うざい提督とブラック鎮守府   作:あばずれ

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129. 海軍一の変わり者が貫き通した正義

「白さん、長門さんから報告です! 鎮守府近海にて那智さんが降伏したとの事!」

「降伏、か……分かった。足柄と羽黒は那智を保護、そして拘束しろ。長門と陸奥は利根の場所に向かえと伝えるんだ」

「了解しました!」

 

 岸辺にて長門達と那智との戦闘を見張っていた灰色から報告が入ってきた。どうやら那智が足柄達によって降伏したらしい。葛城と続いて那智も無力化、残るは利根、龍驤、そして翔鶴の三人。

 

 よりにもよって攻略する上で面倒な三人が残ってしまった。龍驤や翔鶴は鹿島が見た通り、凄まじい戦闘能力を有している。利根は一度仲間同士で演習をさせていたが、龍驤と同じくアドバイスは一つも入れていない。

 

 何故なら利根は戦闘能力では龍驤と少し劣るも他の長門達と比べて桁違いの殲滅能力を持っているからだ。確実に相手を倒す、鹿島と似た戦闘スタイルを用いて戦っている。恐らくあの実力では体術面においても相当な腕前を持っているに違いない。

 

「あと長門さんからもう一つ。敵は翔鶴達だけではない、誰かがいるとの事です!」

「誰か、か……」

 

 先に思いつくのはこの鎮守府を地獄のモノとした元凶、人間の皮を被った外道中の外道である前任だろう。

 

 前の鎮守府襲撃時に前任がわざわざこの鎮守府に来ては提督の殺害を目論んでいた分、今後前任がこの鎮守府をみすみす見離す訳が無い。また深海棲艦のスパイとして潜り込んでいた榛名の様に翔鶴も前任と繋がっている可能性すら有り得る。

 

 前任が夜逃げした後でも翔鶴の支配が続いた理由も恐らく──、

 

「提督! 持ってきたぞ! これか?」

「あぁそうだ」

 

 摩耶が司令本部にある自室から、紅い液体が入った注射器を持ってきてくれた。龍驤が朝潮達と戦っているおかげで司令本部内の広場は半壊状態で散々だったらしい。現在では鹿島と鳳翔が龍驤と戦っているようだ。

 

「すまないが■■先生、摩耶、俺を隠してくれ。馬鹿共は引き続き護衛とやらを頼む」

「分かったわ」

「了解です」

 

 提督の指示通りに■■医師は白衣を広げて提督に覆い被さる。摩耶も身体で提督を隠した。護衛していた大和達は少し気になるも、首を振って自戒する。

 

「……何とか治りそうだ」

「良かった……提督──」「摩耶」

 

 提督が自身の口に指を立てて、静かにと伝える。

 

 恐らく摩耶は提督に謝りたかったのだろう。回避不可能とはいえ提督を嫌いになってしまい、瀕死寸前の提督を蹴り飛ばしてしまった事に摩耶は罪悪感で押し潰されそうだった。提督に危害を加えないようにと部屋に閉じこもっていたが、それでも嫌悪という感情が心の奥底から湧き出てきて抗う事で精一杯だった。

 

 出来る事なら謝りたい、出来る事なら許して欲しい。失った信頼をまた取り戻したい。摩耶は弱気な自分を提督にだけ見せた。

 

 だが提督は──、

 

「摩耶、お前が充分に抗ってくれたのは俺も知っている。感極まって色々したい気持ちは分かるが、今はそれどころじゃない。だから……戦ってくれるな?」

「あぁ……勿論!」

 

 提督は優しい声で摩耶に問い掛ける。その言葉に摩耶は涙を拭い、もう一度元気な姿を見せた。それを見て提督は微笑んで返す。

 そんな中、憲兵と整備士達を地下営倉へ避難させてきた五十鈴と第六駆逐隊、阿賀野達が戻ってきた。

 

「提督!」

「……阿賀野か、そちらはどうだ?」

「こちらは全員避難完了です。でも憲兵さん達がまた地下にこもらないといけないんですね……」

「折角出てきてもらったが仕方あるまい、今の避難場所はそこぐらいにしか無いんだ」

 

