うざい提督とブラック鎮守府   作:あばずれ

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戦闘シーンの描写って難しいですね……
読みづらかったら申し訳ないです。


29. 戦闘中のお色気は程々に

 演習当日。

 雲一つない青空に迎えられ、青く澄み渡る海辺で艦隊が到着した。

 十四時半、演習開始まであと三十分。

 

「どうよ提督」

「悪くない。だがもう少し露出を多めにするといい、相手の提督と元帥を悩殺す――」「やめろ!!」

 

 相手側の判断を遅らせるために色仕掛けを仕掛けようとした提督。鈴谷もノリノリでスカートを短くしようとしたが摩耶によって中止となった。

 

「いやいや摩耶君、俺が勝つ為なら手段を選ばない事ぐらい分かるだろ?」

「ハァ……演習当日なんだ、鈴谷達も緊張してる。あまり不安な事はしないでくれ提督」

「大丈夫だ死にやしねぇ! 何かあったら俺が五百倍返しでぶちのめしてやる」

「はいはい分かったから」

 

 提督はファイティングポーズを取り、威嚇する。

 摩耶の言う通り、鈴谷を始め艦隊に選ばれた艦娘達は緊張している。何も初めてやるから緊張している訳では無い、皆それぞれの目的を果たせるかどうか不安だからだ。他の艦娘達には今日の訓練は中止、自由にさせている。

 

「提督さん……私は、大丈夫かな?」

「知るか。お前の実力はお前が知ってるはずだ、俺に聞くんじゃない鳥頭」

「提督、演習時は演習用模擬弾薬か?」

「あぁそうだ。ペイント弾とは違うぞ慢心するなよポンコツ。あ、そうだ」

 

プリンツが台車で何かを持ってきた。その何かとは明石に施してもらった改装設計図や模擬用三式弾などの普段は見られない物。それを提督は手渡しで金剛や加賀、鈴谷に渡した。

 

「使い方はお前ら次第だ、いいな?」

「これって……」

「司令官!!」

 

 岸辺で戯れていた提督達を呼んだのは朝潮だ。どうやらこの反応は南方の中尉と艦隊が到着したらしい。朝潮の報告を受け、広場へ向かった。

 

「この日が来ましたね……」

「あぁそうだな。計画じゃ秘密裏にボコって欲しかったが、そういう訳にもいかなくてなぁ。こちらは全力でお前らを叩きのめす事にした。楽しみにするがいい」

「そういうと思って私も最強の艦隊を連れてきましたよ」

 

 中尉が引き連れた艦隊のメンバー。それは旗艦赤城改、武蔵改二、山城改二、北上改二、神通改二、綾波改二。昼戦夜戦共に優れた編成だ。火力の桁が倍以上過ぎる。

 一方こちらは旗艦長門改、金剛改二、加賀改、瑞鶴改、鈴谷改二、古鷹改。天と地の差だ。

 

「やるからには、全力です……貴方だけには」

「面白いねぇ……」

 

ニヤニヤしながらも不安でしかない提督。マジで負けそう、と心配でしかない。だが余裕の表情は絶対に変えない。両者とも睨み合う。

すると到着した元帥が中を割って入ってきた。

 

「来たよー白くん、■■くん!」

「元帥殿、よくここまで来てくださいました」

「いやいや南方からここまで来た君も凄いよ?」

「いえいえ私なんて……」

「……司令官だ!!」

 

 更に元帥と提督達の話を割って出てきたのは駆逐艦と軽空母、そして戦艦の艦娘。皐月、瑞鳳、ガングートが提督の目の前に出てきた。

 

「会いたかったよー司令官ー!」

「提督、大丈夫? 嫌な事されてない?」

「私が直々に来てあげたぞ。感謝するんだな!」

「まだ話してるんだから静かにしてろ馬鹿共!! 摩耶ァ!!」

「へいへい」

 

 皐月達の対面を一時摩耶に任せ、大人だけで話し合う提督。といっても挨拶と世間話程度なので気休め程度だ。

 だが元帥の前ではちゃんと正しくしていなければならない。

 

「それで白くんの艦隊は?」

「今は演習海域にて待機させています。いつでも演習は開始出来ますよ」

「それだったら私の艦隊も待機させましょう。綾波、皆を連れて待機場所へ」

「分かりました」

 

 中尉の命令により、旗艦赤城の艦隊は待機場所へ向かっていった。元帥と提督達、そして引き連れた艦娘達が広場に残される。

 

「では話も進んだという事で……摩耶、プリンツ、二人を仮司令室にご案内させなさい」

「分かった」

「分かりました! では元帥さん、こちらにご案内します!」

 

 摩耶は中尉を、プリンツは元帥を特別に建てられた仮司令室へ案内した。司令本部にある複数の多目的室を改装して作られた仮司令室。作戦指揮の為に用意されたモニターやマイクなどが揃えられている。机や椅子も新品だ。

 なお提督の自腹である。

 

「んでだ、何故にお前らが来た」

「もう一回司令官に会いたかったからー!」

「心配だったから、元帥に聞いたらちょうどよくこの演習があるって来ちゃった」

「ビスマルクの奴が任務で行けないから代わりに行ってくれと言われ、私が来てやったのだ。全く……貴様がこの鎮守府に配属されたと聞いた時は驚いたものだ」

 

 皐月、瑞鳳、ガングートも提督に育て上げられた艦娘の一人。彼女らも大本営直轄の艦隊に属している優秀な艦娘達だ。

 

