出来る限り無くすように心掛けますが、それでもあるようでしたら申し訳ないです。
胸糞警報最大レベル維持です。
■■少尉が代理として着任してから一週間が経過。
捕まった翔鶴は両腕両足に拘束器具で拘束されたまま地下営倉に収容され、囚人のような生活を強いられていた。艦娘達は蒼色を裏切っただけでなく殺害までした極悪人として認識され、侮蔑の視線で見られるのは当たり前で、持ってくる食料は大抵悪戯された物ばかりだった。■■少尉に貶められた翔鶴は涙を流しながらも黙って渡された食料を口にする。
「何で……私が……」
不幸の連続で何もかも奪われた翔鶴の精神は不安定になっていた。愛していた大切な人を自らの手で殺し、信頼されていた仲間からは見捨てられ、自身の存在は失きモノとなってしまった。
全て■■少尉の所為で、あの男の所為で。
腸が煮えくり返る程の憤怒と憎悪が翔鶴の頭の中で巡り巡る。今すぐあの男を殺したい、ボロボロにぶっ飛ばしてやりたい。牢屋の中で一人、翔鶴は様々な感情に左右されていった。
「よぉ悲劇のヒロインさん」
「っ……? 貴方はッ……!!」
地下営倉の扉から入ってきたのは忌まわしきあの男。■■少尉がヘラヘラと笑いながら翔鶴のいる牢屋まで近付いた。鍵が纏められた円の金具を指で回し、軍帽を上げて翔鶴の姿を確認する。
「凄い睨みようだなぁ、まぁあんな事すれば当然か」
「貴方さえ……! 貴方さえこの世からいなければッッ!!!」
「残念ながら俺はいるんだよバーカ。あれだけの事されてまだ反抗の意思があるのは驚いたけど」
翔鶴は殺意を余す事無く■■少尉にぶつけては激昴した。拘束された状態でも必死に這いつくばり、無理矢理身体を動かそうとしている。よく見れば腕や足が千切れそうなほど皮膚が赤みがかっていた。■■少尉はその姿を見て嘲笑う。
「まぁまぁ悪かったって。アレは一週間も過ぎればお前がやった事なんて忘れてるからよ……だけどその前にぃ……」
ガラガラと滑車のホイールが地下営倉内に響く。■■少尉の背後から滑車に乗せられていたのは焚かれた炭火の壺と鉄の棒の様な物。憲兵二人が何やら壺の中身を確認していた。それを見た翔鶴はゾッと背筋が凍り付く。
「犯罪者の烙印はしとかないとな」
「嫌……いやっ、やめ──」
地下営倉内に一羽の鶴の号哭が響き渡った。
──一週間後
■■少尉により翔鶴は地下営倉から解き放たれた。二週間ぶりに地上へ出た翔鶴は周囲の艦娘達の反応を確認する。
しかし以前の様に翔鶴を睨む様な視線は感じられない。
寧ろ物珍しそうな表情で視線を逆に集めていた。
翔鶴からすれば一体何が起こっているのか分からない。何故艦娘達はこんなにも普通の反応をしているのか。本当ならば殺意を向けてくるような艦娘しかいなかったというのに。もしかしてそれを分かったフリをしてわざとからかっているのかもしれない。周りから悪口や罵倒が幻聴のように聞こえてくる。周囲の視線に耐え切れなくなった翔鶴は即座に自身の部屋へ向かった。
「はぁ……はぁ……」
自身の部屋にようやく入れた翔鶴。ドアを閉めた途端に息を荒れさせながらドアに寄りかかった。その場に座り込み、耳を塞いで周囲の音を遮断する。今でも聞こえてくる幻聴に翔鶴は身体を震わせ怯え続けた。
「怖い……もう嫌……」
もう誰も信じられない。
誰にも頼れない。
この先どうすればいいのか分からない。
心も精神も限界だ。
こんな辛い事が続くならさっさとあの世へ行きたい。
『この鎮守府にいる……皆を……守ってくれるか……?』
提督の最期の願いが、何故か思い浮かんだ。
私の手によって死んでしまった提督が、私に頼んだ唯一の願い。
提督はこれから起きる最悪の事態を予想して、私に託したのだろう。
何故私なんかにその願いを託したのか理由はよく分からない。
確かに私はあの時、皆さんを守ると提督の目の前で誓った。
でもそれは私が提督に死んでほしくない事で精一杯で、その場しのぎに辻褄合わせて言っただけだった。
どうやって仲間を守ればいい?
