Ultraman G ーto come again ー   作:マイケル社長

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第2話 漂流 -Exileー Ⅲ

~東京都杉並区高井戸 ファミリーマート高井戸警察署前店~

 

 

 

 

 

お客が入店の際に流れるメロディーに反応し、品出しをしている瑛太は「いらっしゃいませー」と条件反射的にあいさつした。

 

入店するなり、自分に近寄ってくるのがわかったが、賞味期限の切れたプリンを下げつつ、知らないフリをした。

 

「次、あたし動くよ」

 

こんにゃくゼリーを選びながら、入店してきた客・・・ふんわりした栗色の髪をたたえた優希が声をかけてきた。

 

「九郎ヶ岳だろ。うまくいくのかよ?」

 

瑛太も品出しの手を止めることなく、訊いた。

 

「さあ、どうだろ。もう見つかっちゃったぽいしね」

 

「マジかよ、ヤベーじゃん。どーすんだよUMA動き出したら」

 

「まあ、最悪やられてもいいやって考えてる。あいつどーせ捨て駒だし。ま、見ててってしかいまは言わないでおく」

 

「美樹は納得してるのか?」

 

「まーね。あんたみたいにペナルティつくようなことはしないつもり」

 

クスリと笑う優希に、瑛太は非難めいた目を向けた。

 

「でも美樹は許してくれたよ。優しいもん、アイツ」

 

「それはどうだろ?」

 

ぶどう味のゼリーとカルピスを手に取ると、優希はレジに向かい出した。

 

「彼女、けっこう短気だよ。次は慎重にいきな」

 

「なんだよ、偉そうに・・・・」

 

ボソッとつぶやいたつもりだったが、知らぬ間に近くに店長が来ていた。

 

「瑛太ァ、お前お客さんに向かってなんだ、その口の利き方は?」

 

「あっ・・・すみません、すみませんでした」

 

「だいたいお前、11時のトイレ掃除まだしてねーじゃねーか。さっさとそれ終わらせて掃除にかかれよなあ」

 

ペコペコと頭を下げる瑛太に、会計を済ませた優希は冷笑をたたえた。

 

 

 

 

 

 

~石川県珠洲市 UMA日本支部~

 

 

中央司令室に集められたUMA隊員たちは、通信担当の米山から概要を聞き、首をかしげた。

 

「ったく、こないだの怪獣三匹出現以来、世間ではなんでもかんでも怪獣に結び付けるのが流行ってやがる」

 

特に陽次朗は悪態をついていた。

 

「隊長、この調査は拒否しましょうよ。まだ確証もないのに、こんなことで現地へ出向いてなんてやってられない。我々はいざ怪獣が出現してから叩くべきだ」

 

「陽次朗、まあ待て。我々は武装こそしているが、軍事力行使をするだけの存在ではない。事象やデータから対象を調査・分析することもUMAの大事な仕事だ。それに今回の調査を依頼してきた山忠建設は、UMAへ多大な寄付をしてくれてる山忠商事の関連会社だ。大事なお得意様をなくすわけにはいかん」

 

冴島は得てして笑顔で嗜めたが、陽次朗は不服そうに口をすぼめながらも、目を閉じて頷いた。

 

「それに、山忠建設はきちんと九郎ヶ岳地下のソナー調査を行って、データを我々に提供してくれている。現地へ行かずとも調査ができるんだ。そう腐ることもあるまい」

 

「はっ、軽率でした」

 

不服こそ口にするが、根は軍人根性に支配されている陽次朗は直立して頭を下げた。

 

「そうですよぉ。あたしみたいに優秀な隊員もいるんですから☆」

 

後ろから出てきたスキョンは、言いながら早速モニター画面にタッチし始めた。

 

「えーっとぉ、いまからソナーで感知した地底のサーモ画像を出しますね」

 

山忠建設はソナー感知のデータのみ提供したに過ぎず、スキョンは慣れた手つきでデータをサーモ画像に変換していく。

 

「ほぉー、スキョンはすごいな。こんな簡単に操作できるのか?」

 

好奇心に満ちた目で、剣太郎が訊いた。

 

「剣ちゃん、あたしこう見えて地質学と気象学の博士号持ってるんだあ」

 

「マジかよ、天才じゃねーか」

 

楽しそうに話す二人を、陽次朗は苦虫を噛み潰すような顔で眺めた。

 

「おいスキョン。剣太郎はお前より年上だぞ。なんだその口の利き方。そして剣太郎、お前も先輩に向かってその態度は何だ?」

 

「堅ぇこと言うなって。UMAは軍隊じゃねーんだぞ」

 

「そーですよぉ。あたしは剣ちゃんより先輩。剣ちゃんはあたしより年上。これでお互いevenじゃないですかあ」

 

グッと歯を食いしばる陽次朗だったが、二の句は告げなかった。議論は苦手なのだ。

 

「画像出しますね」

 

言いながらも操作を終えたスキョンは、最後に決定をタップした。

 

九郎ヶ岳地下の様子が、サーモ画像として映し出された。

 

「んー、やっぱり火山活動が活性化してるとは思えないですね。地下の圧力は平常値だし、熱水が充満してるワケでもないです。ただ・・・この空間の気温が少し気になります。圧力が高まっていないのに、90℃近いなんて」

 

さらに画像を展開していたとき、「おい、これは?」と陽次朗が声を上げた。

 

