Ultraman G ーto come again ー 作:マイケル社長
大ガニ怪獣ガンザ 大ダコ怪獣タガール 登場
〜東京都目黒区中目黒5丁目 美容室『La Ruelle』〜
「いらっしゃいませー」
元気よく挨拶した優希だったが、顔を見て笑顔を曇らせた。
「まあー、いらっしゃいませ安蘭様!」
レジ操作をしていた店長の中尾が猫撫で声を上げた。
「店長、優希ちゃんをよろしく」
指名された以上、イヤでも出なくてはならない。優希は聞こえぬように舌打ちすると、精一杯の営業スマイルを浮かべた。
「安蘭様、ようこそお越しくださいました!」
「いつものように、お願いね」
頭を下げたところに、上から声をかけてくる。優希は頭を上げるまで顔をしかめた。
「それではシャンプーから参ります。どうぞ」
カット台から仕切りを挟んだところにあるシャンプー台へと案内した。仕切りが個室状態になっており、声の大きさにもよるが外に漏れづらい構造だ。密談するには良い環境だった。
「こないだ、優希ちゃんの案件、大成功だったそうじゃない?」
シャンプーを始めるタイミングで、安蘭が訊いてきた。言葉の中身とは裏腹な、安蘭らしい上から目線の言い振りだった。
「ええ、まあ」
普段なら感情的に言い返すところだが、今回安蘭は客だ。優希は苦笑いで答えた。
「すごいよねー、地熱発電所建設止まっちゃって、関西で電力不足が大いに危惧される、とか、仮設住宅への電力供給担保なくなって政府が打ち出した難民受け入れも雲行き不透明、国際社会からの非難免れぬ、とかさ。派手にやったよねえ」
「まあ、ギールはヤラレちゃいましたけどね」
「やっだあ、あんなの捨て駒でしょ。目的は果たしたんだから良しとしなきゃ。ま、でもあたしの案件はその点、存在すら認知されてないから、まだ伸びしろあるけどね」
一瞬、シャンプーの手を止めてしまった。安蘭に動揺を悟られてしまった。
「優希ちゃんの仕掛けた地熱発電所のニュースより、今朝は日本海の記録的不漁がメイン扱いになってるもの。美樹ちゃん機嫌良かったわあ」
ドヤ顔で微笑む安蘭を無視し、「シャンプー流しますね」と声を掛ける。肘を温度調節に『うっかり』当ててしまった。
「きゃああ!」
店内に安蘭の叫びが響き渡る。店長の中尾がすっ飛んできた。
「安蘭様!ちょっと優希ちゃんどうしたの!?」
「もうしわけありません!温度調節間違えてしまいました!」
90度のお辞儀をする優希はしかし、したり顔で舌を出していた。
「しっかりしなさい!大切なお客様が火傷なさったらどうするの!?」
「ああ、店長さん。大丈夫だから。誰にでも間違えはあるから」
深々と頭を下げる中尾と優希。無理やりに微笑んだ安蘭だったが、中尾が去った際目があった優希に、刺すような視線を向けた。