 この戦争は激しさを増していく一方だ。例え憲兵や整備士だろうと戦闘に巻き込まれて死亡されてはこちらが困る。ほとぼりが冷めるまで安全な地下営倉にいてもらった方がありがたい。

 

「阿賀野らと五十鈴と第六駆逐隊は灰色達と合流、あと最上と熊野と鈴谷はー……今戦闘中か。だったら隼鷹と飛鷹も呼んで同じく合流してくれ、空母機動部隊には偵察機を発艦させるように。阿賀野、お前を旗艦としたお中元の詰め合わせのような連合艦隊でやってもらうぞ」

「了解しました……ですが、何を……?」

「……あぁ、ちょっとした任務をお前らに任せたい」

 

 

 

 

 

 ──横須賀鎮守府

 

「よく集まってくれたな」

 

 横須賀鎮守府の第一執務室にて、ある三人の艦娘が赴いていた。応接間のソファに堂々と座り、自身のスマホで何かしている。横須賀鎮守府の責任者、■■大将はその様子を座って眺めていた。秘書艦の大和はただならぬ緊張に耐え切れず、青ざめた表情をしている。

 

「暇だったから呼ばれて来ただけよ」

「少し面倒だけど内容聞いて面白そうだから参加しただけネ」

「あぁ~どんなのがいるんでしょ~、楽しみですね~」

 

 任務の書類を見ながら返事をする叢雲、■■大将に対して興味無さそうに反応するのは金剛、これから始まる事に胸を膨らましているのは吹雪。そしてその一面を眺める■■大将と秘書艦の大和。大和からすればこの三人は気の狂った戦闘バカのイメージしかない。ストレスで胃に穴が開きそうなほど執務室内の空気は凄まじいモノだった。

 

「……今回の任務の参加者は『(オウゲン)』、『(ビョウコウ)』、『(ラセツ)』だけか」

「他は面倒だから断ったようだけど」

「え~? そんなに面倒臭いですかね~?」

「アンタの性格よりはまだマシよ」

 

 集まっているのは護神厄討艦隊のメンバー三人。大本営所属の『(オウゲン)』叢雲、福島県の磐城鎮守府の『(ビョウコウ)』金剛、横須賀鎮守府の『(ラセツ)』吹雪の三人が横須賀鎮守府へわざわざ来てくれた。どの存在も戦闘能力はトップクラス、対深海棲艦又は対七壞星のスペシャリスト。一人で一艦隊分の殲滅能力を有しており、それぞれ範疇を超えた超能力を備えている。

 

「さて早速だが任務の内容の詳細を伝える。今回は■■■鎮守府に出向いてもらいたい」

「あそこには『(シロガネ)』と『(ヒグレ)』がいる所だけど、何かあったのかしら?」

「あぁ、白の生死が危うい」

 

「白」と聞いて三人は眉を(ひそ)める。恐らくこの三人にとっては関係ある人物だろう。金剛は弄っていたスマホをテーブルへ置き、資料を手に取りながら■■大将の話を聞いた。

 

「皆も知っているだろう、あの白が殺される可能性がある。理由としては、『(シロガネ)』による報告と白が自ら勇気をもって答えてくれた……私はこれを艦娘の反逆と捉えている」

 

 あの誰もいない不自然な環境、そして白提督自身の大怪我。報告してくれた『(シロガネ)』により■■大将は艦娘の反逆と見定め、護神厄討艦隊を出動させる事を決定。今後の計画の為にも白には生きてもらわなければならない。■■大将は早急に資料を作成し、それぞれメンバーを呼び出した。

 

「なるほどね、確かに文面だけだと怪しいわ」

「面白い事考えますね~、そこの鎮守府の人達は」

「んで、主に白中将の救助すればいいんだよネ?」

「そうだ。白を■■■鎮守府から脱出させ、速やかに救助してほしい。前とはまた違った任務だがよろしく頼む」

 

