抜け毛の激しいワンサマー   作:無個性のソーイお茶書き

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……深夜テンションMAXで書くとこうもまとまりがなくなるのか…。


親善大使様

【side ハゲサマー】

 

うー…どうもわからない。

 

今二限が終わったばかりなんだが、まるで理解が追いつかないし、及ばない。

 

『こーれは勉強会しないとですかね』

 

そもそもあの分厚い辞書みたいな参考書を見て、武器になりそうとしか思えなかった俺に、勉強は意味ないんじゃないだろうか。

 

『弱音吐かないの!エロサマーらしくないよ』

 

誰が、エロサマーだ、誰が。

 

ったく…。

束さんがこの服がスムーズに動作を進行できるように人工知能を入れてくれたのはいいけど、たまに、いや結構な頻度で毒吐くんだよなぁ。脳内に直接送ってくるタイプのやつで。

 

しかも自分のことをISだと思い込んでるし。

 

まぁ、実際IS見たいなとこはある。

空飛んだり、武器だしたり。

 

だが、こいつの本質は『俺の体を鍛える』ことなのだからISには分類されないと思う。

 

「ちょっと、よろしくて?」

 

「ん?あぁ、いいぞ。何の用件だ?」

 

そんな風に独白している俺に、周りの女の子が牽制しあっている中堂々と声をかけてきた人がいた。

 

そいつは地毛の金髪が鮮やかで、白人特有の透き通ったブルーの瞳が、ややつり上がった状態で俺を見ている。

 

「まあ!なんですの、そのお返事。わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるんではないかしら?」

 

おっとコイツァ俺の話を聞かなさそうな手合いだな!いかにも高飛車なお嬢様って感じだ。

 

『の、割には声が震えてるけどね。さっき織斑先生にアームロックしたのが効いたのかしら』

 

成る程、考えなしに行動しても時々いいことが起こるらしい。

 

だが、それでもこの態度を崩さないってことは相当筋金入りのプライドをお持ちのようで。

 

この手合いは苦手だ。早めに切り上げる為にもここは助けを求めるか。

 

俺はチラッと箒の方を向く。

 

「…(コクッ)」

 

目があった箒は一つ頷き、こちらへテクテクと歩いてくれる。

 

*テテテピューン

 

なんだ今の効果音!?

 

☆☆☆☆

 

【side 箒】

 

よし、セシリアが一夏に絡んだな。好感度上昇イベントキタコレ。

 

ちょうど一夏もこちらにアイコンタクトで助けを求めてきたので、これ幸いと私は彼女に近づいた。

 

*テテテピューン

 

この効果音が鳴ると、世界がモノクロに切り替わる。だが、その音が聞こえたり、この世界が見えるのは私だけらしい……一部のモンスターには見えていたようだがな。

 

それにしてもセシリアと会うのはこの時間軸では久しぶり…でもないか。私の引退セレモニー(強制)に参加してくれていたしな。

 

もう何回も繰り返したせいか感覚がどうも狂っている…狂気に飲まれないようにしなければ。

 

閑話休題。

 

それよりも問題は目の前のセシリアだ。

 

「…これはこれは親善大使様。お久しぶりでございますが、今わたくしはこの男と話をしなければならないのです。ご用件はまた後ほど」

 

*セシリアはうざったい様子でこっちを見ている。

 

【FIGHT】【ACT】【ITEM】【MERCY】

 

【ACT】

*調べる *話す

*口説く *煽る

 

ふーむ…よし、口説くか。

 

*あなたは情熱的にクサい台詞を浴びさせた。

 

「な、な、な…何をいきなりっ…!?」

 

*セシリアは困惑している。

*畳み掛けると面白いことになるかもしれない。

 

貴族の割に案外簡単に堕とそうなお嬢様だな。

 

しかし、私は一体どんなセリフを吐いたのだろうか。【ACT】での行動は全て自動なので私がセシリアに何を言ったのかは分からないのだ。

 

だがそんなことはどうだっていい。

重要な事じゃない。

 

ただ追い返すだけでも一夏の好感度は上がる。だがそれだとセシリアの好感度は下がってしまう。

 

セシリアの好感度が下がった状態で、この後のクラス代表決めの流れに乗ると、結果的にセシリアは一夏に惚れてしまうのだ。

 

そうなればこれ幸いとイギリス政府が一夏を抱え込みにかかれと、お前の望みを叶えてこいとか外面の良い言葉でセシリアを丸め込めて一夏に積極的アタックするようになる。

 

たが一夏は超鈍感。

 

そんなことに気付くことなど、これまでのルートでも一切なかった。

 

だがらどんなにセシリアが頑張ろうと、イギリス政府の要望には応えられない。

 

そうなったらこぞって政府の連中はセシリア・オルコットを責め立てるだろう。

 

そうならないようにする為に、セシリアを一夏に惚れさせないという選択肢があるが、Gルート真っ青な難易度のクソゲーとなってしまうので却下だ。

 

だったらどうするか。その答えは、『他の人物に惚れさせる』というものだ。

 

だが、IS学園は清掃員の方や整備員の方を除けば女性しかいない。

 

しかしクラスメートには百合の花を咲かす趣味の人はいないし整備員の方々には荷が重い。

 

なら、私がやるべきなのだろう。

 

*あなたがセシリアを惚れさないのは勝手だ。

*だがそうなれば誰に惚れさせると思う?

 

…………。

 

*万丈だ。

*万丈はあなたに世話になったのに恩を返せていないことでお前に負い目を感じてるはずだ。

 

*だからあなたがやらなきゃ

*恩を返す為自分から手を挙げるだろう。

 

*だが、彼には失った恋人がいる

*今の万丈のままではその恋人のことを引きずり、セシリアを惚れさせるなんてことは出来ない。

 

*あなたがやるしかないのだ!

 

いやだからやると言っているだろう…。

 

時々この説明文はおかしなことを口走る。

それに万丈さんは関係ないだろう。

 

まぁ仮に私が他の誰かに惚れさせようとしても万丈さんには振らないがな?

 

説明文にもあったが、あの人は亡くなった恋人がいると聞いている。

 

しかもこのご時世には珍しくどこまでも一途に想っているのだがら、それをわざわざ破らせることはない!

 

それに恩なら充分に返してもらっている。

あの人の身体能力と格闘家としての技量の高さは惚れ惚れするほどなのだ。多分、生身でもISと戦闘できるぞあの人。

 

その強さは私の成長に大きく貢献してくれる。

 

それを抜きにしても、もう何回も一緒に過ごした家族なのだから恩など関係なしに楽しく過ごしたいのだから、こんな事に巻き込むことなどしない。

 

っと、話題がずれてたが、要はセシリアを堕とそうってことだな!

 

さて、やるか。

 

【ACT】

*口説く

 

私は決意に満たされながら【ACT】コマンドを発動したのだった……。




万丈は公園で倒れているところを助け、移住食を提供したら懐きました。

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