うざい提督とブラック鎮守府   作:あばずれ

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これを描写する自分も苦しい。
念の為、※胸糞注意


21. 嫌われ者は人気で忙しい

 途中で摩耶と合流し、飛龍達は経緯を説明した。自分達も手を組んで仲間になった事を嬉しそうに話している。

 

「提督、頭撫でてくれたんだよねー!」

「そうか、それは良かったな……」

 

 恐らく提督が飛龍と蒼龍に同調したのは初めてだろう。それも多分あの事件の所為でもある。提督はそれと自分を重ねて、自ら協力したはずだ。

 

「もう……嫌だもんな……」

「……」

「何かあったの?」

「えっ、いやいや何も問題は無いよ」

 

 そうこう話している内に食堂へ着いた提督御一行。依然として多くの艦娘達が夕食を口にしている。だが飛龍と蒼龍が入って来た途端、一気に静まり返った。ジロジロとこちらを物珍しそうに見つめ、ひそひそ話が聞こえる。

 

「気にするな、俺達は嫌われ者だ」

「はい……」

 

 確かに何故提督と飛龍、蒼龍が一緒に居るのか疑問に思うはずだ。

 飛龍と蒼龍曰く、自分達は仲間を売った裏切り者らしく、嫌う艦娘が殆どだそうだ。 

 更には面倒臭い提督と共にいる。自分達にとって不都合過ぎる状況にイライラする者もいた。手を組んでいる艦娘でさえ驚愕している。

 

「鳳翔、今日は何だ?」

「きょ、今日はハヤシライスです……っ?」

「ほうそりゃいいねぇ……ん? どうした?」

 

 ただ呆然としている鳳翔。余程珍しい事なのか呆気に取られている。

 

「あ、いや……何でもありません」

「そか」

 

 提督は二階のテーブル席を確保し、先に食べる。飛龍や蒼龍は恐る恐るお盆を持って提督の元へ向かった。摩耶や加賀も同じく向かう。一連の行動を黙って見られようが提督は気にしない。黙ってただ食べている。

 

「俺らを見てる暇があるならさっさと黙って食った方がいいぞーポンコツ兵器共、兵器に食べられるハヤシライスが可哀想だ」

 

 提督の一言で止まっていた時間が動き出したかの様に再度食堂は賑わいを取り戻した。

 

「ごめんなさい……提督」

「気にするな、これが嫌われ者の第一歩だ」

「は、はい!」

 

 如何に嫌われ者を通していくかを伝授する提督。はっきりこれが良い事とは思えないが、飛龍と蒼龍の為だ。暖かい目で見るしかない。

 

「……クソ提督」

アァ何つった加賀ァ!!

「思いっ切り気にしてんじゃない!!」

 

 提督達の方も賑わいを見せる。それに釣られるかの様に他の艦娘達が提督達の元へ向かってきた。

 

「何やってるのー、提督ー?」

「なーに面白そうな話してるのかなぁ?提督さん」

「アドミラルですから」

「暁達も参戦するわ!!」

「参戦しなくて結構!! お前らは下で惨めに食ってやがれポンコツ兵器共!!」

 

 瑞鶴やプリンツ、第六駆逐隊が途中まで食べたハヤシライスをお盆ごと持ってきた。隣のテーブル席に座り、提督の反応を面白がっている。天龍や木曾、青葉達もいつの間にか二階で食べていた。

 

「飛龍さんと蒼龍さん……お元気ですか? ま、また司令官と共に頑張りましょう!」

「う、うん……そうだね」

「頑張ろうね……」

「はい!」

 

 朝潮自身は笑顔で返事する。他の妹達は複雑な気持ちでこちらを見ていた。少し気まずい雰囲気になる飛龍と蒼龍。そこに瑞鶴が隣の席に座り、声をかけた。

 

「私も他人の事は言えないから何とも言えないんですけど、同じ嫌われ者同士頑張りましょう?」

「うん……ありがとう、瑞鶴」

「……ったくチョロくて哀れな生ぬるい連中だ、折角のハヤシライスが甘くなる」

「だったらコーヒーかけてあげようか提督」

「それは勘弁だ摩耶……まぁこの二人が嬉しいのなら放っておこう。どうやら嫌われているのは馬鹿トカゲ二人の勘違い、かもな」

 

 自然と笑顔になる飛龍と蒼龍。

 皆と一緒に食べるのは久しぶりだ。今まで食さなかった料理が特別美味しく感じる。涙が止まらなくて仕方なかった。

 

「っていうか何でお前らここまで来た! 暑苦しいだろうがやめろ!!」

「そんなツンツンで退く私達じゃないよ?」

「ハァ!? 気持ち悪いからやめろ!! お前らのそのヘラヘラしたクソ生意気な顔もそこまでだぞ、明日の訓練厳しめにしてやるからな!! 後で後悔するがいい! 如何に自分が愚かだったか一瞬で解らせてやる!! 覚えておけ!!」