 前は■■■鎮守府に潜む深海棲艦のスパイの捕縛の任務だった。白色から電話にて依頼され、その当時は鹿島鎮守府の『(スミレ)』龍田も出撃してくれている。結果はスパイは確保し、事なきを得ているが古鷹と加古の戦闘を見てはつまらなそうにしていたらしい。

 

「まぁ私達はそういう艦隊だしね。別に構わないわよ」

「戦えれば何でもいいです!」

「同じく。だけど一つ聞いていいカナ?」

 

 『(ビョウコウ)』金剛が手を挙げて、■■大将に質問する。

 珍しい金剛の質問に叢雲は呆然としていた。

 

「何だ?」

「主軸は救助が優先だと思うけれど、反抗してきた際はどうするのカナ?」

「あぁその事についてだが、あくまでも白の救助が最優先だ。悪いが本人の意思は無視させてもらう。もし救助する際に邪魔をされるような事があれば……──その場で()()()しても構わない」

 

 護神厄討艦隊の中で「無力化」という意味は相手を殺さずに意識を喪失させるまで戦闘を行う意味を持つ。「殲滅」であれば問答無用の蹂躙と殺害又は轟沈となる。前回は戦闘が無いと聞いて乗り気では無かった為に今回も戦闘は無いのかと内心期待外れだったが、「無力化」と聞いて金剛と吹雪はニヤリと狂う様に微笑んだ。それを見て叢雲は頭を抱えてため息を吐く。

 

「つまりは抵抗する奴がいたら片っ端からぶっ飛ばして構わないって事ね」

「そういう事だ、以上が任務の詳細になる。何か質問は?」

 

 三人は手を挙げる事無く、艤装を展開させている。殺る気は充分のようだ、これ以上言う事は何も無いらしい。

 

「……無し、か。では任務に取り掛かるぞ、全員……出撃だ」

「「「了解」」」

 

 金剛と吹雪は不気味な笑みと声をあげながら執務室を出ていった。叢雲はお手上げ状態なのか、半分諦めムードのまま去っていく。一連の様子を黙って見ていた大和は緊張のあまり、呼吸が全く出来ておらず、口に溜まった空気を吐いては走り切ったマラソン選手の様に息が荒れていた。

 

「提督……怖過ぎますよ~……」

「あ、あぁ……よく耐えたな」

 

 大和の怯えように■■大将は困惑する。執務机にぐったりと倒れ込み、猫の様に転がった。■■大将は大和の頭に優しく手刀で叩き、ぐだるのを止めるように指示をする。その後椅子から立ち上がり、窓から見える海を眺めた。

 

「しかし本当にあるんですかね、私達艦娘が提督に反逆するなど」

「実際は何件かあったぞ、別に珍しい事ではない」

「いや珍しくないと困るんですが……」

 

 大和は嘘かどうか分からない言葉を困り気味に言い返した。

 ■■大将の元に着任した大和からすれば上官への反逆などあってはならない事だ。艦娘が本来敵としているのは深海棲艦のみ、人間は必ず守らなければならない存在と区別がハッキリとしている。

 

 とはいえ艦娘といえど感情や思考は存在する。自分で物事を思って考え、自立するという意志があるのだ。故に人間とほぼ同じ存在であり、人間に何かしらの感情を持つ事は当然の事になっている。そして人間に従う艦娘達がその人間に対する感情は十人十色、それぞれ艦娘の性格によって併せ持つ感情は様々だろう。

 

 だからこそあの白色が着任すると聞いた時は耳を疑った。海軍一の減らず口と恐れられたあの人間があの鎮守府の責任者となり、艦隊を指揮する事になる。勿論はその実力は身をもって知っていたが、あの白色に従う艦娘達が少し可哀想に思ってしまった。

 

「■■■鎮守府の白、って方は提督にとって、とても大事な人なんですか?」

「あぁ彼はあの男が託した最後の希望でね……死んでもらっては困るのだよ」

「あの男……ってのは前に司令が言っていた自身の人生を変えてくれた海軍一の変わり者という人ですか?」

「そうだ……彼は海軍の中でも一番の変わり者だった」

 

