Ultraman G ーto come again ー   作:マイケル社長

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第2話 漂流 ーExileー Ⅴ

土砂と土埃を払いながら、ギールは雄叫びを上げた。

 

長い間地中で過ごしていたせいか、地表に無理矢理現出して戸惑っているようにも見える。

 

そんなギールに、陽次朗たちはハマー二機編隊で上空から接近する。

 

「レーザーパルスでくたばってくれたら良いんだがな・・・」

 

眼下のギールを仰ぎながら、陽次朗はつぶやいた。

 

「それは望めませんよ。地中で炸裂した爆弾は陽動とはいえ、あれほどの巨体を持ち上げるだけの威力を持ってます。にもかかわらずギールにダメージは見当たりません。爆風と収束高出力光波を一概に比較できませんが、とても有効とは思え・・・」

 

隣に座る護は、陽次朗の強い眼差しに口をつぐんだ。しまった、余計なことを言わなければ・・・。

 

おそらく陽次朗なりに、雰囲気を軽くしようとしたのだろうが、口から出る言葉すべてがマジレスである、あるいはそう受け取られる。

 

並びのコクピットの空気を察した榛香は軽く咳払いすると、「旋回後、各自攻撃で良いね?」と訊いた。

 

「ああ」

 

陽次朗は短く答える。ギールはちょうど、二機の真下だ。

 

やや進んでから、ハマーは大きく旋回した。角度を下げ、砲門をギールに向ける。フロントに表示された画面には、照準がピタリと当てはまっている。

 

「発射」

 

陽次朗の合図で、計4問のレーザーパルスが発射された。いずれもギールの背中に命中、勢い良く白煙が昇る。

 

もう一度旋回すると、ハマーは同じ角度でさらに攻撃を加えた。以前都市部に出現したアーストロンなどは二足歩行だったが、今回のギールは四足歩行。相手と同じ高度で飛行することはできない。山岳地帯の中という事情もあり、どうしても航空攻撃は上空からの滑空しか手段が講じられない。

 

立て続けに背中を焼かれたギールは、大きく吠えながら上空を仰ぐ。3度目の攻撃直前、大きく身を捩って攻撃をかわした。地面に刺さったレーザーパルスは土砂と岩石を炸裂させるにとどまった。

 

「くそっ、おい三堂、地上からの陽動だ」

 

インカムで指示を出すと、崖を降りたチョッパーは悪路もおかまいなしにギールへと向かう。

 

比較的なだらかな箇所まで来ると、チョッパーを走らせたまま剣太郎は両手でレーザーライフルをかまえた。

 

「おい、お前何やって・・・・!?」

 

機内のカメラで様子を見ていた陽次朗だったが、手放しで走りながらも剣太郎はギールの顔面にレーザーを撃ち当てた。

 

「信じられん、まさか・・・」

 

誰もが驚く中、『馬術撃ちだ。モンゴルで習った。那須高原で流鏑馬もな』という返事をよこす剣太郎。

 

強固な背中への攻撃と違い、突然鼻っ面にレーザーを当てられたギールはいきり立った。振り向いた顔面に、2発目が照射された。花火が弾けるように火花が散り、のたうちながらもギールは剣太郎のチョッパーに向かってきた。

 

『剣ちゃん気をつけて!そのまま500メートル前進させて!』

 

スキョンのナビゲートに従い、剣太郎はチョッパーを吹かした。怒りに任せたギールの接近で地面が波打つものの、剣太郎は巧みにチョッパーを捌き、悪路を走破していく。

 

『間もなく地雷源、剣ちゃん退避して!』

 

「OK」

 

剣太郎はチョッパーを一度止め、前方へ向けて信号弾を撃った。ネズミ花火のように地面で転げ回る信号弾へギールは注意を向けた。その隙に剣太郎は山の尾根を駆け上がる。

 

標高を稼いだあたりで、2発目の信号弾を撃つ。ギールは猫じゃらしに飛びつく猫のように前足を繰り出す。

 

『地雷源まであと70メートル』

 

スキョンがモニターを見ながら言った。

 

「くそ、信号弾がもうねえ」

 

『よし、任せろ』

 

即座に陽次朗は機体を繰り、急降下してやや狭量な尾根の谷間に機体を滑らせた。突然のアクロバット飛行に、同乗する護は顔を引きつらせた。機体と一緒に、胃や腸もガクンと高度を下げる感覚はいくらこなしても慣れない。

 

ハマーに気を取られたギールは、足を一歩二歩と進める。

 

刹那、指向性地雷が爆発し、ギールの腹部に続々と猛烈な爆風が直撃した。

 

白煙と土煙が膨れ上がりながらも、第二、第三の地雷源に足を踏み入れたギールには休む間もなく強烈な衝撃波が当てられた。

 

あまりの威力に、剣太郎はさらに尾根を上がった。先ほどまで居た中腹が砂埃の嵐に隠れてしまった。

 

「火薬量間違えてねーか?」

 

谷間が見えなくなる程の爆煙が落ち着いてくると、粗い息づかいをしながら尾根にもたれかかるギールが見える。

 

上がる息が落ち着いたのか、ギールは鋭い前脚の爪で尾根を掻き出し始めた。地中に再び潜り込もうとしているのか。

 

「垂直攻撃に移る。三堂、離れて」

 

逃げようとするギールを、榛香は見逃さなかった。一度垂直に高度を稼ぐと、宙返りをして上ってきた空を降り始める。

 

降下速度に制動をかけながら、榛香はレーザーパルスを撃ちまくった。機種の先に見えるギールにレーザーが降り注ぎ、ギールは尾根から滑り転げた。尾根伝いに退避していた剣太郎は、地響きの強さにハンドルをきつく握る。

 

滑りながら、尾根同士の谷間に仕付けられた指向性爆弾が横向きに爆発した。連鎖的に、反対側の尾根からも爆発の波がギールをおそう。

 

「見てみろ。従来対怪獣戦には焼夷弾や火炎爆弾が用いられてきたが、焼殺よりも爆殺が有効とされた欧州戦役の結果を踏まえた爆弾だ。目に見える炎こそ上がらないが、一瞬に炸裂する炎の強さは最新建材のビルすら軽々と粉砕する」

 

得意げに語る陽次朗だったが、隣席の護は青い顔をしてうつろな目をショボショボさせている。尋常ではないアクロバット飛行で気分を崩し、エチケット袋を両手で抱えている。

 

およそ1分近く、次々と爆発した後、先程を上回る爆煙が膨大な塵と共に地面に舞い降り始めた。ギールの姿は望めない上、今度は啼き声も聞こえてこない。

 

「・・・やったの?」

 

榛香が誰にともなく訊いた。

 

「三堂、確認できるか?」

 

陽次朗が訊いた。

 

「いや、モクモクで見えない」

 

「スキョン、モニタリング可能か?」

 

しばらくキーボードを叩いたが、『ダメです、もう少し煙が晴れないと』という返事だった。

 

すう、っと、谷間に冷たい風が吹いた。剣太郎が空を仰ぎ見ると、富山県側から急激にガスがかかり始めている。

 

その風で、尾根の谷間に滞留する土煙がやや晴れた。

 

「粉々になったんじゃないか」

 

陽次朗の期待は空振った。大地に仰向けになって転がるギールが確認できた。

 

だがクリーム色の全身に、一点だけ激しく違和感のある箇所があった。それまで見えなかったギールの腹部だ。ちょうど腹部中央に、真紅のまるいコアが確認できた。穏やかな体色にそぐわぬ、いまにも燃え上がりそうな赤く熱いコアだった。

 

 

 

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