転生ゲーム〜バカとテストと召喚獣〜   作:テイクジー

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第九話 終戦〜教室の中心で終焉を叫ぶ〜

「選択科目は日本史、上限ありで範囲を小学校高学年レベルに絞った純粋な点数勝負だ」

 

 耳を疑うような科目選出で最終戦は始まった。

 

 はっきり言って、最後がこんなのでいいのかと問いたかった田中だが、まるで勝ちを確信しているかのようなFクラスの様子を見ると、どうでもいいかと切り捨てた。

 

 正直、この勝負よりもその後に控えているであろうFクラスへの命令が、彼の心を重くしていた。

 

(こんな命令、本当なら人に言われてするような事じゃないのになぁ。間違いを正すって決めたし、自分から頼んだことだから仕方ないんだけど、なんだかなぁ)

 

 頭の中でそんな事を考える田中だが、その表情には未だに固さが見える。初戦が終わって戻って来た頃からずっと変わらない。怒っているような、悲しんでいるような、何かを堪えているような、そんな表情だ。

 

 そんな彼に、Aクラスメンバーも気を利かせたのかあえて声をかける人物はいなかった。

 

 準備が整い、各代表が別室へと移動する。公平な条件で試合するための配慮であり、他の生徒達はモニターでの観戦となった。

 

 両クラスが固唾を飲んで見守る中、試験開始の合図がなり、試験問題が画面下の方でスクロールされる。

 

 祈るように画面を見つめていたFクラスだったが、ある問題を皮切りに、安堵の息をつく。中には勝利を確信したかの様に歓声を上げる者まで出てくる始末だ。

 

 何がそんなに嬉しいのか?誰が相手なのかを理解しているのだろうか?島田をはじめとする幾人かの生徒は、田中に向けてどうだと言わんばかりの顔を向けている。

 

 一体彼女は何を考えているのだろうか?

 確かに秀吉には多少辛く当たったが、田中がFクラスに何をしたというのか。被害妄想も大概にして欲しいが、彼女の中では田中は敵として認識されているらしい。

 

 解せぬ。

 

 普段の田中ならそう思っただろうが、生憎今の田中にそんな視線は通用しなかった。

 

 そのうち試験が終了し、その場で採点が行われ、モニターに結果が表示される。

 

Aクラス対Fクラス最終戦

選択科目:日本史(上限あり)

Aクラス 霧島 翔子 97点

VS

Fクラス 坂本 雄二 53点

 

勝者 Aクラス 霧島 翔子

 

 Fクラスに夢と希望を与えた最終戦は、叶わぬ夢のまま幕を閉じたのだった。

 

 両クラスの生徒が別室に移動し、ひと気のなくなった教室で、田中は未だに項垂れている秀吉に近づき、声をかける。

 

「秀吉、戦争も終わった事だし、俺からの命令を伝える」

「哉太…わしは、あれはわざとではーー」

「まだそれを言うか?お前、どうして俺が話を聞こうとしないのか、なんで怒ってるのか全く分かって無いんだな」

「…怒っておる理由じゃと?Cクラスを騙した事じゃろう?それくらい分かってーー」「違うな」

「間違ってるぞ、秀吉。俺がお前に怒ってるのは…お前が反省してない事と、言い訳しようとしたことだ」

「反省しておらぬじゃと?そんな事ないのじゃ、わしは確かに悪いことをしたと思っておるのじゃ」

「じゃあ何故言い訳する必要がある?反省したんだろう?悪い事したと思ってるんだろ?じゃあ言い訳なんかするなよ、相手が先にやってきたなんて言うな」

「それにお前、誰に対して悪かったと思ってるんだ?」

「そんなの、Cクラスの連中にきまっておるじゃろう」

「…優子には?」「っ⁉︎」

「優子には悪いと思って無いのか?」

「も、もちろん…悪いと、思っておる」

「じゃあさ、秀吉。優子にはもう謝ったのか?」

「……まだ、謝っておらぬのじゃ」

 

 そこまで聞くと、田中は一度目を閉じ、唇を噛み締める。

 

「そこだよ、秀吉。俺はそこに1番腹を立ててるんだ。」

「お前、優子がどんな思いしたか知ってるのか?面識もない奴にいきなり怒鳴りこまれて、ロクに状況も把握出来ないまま一方的に憎しみの目を向けられたんだぞ?」

「そ、それはーー」

「皆の前だから、皆に心配かけちゃうからって、必死で平然を装ってさ…」

「………」

「平気なわけないくせに無理やり怖いの我慢して、自分の中に閉じ込めてさ…」

「だから、お前を許せないんだよ。2人っきりの姉弟なんだろ⁉︎大切な姉ちゃんなんだろ⁉︎なんで身内のお前が優子を追い詰めてんだよ‼︎」

「悪い事したと思うんならさっさと謝ってやれよ‼︎嫌な思いさせてゴメンって言ってやれよ‼︎なんで平然としてんだよっ‼︎」

「俺なんかに…気付かされるなよ、こんな事。自分で気付いてくれよ…」

「哉太。お主…」

「いいか、俺は優子に惚れてる。愛してると言ってもいい。だから、優子を傷つけたり、悲しませる奴は、誰であろうと容赦はしない。例えお前でもだ、秀吉」

「お前は優子を傷つけた。これを忘れるなよ。そして、そんなお前にする命令は一つーー」

 

