「もう...こんな時間か」
裏路地を出てタツミという少年を探してたリゾットだったが気づくと辺りはすっかり暗く橋の真ん中あたりで帝都の街並みをボーっと見ていた。
(やはり、そう簡単には見つからないか...もしかすると、まだ帝都にすらついていないのかもしれないな、今日はもう遅い、また明日にするか...)
そう考えて橋を渡りきろうとしたその時
「っっクッソオオオ、今思い出してもむかつくぜ、あのきょにゅ、じゃなかった、あの女あ」
「!?」ビク
リゾットは疲れていた為、ふいに出た大声にびっくりする
すると橋の端で地べたにあぐらをかき、頭を抱えて半泣きになりながら大声を出す少年がいた。
しかもその少年はサヨが探していた少年の髪色や特徴がピッタリと合っていた。
それでリゾットは迷わずその少年に対して声をかける。
「おい、おまえ、間違いなら申し訳ないが、タツミか?」
少年は涙目から少し驚いた表情を取りこう言った。
「あ、ああ、俺がタツミですけど、なぜ俺の名前を?」(疑心暗鬼な顔)
少年は若干不安そうに答える。
「サヨとイエヤスと言えばある程度は分かるだろう」
「え!?っていうことは」
「そいつらから、伝言を頼まれていてな、お前を探してたんだ。」
「そうだったのか、そうか、ふっはは」
「なぜ、笑う?」
リゾットは突然笑う少年に対し目を細め問いかける
「いや、サヨもイエヤスも無事に帝都まで来れたんだなあって知れてうれしくてつい」
満面の笑みで意気揚々と話すタツミに納得するリゾット
「それであいつらなんて言ってたんだ?」
「ああ、確か...」
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(「「私たちは無事に帝都についたから、タツミも私たちの事は心配しないで、まずは、村のみんなのために、できることをやりなさい、近いうちに会えると思うから、お互い頑張りましょう」って伝えてもらえる?」)
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「っと言っていたな」
「サヨ...そうだよな、ここまで来たんだ、落ち込んでる場合じゃない、巨乳女に有り金全部だまし取られて店の中に何時間も待って騙されたと気づいたりついさっきもチンピラに絡まれたけど、これから出世して村を守れるようになっていけばいいもんな!!」
(あれだけ探して、見つからなかったのは、店の中にいたからか...)
見つからなかった理由に納得したリゾットと、サヨの伝言で元気を取り戻したタツミであった。
「あ、そうだ、ありがとな、サヨたちの事、教えに来てくれて、えっと...」
「リゾットだ、そのことについては気にすることはない、こちらも報酬を貰っている身だ、それよりも...だ」
「?」
「タツミ、お前有り金全部取られたと言っていたな、今夜泊まるあてとかあるのか?」
「あー、そうなんだよそれが見つからないからここで寝ようっt」
「ねぇ、あなたたち、地方から来たんですか?」
歩く音で気づいてはいたが後ろから声をかける少女の声が聞こえてきた
それに対しリゾットは振り向きこう言う。
「ああ、そうだが...」
「もし泊まるアテがなかったら、私の家に来ない?」
そこには誰がどう見てもお嬢様と思う服装に黄色の髪色で青い目をしたタツミと年が近そうな女の子が笑顔でリゾット達に問いかける
それにタツミは
「えっでも、リゾットはともかく俺はお金持ってないぞ」
「持ってたらこんな所で寒そうに震えてないわね」
「アリアお嬢様はお前等のようなやつを放っておけないんだ」
「お言葉に甘えておけよ」
彼女の護衛?の者たちも同意し遠慮することはないという態度をとる。
「どうする?」
少女は後ろに手を組みながら問う。
「まぁ...野宿するよりゃいいけどよ...」
タツミは照れ臭そうにそっぽを向きながら言う
「そう♪、あなたもどう?」
少女は笑顔でリゾットにも家に泊まるかどうか聞く
それに対しリゾットは
「............ああ、なら、俺もお言葉に甘えよう..か」
「じゃあ、決まりね♡、着いてきて家まで乗せってて上げるから」
「いやあ、ラッキーだったな、俺らあんなかわいい子の家に泊めてもらえるなんて、リゾットもそう思うだろ?」
っとタツミが野宿じゃなくなったのが嬉しいのか和気あいあいとリゾットに語り掛けるも
「........」
リゾットは疑うような顔で少女の方を見ていた。
「リゾット?」
そのすこし冷たい顔を見てタツミは不安そうにリゾットの名前を呼ぶ
それにきづいたのかリゾットは
「......いや、すまない、少しボーっとしてしまっていた」
「な、なんだよ、怖い顔するから怒ってるとばかり思ったぜ」
「ねえ、早く行きましょう」
馬車から少女が大声で呼ぶそれにタツミはいそいで馬車の方に進むのに対しリゾットは馬車の方に歩きながら誘ってきた少女について考える
(あのアリアという少女の目、常に笑顔で明るく振舞ってはいるが、目というのはやはり嘘を付かない、あのどす黒く深く染まった目それに血の匂いもする、俺やタツミを観る目はまるで家畜を観るような残酷な目だった。人を平気で殺す目だ。...本当なら、断ってもよかったが...)