どうすれば誰も傷つけずに守れる?
何をすればあの男から遠ざけられる?
「殺すしか……ない……!」
あの男を殺すしか方法は無い。
全ての元凶に等しいあの男さえ葬れば私や皆の謎の呪縛は解放されるはずだ。
今は自由の身、どんな方法だろうと立ち向かえる。
「殺す……! 絶対に……殺す!!」
翔鶴は艤装を展開した状態で練習用の弓矢を装備し、■■少尉がいる執務室へ向かった。殺意を■■少尉にだけ向けさせ、再度翔鶴は立ち向かう。執務室のドアを蹴破り、躊躇いもなく■■少尉へ矢を撃ち放った。翔鶴の矢は■■少尉の右肩を撃ち抜き、椅子の背もたれに貫通する。翔鶴は矢を弓に装填、早歩きで執務室の中へ入り、照準を■■少尉の脳天に定める。
「ちょ!? 翔鶴姉!!?」
「っ?」
■■少尉を殺したい気持ちで視野が狭くなっていた翔鶴。■■少尉の机の手前には瑞鶴が何故かいた。瑞鶴の声を聞いて初めて気付き、盾になる瑞鶴を確認するも弓矢は構え続ける。
「そこを退きなさい瑞鶴」
「ちょちょちょ待って!? 何があったの翔鶴姉!? 危うく提督さんが死ぬ所だったじゃん!!」
「死ぬべきなのよその男は。いいから早く退いて瑞鶴」
「何で!? 二人は、愛し合ってる仲じゃないの!?」
瑞鶴の意味の分からない発言に翔鶴は思わず「は?」と声を漏らす。醜く憎悪の体現者でしかない■■少尉と愛し合うなどと妄言も甚だしいところだ。妹の瑞鶴にでさえも怒りが湧き出てきそうになる。
「気持ち悪い発言はやめてさっさとそこを退きなさい瑞鶴!!!」
「ダメだって翔鶴姉!! 仮にも代理の提督さんを──」
■■少尉を庇う瑞鶴が突然苦しむ声を上げてその場に倒れた。まるで電流でも流されたかのような痺れ方をしている。倒れた瑞鶴は痙攣しながらそのまま気絶してしまい、その姿を見た翔鶴は声を荒らげて■■少尉を脅した。
「瑞鶴に何をしたのよ!!!」
「なァに……ちょっとした細工だよ。お前以外の全員に自爆装置と緊急停止装置をつけただけだ」
「緊急停止装置……!?」
「気絶するぐらいの電流がビビっと流れ出る。いやー流石、妖精達の技術は凄まじいねぇ」
自爆装置と緊急停止装置、恐らく瑞鶴が倒れた原因は緊急停止装置の方だろう。スタンガン並みの電流が一気に放出され、対象の意識を喪失させる仕組みに違いない。
「どこまでも貴方は私達をッ……!!」
「最初打たれた時はどうなる事かと思ったがいい盾がいてくれてよかったよかった……あ、その矢を放つ気ならやめた方がいいぞ? さもないと……」
倒れていた瑞鶴がまた電流を流され、喚声を執務室内に轟かせる。あまりの非道さに翔鶴はまた声を荒らげて止めるように訴えた。■■少尉は代わりに艤装を収納させる条件を提示し、仕方なく翔鶴は艤装をその身に仕舞う。
「瑞鶴に……いや皆さんに何をしたんですか……!! 貴方と私が愛し合ってるなどと瑞鶴に妄言を言わせるだけじゃなく、命を脅かすような真似をして……! 貴方はそこまで何をしたいんですか!!?」
「まぁ気付くよなぁ……アイツらの反応を見れば。よしネタばらしと行こうか」
■■少尉は椅子から立ち上がり、翔鶴の元まで歩み寄る。■■少尉に襲われた経験のある翔鶴はトラウマによって後退りし始めた。思い出したくもないフラッシュバックが頭の中で流れ出る。怯える翔鶴を見続けた■■少尉は突然翔鶴の顔を掴み、勢いよく投げ飛ばした。倒れ込む翔鶴に馬乗りなって顔を何回も殴り続ける。何の躊躇いもなく■■少尉は無慈悲に翔鶴を痛ぶった。