「いいから黙って食え!!」

 

 摩耶に押さえつけられ、ブツブツと不満を吐く提督。やけくそに美味しいと口にしながらハヤシライスを食べている。提督の頬にはくっきりと手形が残っていた。

 

「何ブツブツ言ってるんだか……」

「やっぱ提督さん面白い」

「何が面白いだヒステリーツインテェ! 人を見て面白いとは失礼にも程があるだろ!!」

「人をスプーンで指すやつが何言ってるのよ!!」

「うるさい!! 少なくともあの演習時のお前の方がよっぽど哀れ過ぎてお笑いだったぞ! 艦娘辞めてリアクション芸人になるといい、少しは稼げるはずだ!!」

「提督さんこそ、軍人やめて批評家になった方が良いと思うけどなーその減らず口で誰でも勝てそうだし天職じゃない?」

「そう思ってるならお前の頭はご飯粒一粒の小ささらしい、知能が無さすぎだもっと食べて脳みそを鍛えるよりその色気の無い貧弱な身体を先に鍛えるといい、最も胸には行かないようだがなぁぁぁ!!!」

「こんのッ……!!」

 

 瑞鶴がテーブルを叩き、スプーンを握り潰す。口喧嘩に抗ってみたが先にイライラが勝ってしまった様だ。その姿を見て提督はニヤニヤしながらスプーンをグルグル回して煽っている。

 

「人気があると思ったら大間違いだ!! 自惚れも大概にしろ、夢見過ぎだ!!」

「あたしは?」

「摩耶は別だ」

 

 その後摩耶以外の誰もが提督を殴ったのは言うまでもない。

 

「なぁ摩耶、前が見えない」

「……自業自得だ、受け止めろ」

 

 殴られた痕だらけで顔は腫れており、目が全く見えていない。

 

 

 

「……何よアイツ」

「殺しておく必要がありますかね」

「やめなさい霧島、まだ生かしておく事よ」

「でもアイツは必ずやって来そうです。どうしましょう」

「取り敢えずは従順よ、従ったフリして親しくなった頃に一気に叩き落とします。川内、頼むわ」

「……分かったよ」

 

 川内は密かに微笑む。自分が提督の艦娘とさえ知らずに。面白い艦娘達だ。

 

「ほらこんな辛気臭い所居たってしょうがないわ……オイ」

 

 食堂に出た金剛の頭を無理矢理掴む榛名。まるで物の様に扱い、引き摺っていく。妹とは思えない行動だ、周辺の艦娘達は止めようともしない。

 

「や、やめっ……」

「たらたらしないで行きましょうクズお姉様ー、ゴミ箱までレッツゴーですよー」

「今日はやめっ……テ!?」

「少しぐらい黙って来てくださいよ」

 

 首を絞め、あからさまに敵意を見せる榛名。最初の言動とは思えない口調だ。

 

「蹴ったり踏んだりでイライラしてるんです、サンドバッグになってもらいますねクズお姉様」

「提督みたいに今度は何しますか? 爪の間に釘入れますか? 足の指の骨を一本ずつ折りますか?」

「そ、それだけはっ……!」

「大好きですね霧島! 良いでしょう比叡お姉様、何か面白いもの持ってきていただきますか?」

「れ、冷酷だなぁ……か、帰ってからや、やるね……」

「帰りましょう、では」

 

 金剛四姉妹は物騒な会話で戦艦寮へ向かった。比叡、榛名、霧島は金剛に対してとてつもない憎悪と侮蔑を持っている。何かしら虐めなければ気が済まないのだ。

 

「やめて榛名っ−−」

 

――――――――――――――――

 

 やがて妹達による暴行を終え、別の部屋で身体を休める金剛。結局爪の間に釘は入れられ、足の甲を何度も木槌で殴られた。これが前任の時まで続いている。

 提督が来る前は耐える事でいつか目を覚ますと信じていた、だがその貫いていた希望も壊れそうだった。

 

「……もう……嫌だヨ……」

 

 横になり、泣き叫ぶ金剛。

 隣で楽しそうに会話する妹達の声を聞いて泣いた。何が正解で不正解か、どうすればよかったのか。死さえ考えた、でも可愛い妹達がいつか帰ってくるかと思うとナイフを持つ手は止まる。どうしても信じたかった。

 

「助けて……提督――」「ハァイ!! 助けてという声が聞こえたので勝手にドアをぶち破って来ました提督です、何かご用件が?」

 

 突然現れた提督に戸惑う金剛。勝手に部屋の中に入り、摩耶と鈴谷と加賀に手当てさせる。

 

「え……どう、ちょっと……」

「ほら静かにして、医務室に行くよ」

 

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