「どうかしました?」

 

「いや、この形状・・・スキョン、もう少し画像の精度上げられるか?」

 

「んー・・・これが精いっぱいです」

 

だがその精一杯の画像で、誰もが陽次朗の言いたいことが理解できた。

 

「これ、岩石にしては不自然な形じゃありませんか?」

 

護の指摘に、「うん。これ、尻尾だよな?」と、剣太郎が乗っかった。

 

「これは、ギールじゃないか?」

 

陽次朗が誰にともなく訊いた。すかさず護はiPadをタップし、自慢のデータボックスからギールのデータを引っ張り上げた。

 

「陽次朗さん、これですか?四足歩行の怪獣で、2年前にルーマニアに出現。欧州統合軍と戦闘の末、行方不明になったと・・・」

 

「ああ。オレも直接交戦した経験はないが、ルーマニアに駐留してたとき、コイツの話は聞いていた。当時、東ヨーロッパを荒らしまわっていたモングラーを追跡中、地中埋没爆弾を設置しようとしたら、地中から出てきたのがギールだった」

 

「それで、そいつはどうなったんだ?行方不明って、なんで行方不明になったんだ?」

 

訊いてくる剣太郎に邪険な視線を向けながらも、陽次朗はつづけた。

 

「それが不思議なんだ。地上に現出してから、ギールは暴れ回るわけでも都市部を目指すでもなく、その場に留まり続けた。だが目下展開中のモングラー討伐戦に邪魔になると判断した統合軍は、10発の新型火炎爆弾で以てギールを駆除することにした。オレは爆弾の搭載までは手伝ったが、その後は別の部隊が駆除を担ったんだが・・・」

 

そこまで言うと、陽次朗は言い淀んだ。

 

「翌日、ギール駆除部隊からの音信が途絶え、観測部隊がギールのいた村を訪れた。そうしたら、村ひとつまるごと焼けていたんだ」

 

「それって、村ごと犠牲にしてギールを退治したんですかぁ?」

 

眉を潜めたスキョンが訊いた。

 

「いや、いくら破壊力は高くとも、そこまで広範囲に炸裂する爆弾ではない。第一、焼け跡から駆除部隊の車両も発見されている。ギールも姿を消していたことから、統合軍は何らかの事情で、部隊を巻き添えにしてギールを駆除したと結論づけたんだが・・・」

 

「粗末な話だ。死体も確認しないで」

 

剣太郎の意見はもっともだったが、陽次朗はムキになった。

 

「当時のヨーロッパはそこらかしこに怪獣が存在していた。オレたちはとにかう、目に見える怪獣から市民を守る必要があった。それに、まともに調査もできぬほど、ヨーロッパは疲弊してしまっていたんだ・・・」

 

陽次朗は悔し気に歯を軋ませた。

 

「と、とにかく、ギールはその後経緯は不明ですが、日本に来ていた。そして日本で眠っていた、ということですよね」

 

護は空気を換えようと、話をまとめに入った。

 

「そうすると、コイツ、ギールだっけ、どーするんだ?殺すのか?」

 

剣太郎の問いに、陽次朗と榛香は目を丸くした。

 

「当然だろ。怪獣がいるんだぞ」

 

「でもな、この画像見ると、ギール寝てるんだろ。起こすことないだろが。寝てる限り無害なんじゃないのか?」

 

「何をバカな、貴様それでもUMAの隊員か?」

 

「UMAは生粋の軍事組織じゃねえんだろ。いろんな角度から判断すんのが筋じゃないのか?」

 

だんだんと声が大きくなる剣太郎と陽次朗に、「二人とも、その辺にしておけ」と冴島が声をかけた。

 

「隊長さん、あんたどう考えてるんだ?」

 

その口の利き方なんだ!と怒鳴りそうな陽次朗を制し、冴島は剣太郎に向き直った。

 

「早速この結果を、山忠建設に報告する。だが選択肢はひとつ、駆除だ。ギールがこの地中に存在する限り、地熱発電所の建設はままならぬ」

 

「・・・怪獣といえど生き物だ。命を大事にしたいところだが・・・天秤にはかけらんねえ、てワケか」

 

「そうだ。剣太郎、やってくれるな?」

 

「・・・もちろん」

 

「よろしい」

 

剣太郎の無礼に怒りで鼻息の荒い陽次朗を気にせず、冴島は全員に向き直った。

 

「UMA日本支部は、いまから出動待機状態に入る。今回は国防軍と協議の上、駆除計画を立案し実行する。用意にかかってくれ」

 

「「「「わかりました!」」」」

 

 

 

 

 

 

一旦自室に戻った剣太郎に、深い意識の底から問いかける声が聞こえた。

 

―剣太郎、やはりUMAへの参加はよしたほうが良い。問題が多い―

 

「いや、問題ない」

 

剣太郎はフッと笑った。

 

「民間人の立場だと、怪獣の追跡も観測も難しい。UMAならいざってとき、怪獣が身近だからな。あんただって、前はなんだかんだ言いつつもシンドー博士と同じことしてたじゃないか」

 

―君がそう言うのなら。だが、剣太郎。冴島という男、気をつけた方が良い―

 

「・・・かもな。いくら実績があれど、オレの入隊をあっさり認めたのは、少し腑に落ちない。もし‛南極の件’を知ってる、それか知りたがってるとすると・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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