「お前が地下で馬鹿みたいに過ごしてた間、俺はお前に仕掛けた薬のようにもう一つある薬を仕込んだんだ」
「ある……薬……?」
「あぁそうさ。お前が好きだったあの蒼■中尉に纏わる記憶を全て捏造して、全て俺がやった事にしたんだ……つまりは記憶を改変させる薬なんだよッ! 俺が都合良くアイツらを従える為になァ!!!」
腹いせにもう一回翔鶴を殴り、また白髪を掴んでは髪を持ち上げる。■■少尉曰く、この鎮守府の艦娘達は蒼色に関する記憶を全て消去され、別の物に書き換えられてしまっているらしい。つまりは今まで蒼色のやってきた事やその存在全てを翔鶴以外の艦娘達は忘れ去られてしまっている。何とも受け入れ難い現実に涙を流し、絶望する翔鶴。最早対抗する力や心は呆気なく打ち砕かれていた。
「いい加減馬鹿のお前でも分かるように教えてやるよ……この世の全ては、力なんだよ!!」
■■少尉は何度も翔鶴の頭を床に叩き付ける。
翔鶴は怯み声すら出さずにされるがままだった。
「相手をひれ伏せさせるのも、相手を捩じ伏せるのも、相手を蹂躙するのも、相手をズタズタに絶望の底へ落とすのも、相手に完膚無きまでに勝利するのも全ては己が持ち合わせる力なのさぁ!!!」
違う。
力は皆を守る為にあるモノだ。
他人を向けていいモノじゃない。
「支配力と権力さえあればお前らなんて塵同然!!! よくもまぁ俺の考えた策に溺れ嵌ったもんだな!! あまりにも馬鹿すぎて笑いこけそうだったよ!!!」
私に力さえあれば。
この男に刃向かえる力さえあれば。
その力はあったはずなのに、自由に振り翳す事すら出来ない。
私の自由を束縛し、嬲り続けるこの男の前では全てが無力だ。
「力なんだよ!! ちーかーらー!!! 愛だとか友情だとかで何とかなるとでも思ってんのかァ!!? お前ら兵器を操るなんで造作も無かったぞ!! 憎むなら俺じゃなくてまんまと俺に騙された非力な自分自身を憎みたまえ!!!」
私が悪かったのかもしれない。
もっとこの男の企みに気付いていれば、こんな事にはならなかった。
私が能天気に休暇なんて取らなければ、もっと提督の事に気付いていれば。
私が悪いんだ。私の所為で全てが狂ったんだ。
私が──、
「皆を守りたいんだろ? だったら俺の秘書艦になって仲良くしよーぜ? な?」
私が──、弱いからなんだ。
「よ、翔鶴」
「……龍驤さん」
怪我を負った状態で翔鶴は空母寮の廊下をふらついていた。■■少尉に散々なまでに嬲られ続け、翔鶴の精神は臨界に達している。殴られた痕も治療しないまま生きる気力は消滅し、考える事を放棄していた。
そんな翔鶴を通りかかった龍驤が突然声を掛ける。翔鶴の容姿など気にせず、気さくに話しかけてきた。
「ちぃ〜とウチんとこ来てくれへん?」
「分かり……ました……」
翔鶴は龍驤に誘われ、ある部屋に連れていかれる。そこは龍驤の一人部屋、机にテーブル、テレビなどがある何とも生活感のある部屋だ。龍驤は翔鶴をリビングに誘い、キッチンにてお茶をいれる。
「まぁまぁお茶でも飲んでゆっくりしてって」
「……いただきます」
翔鶴はまるで人形の様に感情のこもらない声で返事する。お茶を啜る光景を龍驤は睦まじく眺めていた。何も翔鶴に対して嫌悪や険悪な感情を出す訳でもなく、ただ只管に翔鶴を見つめている。翔鶴の落ち着いた様子を確認したのか龍驤は再び話し掛けた。
「……さて翔鶴。本題に入るとして、アンタに聞きたい事があるんやけど」
「何でしょうか……」