 ■蒼■中尉は海軍一の変わり者と呼ばれていた。艦娘兵器思想を持つ軍人が殆どの世界で、■蒼■中尉だけはその思想に反する人物だった。艦娘を兵器として見る事は無く、同じ人間として平等に接しており、決して仲間を見捨てない心優しい軍人。艦娘兵器思想によって艦娘は兵器だと思い込まされていた昔の艦娘達にとっては異色を放つ存在であり、そして又は光のような存在だった。

 

「あの男は生粋のお人好しでな。艦娘達を人間として同等に扱い、人間と同じく衣食住を提供し、福利厚生を充実させた。今の鎮守府運営による艦娘の福利厚生に関しては、全てあの男のお陰だよ」

 

 その時代、艦娘兵器思想による洗脳で艦娘自体でも兵器だと思い込んでおり、自らそれを疑問には思わなかった。人間ではなく物として扱われており、寮のような部屋ではなく倉庫にて管理され、食事という概念は存在せず、補給という概念で燃料と弾薬を摂取させられる。人間として扱われない物と同等の制度に艦娘達は疑問には思わなかった。

 

 だが少なからずその思想に反する艦娘も存在し、何故こんな不遇な体制が続いているのか分からないままだった。

 

 それもそうだろう、何故なら艦娘達は自分らが人間達に恐れられているとは微塵にも思っていない。

 

 未知の技術が使われた艦娘という存在の反逆を恐れ、徹底的に兵器として扱われている事を艦娘達は知らなかった。提督という存在が必要な艦娘達にとって人間とは守るべきモノ。人間を脅かす深海棲艦は敵と見定められている。人間が敵になるというそういった敵視の感情や思惑は全く無かった。故に人間に恐れられている事など思う訳が無い。

 

 更に思想に反する艦娘達のほとんどが自身が人間とよく似た存在である事を認知していた。理由として深海棲艦に脅かされ続けていた人間達の前に現れた艦娘という存在は助けられた人間達から人間そのものと思われていたからだった。

 

 だからこそ艦娘達も自分も人間と同じような存在だと思っていた。だがその思想は全く別の艦娘兵器思想によって削除され、人間として扱われなくなってしまった。

 

「その思想に反した者は艦娘だけではない。勿論、一部の人間も疑問に思っていた」

「その一部の人間が……」

「そう。あの男……いや、■蒼■中尉だよ」

 

 軍人以外で艦娘という存在を認知している日本の全国民が必ずしも艦娘兵器思想を支持していた訳では無い。

 

 必ず思想には賛成派と反対派が存在する。

 

 ■蒼■中尉はその反対派であり、わざと賛成派として成り済まして軍人となり、地方鎮守府の運営を任されるまで昇進した。

 

 艦娘を人間と同等に見ていた■蒼■中尉は、まず艦娘兵器思想によって兵器と思い込んでいた最初の秘書艦を思想から脱却。自身を人間と同じような存在だと思わせる事で艦娘にかつてはあった自我を再生させた。その後に建造された艦娘も自我を持った状態で着任させ、それまでの鎮守府にあったシステムを全て撤廃させる事となる。

 

 艦娘に倉庫ではなく寮の部屋を与え、衛生環境を整えた。

 食堂を憲兵や整備士のみには当てはまらず、艦娘も自由に食事を取る事を絶対の命令として指示をした。

 風呂に入って身体を洗う事を勧める為に入渠施設と風呂を混合させ、当時は直接かければよかった高速修復剤を風呂のお湯と混ぜる事で身体の洗浄と修復を兼ね備えた施設を設置した。

 そして■蒼■中尉の厚意で艦娘達に給料を贈呈し、外の世界へ関心を持たせた。

 

 当然、他の鎮守府の軍人達は■蒼■中尉による艦娘に対する待遇に反発した。そんな事などやってはいけない、自我を持たせて何を企んでいるんだ、と軍人達は怒り訴える。しかし■蒼■中尉はそんな反発などものともせずに言い放った。

 

『この国の為に戦ってくれている艦娘達を蔑ろにするなどあってはならない事だ!! 貴方達の勝手な憶測で艦娘達の尊厳と自由を奪わないでいただきたい!!!』

 