「とにかくだ、邪魔はするなここのポンコツ兵器共とどうしようがどうでもいいが騒ぎだけは起こすな、演習中は何もかも手出し無用だ、いいな?」

「分かってるよ! ここの艦娘達より僕達の方が強いしねー」

「摩耶さんと北上さんには到底及ばないけどね……」

「フン、安心しろ。もし貴様の事を悪く言う奴がいたら銃殺刑だ」

「それがいけないって言ってんだよ!!」

 

 司令本部では摩耶が中尉を仮司令室まで案内させていた。外ではここの艦娘達が徐々に集まってきている。余程演習が気になるのだろう。

 恐らく白さんの命令だと思うが。

 

「摩耶が参加しないとは……少し計算を見誤りましたね」

「そうだな、私は参加しない。あくまでもここの艦娘達を戦わせるんだ提督は……それにしてもアンタも酷だな、北上を入れてくるなんて」

「摩耶を想定していた編成です。仕方のないことですよ」

「……そうか」

 

 摩耶と北上。もし戦えば史上最大の戦闘になる。この二人はある関係にいるのだ。

 やがて提督と元帥、中尉が司令室に辿り着き、旗艦赤城の艦隊も待機場所へ到着。

 天気は良好、両者共に戦闘準備、開始の合図がなるまで待機する。

 勿論両艦隊の艦娘達は相手が誰なのか知らない。これはあくまで演習、知り得ない敵に対処する為の特訓だ。部活でいう練習試合に過ぎない。

 

「演習開始の合図は元帥殿にお願い致します。なおこの声は元帥にしか聞こえておりません。相手側の声は私には聞こえておらず、あちらも私の声は聞こえておりません。元帥殿だけが両者の声を聞いております。中尉にもご確認をお願いします」

『オッケー、■■くん大丈夫?』

『大丈夫です』

『大丈夫だってー』

「ありがとうございます。では演習開始の合図をご自身のタイミングでお願いします」

 

 それぞれ離れた司令室で会話をする三人。情報漏れを防ぐ為に提督が考えた策だ。それぞれ明確な指揮が取れるように配慮されている。

 だがしかし勝つ為には手段を選ばない提督。南方提督からの音声はダダ漏れである。

 

「(相変わらず汚い……)」

「おーい聞こえてるかー?」

『こちらは大丈夫だ、いつでもいける』

「ならば良し」

 

 演習開始の合図は元帥に委ねられた。

 

 長門達はそれぞれの目的の為に今まで訓練を積んできた。最初は半信半疑で殺意とあったが今はその気持ちは自然と無い。提督は自分達に立ち直れるチャンスを与えてくれたのだ。

 もし提督がいなければこんな事にはならなかっただろう。

 強くなれる事も出来なかっただろう。

 

「(奴らを見返す為!)」

「(陸奥を救う為)」

「(■■をぶっ飛ばす為)」

「(前任に復讐する為!)」

『全力でやるぞお前らァ!!!』

「「「了解!!!」」」

 

 

『演習開始!!!!』

 

 

「複縦陣、加賀瑞鶴は索敵と制空権確保、それと同時に他は北上に全艦砲撃」

「輪形陣、対空戦闘用意!! 赤城と山城は索敵と同時に制空を優勢に、他は加賀を狙え! 北上は先制雷撃!!」

 

 元帥の合図と同時に提督と中尉は艦隊に命令する。それを聞いた各艦隊は一斉に動き出した。演習海域は判決約十キロメートル内の鎮守府近海。通常の戦闘と何ら変わりは無い。

 

「敵確認! 戦艦二隻、空母一隻、雷巡一隻、軽巡一隻、駆逐艦一隻!」

『魚雷に気をつけろ。奴の北上は甲標的を装備していた。気を張れ』

 

「敵確認しました。戦艦二隻、空母二隻、航巡一隻、重巡一隻です。制空権はあちら側に取られました」

『対空への意識を忘れるな、先制雷撃は済んでいる』

 

 提督が一番懸念しているのは相手側にいる北上の存在。北上は重雷装巡洋艦、甲標的さえ持てば唯一雷撃を先制攻撃出来る。尚且つ夜戦においては最強と思わせる戦闘能力を持ち合わせており、昼戦だろうと油断してはいけない。

 

「鈴谷避けて!!」

「え」

 

 古鷹が指示を促す。だが時すでに遅し、北上が発管した魚雷は恐るべき速度で鈴谷に直撃。

 だが古鷹の判断により轟沈判定は間逃れた。

 鈴谷は大破判定になる。

 

「やはり避けられないか……仕方ない。金剛、鈴谷を護衛しつつ単縦陣を変更だ」

『こちら長門。提督、相手側にも少々のダメージを確認。このまま接近しつつ対空に意識させようかと思う』

「成程いいだろう、やれ」

 

 提督が頭を悩ませる。重雷装巡洋艦である北上は必ず最初にやっておかなければならない。何より提督がそれを一番理解していた。

 何故ならあの北上は提督が育てた――摩耶と唯一並ぶ最強の艦娘だからだ。

 

「山城が小破判定かぁ……やってくれるじゃーん流石私の元提督……――

 

――少し本気出しても良さそうだねー」

 

 北上の細目が僅かに開き、光って見えた。それと同時に武蔵は空へ砲口を向ける。

 そして加賀と瑞鶴が繰り出した爆撃機や攻撃機を――、

 

「だ、そうだ提督」

『構わない。全力で叩き潰せ』

 

 たった一回の砲撃で全て破壊した。

 

「全て……撃破……」

『怖気付くな、これぐらいのパターンは分かってるはずだ。今すぐ行動に移せ』

「りょ、了解!」

 

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