「そのー……何と言うか……何か蒼■と訳があったんやろ? ゆっくりでいいから、ウチに話してみ?」
確かこの鎮守府の艦娘達は■■少尉の薬によって改竄され、蒼色の事は何一つ覚えていないはずだ。だが龍驤はハッキリと鮮明に蒼色の名前を呼んでいる。翔鶴は聞くはずのない言葉に理解するのが遅れてしまった。
「……? 龍驤さんは……覚えてるんですか……?」
「それがなぁ~? 聞いて聞いて? 二日前ぐらいなんやけど、何故か皆が蒼■の事忘れよってウチは頭にハテナマーク浮かべてたんや」
龍驤曰く、ある日朝起きたら何故か蒼色の死を悲しんでいたはずの吹雪が何故か蒼色の事を忘れていた。それどころか蒼色があの代理の提督として塗り替えられており、様子がおかしくなった事を把握した龍驤は同じ認識を持つ艦娘達と話を共有。■■少尉が怪しいと踏んだ龍驤達は何かを知っている素振りをした翔鶴が鍵を握っていると予想し、今ここに翔鶴を呼んだようだ。すると龍驤が話してる中、部屋のドアから赤城や葛城、妙高や那智、利根と筑摩が入ってきた。
「赤城さんや妙高さん達……利根さん達に葛城さんまで……」
「妙にあの■■少尉って男が怪しいと思ってな? 翔鶴に一度聞いてみよって話になって来てもらったんや」
「翔鶴さん、ゆっくりでいいので真実を話してください」
「どうなってるのか教えてほしい、翔鶴」
「んまぁこう言ってる通り、あれだけイチャイチャしてたアンタが殺すとは考えられへんからな。そこんとこどうなん?」
龍驤の部屋はいきなり大所帯となり、全員が翔鶴に注目した。翔鶴は恐る恐る怯えながらも自身が経験した凄惨な過去をゆっくりと話す。■■少尉に襲われた事や蒼色を殺してしまった事などの詳細を事細かに龍驤達に伝えた。途中恐怖のあまりに身体や声が震えてしまい、涙が出て話すのが辛くなる。龍驤達は気をかけて殴られた痕を治療しつつ、身体を摩っては必死に翔鶴を慰めた。
「なるほどなぁ……全てはあの男の仕業という訳やな」
「……凄まじいな」
「惨い事を……」
「なるほどなるほど……よぉ頑張ったな翔鶴。お疲れ様やで」
龍驤は翔鶴の頭を撫でて翔鶴が頑張って抗った事を褒め称える。頼れる仲間がいない中で翔鶴はたった一人で■■少尉に立ち向かっていた。龍驤達からすれば翔鶴の過去は聞くだけでも背筋が凍るほど恐ろしいモノで、よくここまで生きてこれたなど関心する程だった。その分自分達が何も出来なかった事はおろか、■■少尉の蛮行に気付けなかった事に罪悪感を感じていた。励まされた翔鶴は閉じ込めていた感情が爆発。龍驤の胸に抱き掛かり子供のように泣きじゃくった。
「もう私は……死にたいです……」
「ダメやダメや! 死にたいとか言っちゃアカンて。蒼■に仲間を守るように約束したんやろ? なら生きていかなきゃ約束破ったと同じやで?」
龍驤が翔鶴の頭を掴んで目線を合わせる。堂々と笑いながら龍驤は蒼色の約束を全うするように言い出した。仲間を守ると約束したなら、何としてでも生きなければならない。死んでしまったら約束を破った事になる、そんな事など蒼色が悲しむのは必然だ。
「ウチらも協力するから、泣きたい時はまたウチの胸で泣きーや。ま、そんな胸あるかどうかなんて分からんけどな! あはははは!!!」
「ありがとう……ございます……!」
「どういたしましてや!」
孤独だと思われていた翔鶴は心強い味方を手に入れた。何もかも全て失った翔鶴にとって龍驤達は一筋の光に等しく、最後の希望そのものだった。今まで不幸の連続で希望も未来も信じられなかった翔鶴は再度最後の希望を手に入れたのだ。