ーー優子に謝れ。

 

 それだけだ。と言い残し、田中も別室に移動していく。

暫く呆然としていた秀吉だが、田中の言葉を頭の中で反芻すると、自分に喝をいれ、歩き出した。

 

 田中が別室に到着すると、翔子が雄二に迫っていたり、吉井が島田と姫路に迫られていたりと、中々に混沌としていた。

 

 しかし、そこは田中クオリティ、安心と信頼のスルースキルでカオスフィールドを潜り抜けると、教室の真ん中で手を叩き、注目を集める。

 

「はいはーい、全員一旦ちゅーもーく。ほらそこ、さっさと注目しないとあいつはホモだって学園中に言い触らすぞ」

 

 軽い口調だが本気の目でそんな事をのたまう田中。

 全体の注目を集めた事を確認した田中は再び口を開く。

 

「これからAクラス(おれたち)からFクラス(おまえら)に命令を下す訳だが…坂本、秀吉以外のFクラスメンバーはこれで全員か?」

「ちょっと待て…っと。ひー、ふー、みー…あぁ、全員だな。しかしどんな命令をするつもりだ?場合によっては全力で拒否するぞ」

「なに、大した事じゃない。それにおそらくほとんどの奴らが幸せになれる命令だ」

「あ?なんだそりゃ」

「まぁ見ていろ」

 

 そう言うと、田中は一つ咳払いし出処不明のマイクを握る。

 

《あー、あー、マイクテストマイクテスト。こほん、…お前らー、彼女が欲しいかー⁉︎》

 

『おおおおお‼︎』

 

《女の子にモテたいかー⁉︎》

 

『おおおおお‼︎』

 

《そんなお前らに素敵な命令をくれてやる。彼女が欲しい奴、女の子にモテたい奴はーー》

 

『…ごくっ。』

 

《FFF団を即時解散しろぉー‼︎》

 

『うおおぉぉぉ‼︎…おお?』

『おい、それはちょっと…良いのか?』

 

《なんだ、モテたく無いのか?お前ホモか?》

 

『違う!!おい、お前ら引くなよ!俺だって女の子にモテたいよ!でもよ、FFF団には血の盟約が…』

 

《かっー、んな事言ってるからいつまでもモテ無いんだよ。お前らがモテたい、女の子と付き合いたいって本気で思って努力すれば、女の子は絶対振り向いてくれる。少なくとも悪い感情は持たない。俺が断言してやる。だからさ、血の盟約とかそんなくだらないもん蹴っ飛ばして頑張ってみろって、な?》

 

『………る』

《ん?》

『…ってやる。やってやる!俺は…俺はFFF団をやめるぞ〜!!』

『お、俺もだ。俺もやめる。女の子に振り向いてもらえるようになるんだっ!!』

『俺も!』『僕もっ!!』『おいらも!!』

《よーし、お前ら!!お前らの本気を、お前らの全力を見せてみろっ!!》

 

『うおおおおおおお!!!』

 

 

 

 

 こうしてAクラス対Fクラスの戦いは終焉の時を迎えた。




はい、以上を持ちまして対Fクラス戦終了となります。

めちゃくちゃな流れから呆気ない幕切れ。
ご都合主義さん大忙し。

田中君は優子が傷付けられた事に激おこでした。
正直Cクラスとかあんまり気にしてません。
備品破壊とかそれこそふーんで片付けるくらいどうでもいいです。

暗躍は、どうやってFFF団を潰すかトイレで考えてただけです。
トイレでボーっとしてるとたまに名案が浮かぶ気がするのは作者だけなんですかね?

あと、田中君と秀吉の会話を、密かに誰かが聞いてたとかいう裏設定があったりなかったり…

無理やり感強いですが、とにかくこれでひと段落なので、多少閑話が入るかと思います。

どんな話を入れるか全く決めてないので、こんな話が読んでみたいという案がありましたら、作者の技量で書けましたら書こうと思いますので、提案などございましたらお気軽にご連絡ください。

それではまた後日お会いしましょう。
2014/08/18改稿 段落付け、最後の方を加筆修正しました。けっこう変わった気がします。(作者視点)
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