Ultraman G ーto come again ー 作:マイケル社長
凶暴怪獣アーストロン
オイル怪獣タッコング
ヘドロ怪獣ザザーン 登場
〜オーストラリア・シドニー キングスフォードスミス国際空港〜
夜だというのに、空港のプライオリティラウンジは大混雑だった。
激務続きの出張であったため、せめてこの時間くらい優雅に過ごしたいと考えていた藤倉の見通しは無残にも潰えた。
座席はほぼ満席で、ドリンク、フードカウンターにも人の列が続いてしまっている。
これでは、航空会社の高級クレジットカード付帯サービスの恩恵になど預かれるはずもない。
舌打ちをし、とにかく一杯ひっかけるべくドリンクカウンターへと並ぶ。
オーストラリア人の若者たちが大声で笑いながら、カウンターから受け取ったビールを煽っている。
(質が落ちたものだ)
なぜ、こんな年端もいかない連中がラウンジなど利用できるのか。
隣のフードカウンターでは、中国人旅行客が現地の言葉で談笑し、浅ましくも皿一杯に料理を汚く盛り上げている。
楽しそうな笑い声を聴くとイライラするのだ。こっちは仕事で来ているというのに。
ようやくビールジョッキを受け取り、空いている席を探すと、ちょうど年配の夫婦が立ち上がって、ラウンジを出たところだった。
藤倉はすかさず空いたテーブルへ座り、隣の椅子に誰も座らせぬよう、バッグを置いた。せめて、誰にも邪魔されずにこのビールを味わいたかった。
よく冷えた一口が喉を勢いよく流れ落ち、大きく一息ついたときだった。
「すみません」
背後から声がした。振り返ると、細身の若い男が立っていた。
「日本語に反応するってことは日本人だね?隣、座らせてもらえねーかな?」
久しぶりの日本語に反応してしまった。男はトレイにステーキやフレンチフライを山盛りにしている。
よほどイヤだと言いたかったが、藤倉は渋々、バッグを椅子から降ろした。
「悪いっスねー」
男は腰を下ろすと、すかさずステーキを刻み、塩とスパイスをかけて食べ始めた。
「うまあ!あーしばらくオージービーフも食えなくなるんだよなあ」
口いっぱい肉を頬張り、独り言をぼやく男。藤倉はしかめっ面をして、顔を背けた。
「おじさんも食べる?けっこーイケるよ?」
空気を読まず、男は声をかけてきた。
「いらない」
素っ気なく答え、藤倉はビールをあおった。静かに飲ませて欲しかった。
「おじさん仕事?日本帰るんでしょ?」
藤倉は答えず、咳払いをして男に強い視線を向けた。
「オレさ、日本久しぶりなんだよ。日本人と会うのも何ヶ月ぶりかな。あ、オレね、三堂っていうの。三堂剣太郎。よろしくな!」
何がよろしくな、だ。いい加減ウンザリし、藤倉は席を立った。
こんなことなら、搭乗口の殺風景な待合室の方がよっぽどマシだ。