しかし何故龍驤達が記憶を失っていないのか。翔鶴が聞いた所によると、記憶が改竄される前日の夜の晩御飯でお茶を飲まなかったらしい。恐らくそのお茶に薬が仕込まれており、他の艦娘達は記憶が改竄されてしまったようだ。
更にいつの間にか取り付けられた緊急停止装置というものが非常に厄介で、■■少尉が自由に起動させては電流を流して気絶させてくる。龍驤達は一旦身を引き、緊急停止装置がある以上は何も出来ないとまずはその装置が身体のどこにあるかを探す事にした。
だが身体中のどこを探しても見つからず前途多難となる。そこで龍驤達は■■少尉に従うフリをして、■■少尉の蛮行を訴える計画を考える事に時間を当てた。
■■少尉は翔鶴の反抗以降、本性を目の前で晒した事をいい事に隠さなくていいと思ったのか突然本性を露わにした。■■少尉の性格はとても冷酷で艦娘達をいたぶっては嘲笑うような外道中の外道。人の皮を被った悪魔の様な極悪の体現者そのものだった。日々のストレス発散による艦娘のサンドバッグは続き、反抗すれば緊急停止装置の餌食になる。戦闘中は無謀な指揮をして命令に背いたり、思い通りにならなければ罰と称して拷問器具で拷問するという惨たらしさ。
最悪な事に憲兵や整備士達は■■少尉に金を握らされ、艦娘達を襲う側として仲間にさせられていた。唯一医務室で務めていた専属の■■医師は■■少尉側に成りすまして艦娘側に徹してくれている。■■少尉達によって怪我を負った艦娘達の治療に専念した。
そこで翔鶴や龍驤達は■■医師に■■少尉の蛮行を大本営に訴えてほしい事を願った。勿論■■医師はその願いを貰い受け、やっと取れた有給休暇を使って大本営へ直接訴えに行く。
だが──、
「誰も信じてくれなかったんですか!!?」
「えぇありとあらゆる方法で画像とか色々証拠は見せたんだけど全く信じてくれなかったわ……マスコミに見せようかと思ったけど貴方達を兵器と見るような連中に見せた所で無意味だし……変に間違えば捏造とかで私や貴方達が疑われる事になるわ……困ったわね……」
■■医師からの報告によると大本営の殆どは■■少尉の蛮行を頑なに認めなかった。認めるどころか信用すらされず逆に■■少尉を貶める為に来たのか疑われる始末。全てのマスコミや各メディアは艦娘兵器思想で見せても無意味な上に、変な捏造で■■医師や翔鶴達が疑われる可能性がある。場合によっては命に関わる危険性がある為、やむなく■■医師は鎮守府に帰還せざるを得なかった。
「明らかにあの男は軍の上層部と深く関わっているわ。理由や目的は分からないけど私達では力が足りない……ごめんなさい、力になれなくて……」
「いえいえ■■先生は悪くありません……寧ろ私達の為にわざわざやっていただきありがとうございます」
「貴方達は私達と同じ人間よ、無力かもしれないけど……また何かあれば協力するわ。出来る事があるならまた言ってね」
更に■■少尉の愚行はエスカレートしていった。秘書艦の翔鶴に大半の書類を押し付けるだけでなく、隙あらば身体を触ってくる等のセクハラが横行。罰と称して憲兵や整備士達に艦娘を襲わせるという淫行を犯した。また食事も■■少尉によって制限され、艦娘は固形食という艦娘専用の食料のみ与えられた。それどころか土や石を食べさせてくる悪戯などをしてくる始末。
そして──、
「よし、やるか」
仲間を引き裂く地獄の発端となる──、優遇制度が始まった。