そう考えタツミの方を見る
(俺がついて行かなかったら、タツミに危険が及ぶ気がする。俺の勘は当たる、だからこそ一緒に着いていくしかない、それで死なれたら死なれたでサヨが悲しむだろうしな)
そう考え終えたときにはリゾットも馬車に乗っていた。
~数分後~ アリアの屋敷
着いた場所はまさにザ・お金持ちと呼ぶにふさわしい場所であり鹿の剥製や高級そうなツボなどが並んでいた。
周りには数人の兵隊どもも並んでいる。
「おお!?」
「.........」
周りをきょろきょろしながら驚くタツミと正反対に静かに部屋の様子を観察するリゾット
にこの屋敷の主らしき人が声をかける
「おお、アリアがまた誰か連れてきたぞ」
「癖よねぇ、これで何人目かしら」
「拾って頂きありがとうございます。」
屋敷の主人とその妻を前にタツミは涙を流しながらお礼をする
「いいよいいよ、遠慮なく泊まっといて♡」
笑顔で答えるアリアにそれに同意する両親を見てリゾットは不思議に思う
(やはり、妙だ...こんなにもあっさり人を泊めるなどいくら金持ちで娘が連れてきた人だからとはいえ、普通は知らない人が泊まると聞かされたら嫌がるものだだがこいつらにはそれがない、むしろ笑顔で受け入れている...それにこいつらも娘と同じ目、血のにおいがする。)
そう考えていると
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「なるほど...軍で出世して村を救いたいか...」
リゾットが考え混んでるうちにある程度話が進んでいた。
「素敵な夢ね」
「...だがね君、帝都の内部は平和だが...この国は三方を異民族に取り囲まれている、国境での彼らとの戦いにから出されるかもしれないぞ?」
「覚悟はしています」
出世するためには過酷な道が待っていることを話す主人に対し汗をかきながらも覚悟は決まっていると返答するタツミ
「成程、見上げた根性だ! 若者はそうでないとな」
(いや、まだ覚悟しきっていない、顔に甘さが出ている)
その返答に対しリゾットはタツミの表情から覚悟が足りていないことを感じ取る。
「タツミはその村から一人で来たの?」
アリアが途中でタツミが村からどう来たのか聴くと
タツミは経緯を話し出す。
「いえ、三人です...実は...」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「そんな感じで意気揚々と...その後、夜盗に襲われて散り散りになったんです...」
(サヨが話していた通りだな)
タツミが話したことがほぼサヨが言っていたことと一致していた為、リゾットは無反応であった。そんなことを考えていた時、
「アリアの勘って当たるんだけどね、きっと近いうちに二人共会えると思うよ」
ゾッッッーーーーーーーーーーー!?
アリアの意味深な発言それに普通の人間が見たらかわいい子だなぁと思うような笑顔もリゾットからすれば何かを隠しているかのようなまたは本当にその二人のことを知っているかのような表情にも見えた。
(ま、まさか、こいつサヨとイエヤスのことも家に入れたというのか、俺の勘違いならいいのだが、こいつ等の匂い、目は人を平気で殺してる目だ。それに発言したとき目の色が変わったのが見えたぞ。それに周りにいる兵隊どもの様子も何処かぎこちない...仕方ない...これだけはしたくなかったが...やむおえん。)
最悪な未来が待っているかもしれないと考えるリゾットの顔は汗で濡れていた。
それをみたアリアは不信そうに問いかける。
「リゾットどうしたの具合悪いの?」
「いや、すまないがトイレを貸してくれないか?」
「え、うん、おなか痛いの?じゃあそこのあなた、リゾットをトイレまで連れて行ってもらえない。」
「了解しました。ではこちらに」
そう言って兵隊とリゾットは部屋を出た
しばらく、廊下を歩いていると
「すまないが少し外に出てもいいか」
「え、トイレはいいのか?」
「ああ、外の空気が吸いたくてな」
「わかった。でも一つ言っておく」
「なんだ」
兵隊は森の方へ指をさし話す
「ここからまっすぐ進んだ先に大きな小屋があるそこには近寄るな、いいな」
兵隊は脅すような顔つきでリゾットに言った。
「ああ、分かった、もういいか?」
「分かればいい、じゃあ俺は先に行ってるから用が済んだら戻って来いよ」
そういうと兵隊は元にいた場所に歩いて戻っていった。
「勘違いならいいんだがな」
~数分後~ボロイ小屋の前
リゾットは体に鉄分をまとい体を見えないようにし小屋の入り口手前まで来ていた。小屋のドアには鍵穴の空いた手錠がついていたがリゾットはすぐさま自分の手を切り鍵穴に自身の血を流し込みいっぱいになった瞬間にメタリカで固め鍵を作った
その足蹠のカギで手錠をはずしドアを開くとそこには人間であったであろう人たちの見るに無残な姿であった。
ある人は目が切り落とされ、ある人は足や手足が欠損した状態で吊るされており、ある人は体に黒いぼつぼつのようなものをかきむしりながら血反吐を履いた跡がありまさに地獄と呼ぶにふさわしい場所であった。
「やはりサディストだったか」
「..................!?」
ふと目を一人の吊られた女の方を見るその女は体中が傷だらけで右足が欠損し、縄が両手首に繋げられ吊るされており、見覚えのある花飾りが右の髪についていた。
「そうか.........やはり......俺の勘が的中してしまったか...」
リゾットはその痛々しい見るも無残な姿になった少女を表情は変わらないが唇を血が出るほど噛み締めてからこう発した。
「すまない.........サヨ」
ごめんねサヨちゃん