Ultraman G ーto come again ー   作:マイケル社長

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第3話 目を覚ませ、男なら! Ⅱ

〜福井県美原市 越前丹後漁港〜

 

 

岸壁から太い針金のようなセンサーを海面に投入し、剣太郎はセンサーのスイッチを入れた。

 

海水成分が即座に検知・分析されたものが、石川県にあるUMA日本支部司令室に転送され、データとして表示される。

 

「スポットD、漁港岸壁だ。スキョン、異常はないか?」

 

剣太郎はインカムに向かって訊いた。

 

『んー、ここも特に異常はないなあ。海水成分は一般的だし、海中のゴミやプランクトンが多いこともない、全部正常値』

 

剣太郎はセンサーを引き上げ、ため息をついた。

 

「おい、AからDまで全部検査したけど、異常ないってことだぞ。どうする?」

 

『んー、念のため、市内流れる2つの河川あるでしょ?そこも検査した方が良いかも。山から有害物質が流出してるとも限らないし』

 

「おし、わかった。検査するときまた連絡するぞ」

 

『OK☆あ、ねえねえ剣ちゃん、さっきね、あたしがやってるYouTubeチャンネルに、響乃安蘭ちゃんから書き込みあったの!』

 

「響乃安蘭て、あのファッションモデルのか?」

 

『そう!でね、あたしのメイク参考にして今度のファッションショー出てくれるんだって!もうメッチャ嬉しくて!☆』

 

「すごいなスキョン!またメイクの仕事増えるかもしれないな!」

 

ちょうどそこへ『ちょっとごめん』と榛香が割り込んできた。

 

『三堂、用件済んだらすぐ調査にかかって。この通信は私語禁止なんだから』

 

やや怒りを含めた口調だった。

 

「お前学級委員長かよ。わかったわかった」

 

そう言って剣太郎はインカムを切った。榛香は唇を噛むと、スキョンに向き直った。

 

「スキョン、あんたも必要なことだけしゃべりなさい。無駄話は休憩中だけにして」

 

「はぁ〜い」

 

ピシャリと言われたスキョンは気だるそうに返事をすると、つまらなそうに頬を膨らませた。

 

「隊長、やはり今回の不漁は、怪獣とは関係ないのでは?」

 

榛香は隊長デスクに座る冴島に訊いた。

 

「これだけの範囲を検査しても、怪獣由来と思われる体組織などの成分も検出されませんでしたし、国防海軍の探索調査でも、怪獣は発見されませんでした。これだけのデータがそろった以上、特に異常なし、日本海の漁獲不漁は別な要因を検討。そうした結果を出すべきではないでしょうか?」

 

「陽次朗さんからです」と、護がかぶせてきた。

 

「ハマー搭載の検知器による海中調査にも、異常は見られないとのことです」

 

冴島は頷くと、顎に手を当てた。

 

「日本に怪獣が出現して以降、幾多の事象に関して怪獣が原因とする論調があまりにも多過ぎます。今回も水産庁は怪獣由来の不漁と決めつけたように調査依頼をしてきました。我々で正確なデータを提示した上で、冷静な回答をすべきだと考えます」

 

畳み掛けるように、かつ冷静な榛香の言葉にも、冴島は返事をせず考え込んだままだった。

 

「隊長、調査はほどほどにして、怪獣出現時を想定した準備をすべきだ、と陽次朗さんに言われちゃいました。なんか、だいぶカリカリしてます」

 

護がやってきた。冴島は護を見遣ると、「護、UMAはこうした調査も大事な仕事なのだ。今度からはそう返事をしろ」と言った。護は唾を飲み込んだ。冴島は榛香に向き直った。

 

「榛香、ひとまず剣太郎が行う河川調査の結果を待とう。そこで問題がなかった場合、君のいう通り調査報告をする。報告書の作成を頼むぞ」

 

「承知しました」

 

榛香は頭を下げると、これまでの調査結果を引き出し、まとめにかかった。冴島はデスクのモニターから、海上保安庁の電話番号を引き出した。二、三、問い合わせたいことがあるのだ。

 

 

 

 

 

再び、福井県美原市。

 

岸壁から市内を流れる鹿野川へと向かうべく、剣太郎はチョッパーにまたがると海沿いの産業道路を西へ向かい出した。

 

不漁のせいだろうか、海沿いに造られた大きな漁協には活気がなく、普段はひっきりなしに通るであろうトラックの姿もまばらだ。漁船が岸にズラリと停泊しているということは、漁へ出ることもしないのだろう。

 

信号機のある交差点を右折し、やはり交通量の少ない県道に出たとき、傍らにあった食堂から人が飛び出してきた。

 

咄嗟にブレーキをかけたことで衝突は避けられたが、飛び出してきた相手もビックリしたように身体を硬直させた。

 

だがバイクが止まったのがわかると、そのまま走り去ってしまった。

 

「おい、お前!」

 

剣太郎はヘルメットを脱ぎ、走り去る相手を咎めた。高校生だろうか、学校の制服に身を包んだ少年だった。

 

「コラァ!タツヤ!」

 

すると食堂から、作業着を身につけた中年の男性が後を追うように飛び出してきた。先に走り去った少年を追いかけ、路地を走っていった。

 

「タツゾウさん!もうホントに・・・・」

 

今度は食堂から、エプロン姿のふくよかな女性が出てきた。食堂の名前だろうか、『清山』と書かれた刺繍が施されている。

 

「あんた、ごめんなさいねえ。危なかったわねえ、いま」

 

言いながらその女性は剣太郎に歩み寄ってきた。剣太郎のジャケットに付けられたバッジに注目すると、「あらあんた、UMAの人?」と目を拡げてきた。

 

「ああ。しかしなんだよいまの?もうちょっとで轢いちまうところだったぜ」

 

「ごめんねえ。まったく、困った親子だよ」

 

「親子?」

 

「そうなのよ。もうね、さっきここでケンカして、息子が飛び出していっちゃったのよ」

 

その女性は困惑しきった顔で言うと、ほおに手を当てて俯いた。

 

少し話を聴くべきか、剣太郎はチョッパーを降りた。食堂のガラス戸には、美味そうな定食の見本が飾られている。

 

危ういところからホッとしたせいか、そういえば、腹が減った。

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