってもしかして、天才!?…いや、束ねぇねがいるからそれはないか」
天才ではなく天災ですぞ。
あの兎は比較対象にいれても無意味だ。
スペックが違いすぎる。
「よーし!それなら早速特訓だー!とりあえず腹筋とか腕立て伏せとかマラソンをめっちゃやるぞー!手始めにマラソン50km!腕立て伏せ1000回!腹筋1000回だ!あと、岩とかをこわす訓練もしないとな!」
一夏少年は決意した。
…まぁ彼はまだ小学生だ。辛いことに打たれ弱い時期だし、すぐに諦めるだろう。
☆☆☆☆
ここはとある村の小さな火山。
村の人々には信仰の対象となっている神聖な山だが、同時によく噴火する危険な山でもある。
村人は、噴火を神の怒りと認識し、それを治めるために食物を捧げたりしているのだが…そんなもので治るなら全国から火山の噴火は消えている。
「か、神がお怒りだ!皆の衆!もっと祈りを!祈りを捧げるのじゃあ!」
この村の村長が慌てた様子で村人に叫び散らす。
信仰している山が、噴火するという予報を見たからだ。
「も、もう限界ですよ村長!早くここから逃げましょう!」
「こんなところに居られるか!俺は村を出る!」
「何をいうか!貴様等のようなものがいるから神の怒りが収まらんのじゃよ!さぁ祈れ!今はとにかく祈るのじゃあ!…そこのコソコソしているのを捕まえろぉ!逃げずに祈るのじゃ!」
「ぐっ!何をする!HA☆NA☆SE!」
火山活動が活発になり、いつ噴火してもおかしくない状況。なのに村人が逃げ出さない……いや、逃げ出せないのは村全体を包み込む固定概念と村長の独裁によるものが原因だった。
……そして、そのツケが回って来る時がきた。
【ドガァァァァァン!】
火山が噴火し、その勢いで吹き飛ばされた大きな岩が村に降りかかろうとしている。
「も、もうダメだぁ、お終いだぁ…」
「短い人生だったなぁ…」
「せめて最後に一枚写真でも撮るか…」
多くの村人が死を覚悟し、俯いた。
その中で村長とカメラが趣味の男のみが上空を見上げている。
………そして、二人は見た。
「ワン…パァーンチィ!!」
赤一色の手袋、長靴を履き、黄色の全身タイツの上から白のマントを纏った少年を。そしてその少年が空中で思いっきり拳を振る仕草を。
だがその二人は最後までどうなるかを見届けることはできなかった。
何故か?それは…。
【………ズゴォォォォォォォォォッッッ!!】
一瞬の沈黙の後、凄まじい音が彼らを襲ったからだ。脳はそれを受け止めきれず、気絶という自己防衛手段をとったのだ。
…だが、カメラマンの意地なのか、カメラが趣味の男は執念で撮影ボタンを押していた。
……そのカメラは腕を振り切った短髪の少年と消え去った山と思われる場所が写っていた…。
……………………忘れていた。
織斑一夏が無駄に意地っ張りなのと、無茶苦茶な回復力や才能を持っていることを。
だが、いくら才能に恵まれたとはいえども、力の代償はある……今はまだ無いが、将来必ず何らかの形で現れるだろう…。
☆☆☆☆
原作開始まで一気に時間が飛んだ。
「(あー…これはちょっとキツイ……服、新調するべきだな)」
織斑一夏は原作どうりの展開(一部違いはあったものの似たようなものである)でIS学園へと入学。
勿論、女性しか動かせないはずの『IS』を動かした男性だから……なのだか…。
「(ヤベッ…また抜け毛だ…ストレスかな…?)」
本来は、本来ならイケメン男性操縦者として注目を浴びるはずなのだが…彼には2点ほど原作との相違が存在している。
まず1つ目。
服装がIS学園の制服ではないこと。
まぁ、これは実質女子校のIS学園なのだから男性用の制服がないのは仕方ないと言える…だが…。
「「「(……なんで全身タイツ!?)」」」
「(おほっ、いい体…)」
「(今なんか寒気が…あっ!また抜け毛!ヤベーな全然育毛剤役に立ってない!)」
赤一色の手袋、長靴を履き黄色の全身タイツの上から白マント。
目立つどころではない、最早不審者だ。
だがそれ以上に注目を集めているのは頭である。
一般的な男性よりも少し長めだが、それは問題じゃない。……なにせ、彼の頭の一部は———
「「「(……10円………ハゲ…?!)」」」
「(なんだか本当に猿っぽいですわね…)」
「(———今、盛大に喧嘩売られた気がする)」
—————ハゲていた。
多分一夏の魅力値的なのがあったら元の3分の一くらいまで減ってると思う。
あと、ここの一夏はワンパンマンことサイタマに憧れてすぎて形から入った結果現在のような服装で彷徨くようになりました。
Q:だれか止めなかったのか?
A:それは次回以降に話します。