 ■■大将もその当時は反対していたと言う。しかし■蒼■中尉の考えに共感するものが当てはまり、いつしか艦娘兵器思想というものが疑問な事に思えてきていた。

 

「蒼■中尉がこの世にいなかったら、君達はいつまでも倉庫の中で冷たく過ごしていたよ」

「最早そこまでいくと偉人ですね……」

 

 多くの軍人が頻繁に反発していく中でも■蒼■中尉は艦娘に自我を持たせる事をやめなかった。皮肉にも■蒼■中尉が受け持つ■■■鎮守府は当時は最高峰と謳われていた横須賀鎮守府と同等の戦果を挙げ続けていた。

 

 当時は魔窟として恐れられていた小笠原諸島近海海域をものの一週間で制圧し、攻略に頭を悩ませた深海棲艦による難攻不落の硫黄島を他鎮守府との連携により崩落させるという大記録を残した。

 

 それこそ当時は小将だった■■大将にとっては人生の転機となる出来事だったという。■蒼■中尉の考えにより、艦娘兵器思想に疑念の意を唱えていた■■小将にとって二つの難題を攻略したのは脳に衝撃を与える程の事だった。今後の戦略の為にも是非とも■蒼■中尉のやり方を参考にしたかった■■少将は■■■鎮守府を訪れ、艦娘とのコミュニケーションや福利厚生、独自の戦術を事細かに学んだ。

 

 艦隊の士気を上げる為には互いに認め合う事が必要、艦娘が人間として又は兵器として確かな常識や考えを持っている事、ちゃんとした生活リズムを取らなければならない事など学ぶ事は多くあった。

 

 

『艦娘は誰かの物とかではありません。艦娘は艦娘、我々人間と同じ存在なんだと私は思います』

 

 

『……多くの輩が君に反発しているが、間違った事ではないと言い切れるのか?』

 

 

『はい言い切れますよ。確かに未知の技術を駆使した非現実的な姿を見れば恐ろしいと思う事は仕方の無い事だと思います。ですが彼女達にはこの国を守りたいという意志と覚悟がある……それを私はどうしても反逆するとは思えないんです』

 

 

『そうか……』

 

 

『それに人間そのものじゃありませんか? どの娘も健気で可愛らしく愛嬌が持てる艦娘ばかりです。人として扱わない連中より……よっぽど人間らしいですよ』

 

 

『そもそも何故艦娘と呼ばれているかすら分からない現状だからな。自ら艦娘と名乗ったから、そこで艦娘という概念が生まれた。まだまだ謎は多い』

 

 

『そうですね……でも私は貴方のような人がいてくれて、正直とても心強いです。まだまだ人間も落ちぶれてないのが実感出来ました』

 

 

『私は合理的主義者でね。艦娘が兵器という概念は変わらないが、艦娘が人間であると思わせる事で艦隊の士気や戦闘の効率が違う、というのは深海棲艦を殲滅するにあたって実に合理的だ。参考にさせてもらうよ』

 

 

『参考に出来たのならこちらもありがたい限りです』

 

 

 素晴らしい戦果を挙げた■蒼■中尉の考えたシステムや理論は、実践した■■少将の横須賀鎮守府でもその強味が証明され、各地の鎮守府にて取り入れられる事となった。

 

 勿論、全ての鎮守府で行われたかというと簡単には上手くいかなかった。艦娘を人間として認めない軍人は多く存在し、■蒼■中尉が掲げる艦娘人間思想は受け入れ難いモノだった。一端の地方鎮守府風情がそんな戦果を挙げるなど狡猾な手段で手に入れたに違いないと言う軍人まで現れる程であり、■蒼■中尉の思想と才能に嫉妬する者が多くいた。

 

「そんな中である出来事が起きたんだ」

「ある事……とは?」

「……今までその存在が確認されなかった、深海棲艦側に属する人間……我々と同じ提督という存在が千葉県の銚子鎮守府の艦隊で目撃の情報が入った」

 

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