Ultraman G ーto come again ー   作:マイケル社長

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第1話 三大怪獣出現!東京大乱闘! Ⅵ

「デュア!」

 

ウルトラマングレートは掛け声を上げると、突然の闖入者に向かってきたアーストロンをチョップで薙ぎ倒し、ザザーンと取っ組み合いになった。

 

ヘドロの藻で覆われた巨体に、グレートは立て続けにチョップとパンチを繰り出す。

 

ザザーンの腕がグレートの頭を包み、強烈な腐臭で窒息させようとしてきた。

 

右手を突き出し、正拳突きをザザーンの胴に叩き込んだ。巨体が吹き飛ばされ、炎上するコンビナートに倒れるザザーン。

 

背後から角を振り下ろしてきたアーストロンに足払いをかけ、尻尾を持ち上げて振り回した。埋立地を外れ、東京湾に落ちるアーストロン。

 

突進してきたタッコングを両手で押さえ、勢いを削ぐ。

 

だがタッコングの重量を含めた突進には馬力があり、グレートでも押されてしまう。踏ん張る足が引き摺られ、防波堤に食い込んだ。

 

止む無く、密着状態で両手にエネルギーを送り込む。青白く光がほとばしり、タッコングは大きく仰け反った。両拳から放たれるエネルギー光線・ナックルシューターのゼロ距離射撃であった。

 

反撃に転じたタッコングの火炎を避け、グレートは側面から蹴り上げた。体型的に有効打とはなり得ず、再度タッコングの突進攻撃を喰らってしまった。

 

態勢を整う遑もなく、グレートの背中にアーストロンが自慢の角を突き立ててきた。

 

前のめりに足をもつれさせ、グレートは振り返った。

 

アーストロンは口から熱線を吐き出し、グレートの腹部を狙いすました。

 

すかさず三角形のバリア、トライアングルシールドを展開させ、熱線を分散させて防いだ。

 

自慢の攻撃が防がれたことに憤慨したのか、アーストロンは吼えながら向かってきた。突き立てた角を持ち、勢いを削ぐ。グレートは両手に力を込め、角を折らんとした。頭頂部に異変を感じたアーストロンがもがき、倉庫街の瓦礫を踏み崩していく。

 

そのとき、グレートは背後に仰け反った。タッコングがグレートの左足に噛み付いたのだ。

 

タッコングの歯は鋼鉄製の石油パイプラインを噛み砕くほど強く、そして鋭い。硬質なグレートの皮膚にも難なく食い込んだ。

 

形勢を見極めたアーストロンのパンチがグレートの左頬に炸裂した。苦しむグレートに、続けて角を振り下げる。

 

火花が散り、グレートは勢い良く倉庫街に雪崩れた。

 

 

 

 

 

『スキョン、ウルトラマンを援護するんだ』

 

しばし静観していた冴島たちだったが、インカム越しに冴島が指示してきた。

 

「えっ?でも・・・」

 

当惑するスキョンに『少なくともウルトラマンは怪獣たちに立ち向かっている。我々の敵ではないはずだ』と語りかけた。

 

「くっ・・・」

 

スキョンは唇を噛んだが、隊長である冴島の指示であれば仕方がない。ハマーを旋回させ、倒れたグレートを踏みつけるアーストロンにレーザーパルスで攻撃を仕掛けた。

 

「怪獣がいなけりゃ、あんたなんか・・・!」

 

瓦礫の中で起き上がろうとするグレートに敵意を剥き出しにしつつ、スキョンはタッコングへ攻撃照準を切り替えた。

 

フラつきながらも立ち上がったグレートに、濃緑のガスが降りかかった。ザザーンの毒霧攻撃だった。

 

「グヘァッ!」

 

苦しげに右手を突き出し、左手で首を覆う。ザザーンは毒霧を吐き続け、後ずさるグレートを追う。グレートの胸にあるカラータイマーが点滅を始めた。

 

大気汚染の激しい地球では、ウルトラマングレートはその巨体を3分間しか保つことができない。

 

苦しむグレートに、タッコングとアーストロンはそれぞれ火炎、熱線を浴びせた。たまらず、東京湾に転がり落ちるグレート。

 

海面をうかがうアーストロンとタッコングに、ザザーンの狙いを外した毒霧が降りかかる。怒った2匹が向き直り、ザザーンに襲いかかる。スキョンは3匹が固まったのを見逃さず、ホバー状態で旋回しながらレーザーパルスを放っていく。

 

1号埋立地の対岸、新木場に上がり込んだグレートは、大きく呼吸をしてダメージを軽減させた。

 

3匹が三つ巴の争いを始め、完全に注意が削がれたのが確認できた。

 

「デアァッ!」

 

勢いをつけてジャンプし、両膝を折る。膝を立て、その勢いのまま3匹に飛び込んだ。

 

アーストロンとザザーンに飛び膝蹴りが叩き込まれ、跳ね飛ばされるように炎上する倉庫街に突っ込んだ。

 

いきなり戻ってきたグレートに驚くタッコングの顔面に、強烈な踵落としをお見舞いする。

 

タッコングの顔が地面に食い込んだ。怒りの咆哮を上げ、タッコングは火炎を放つ。

 

だがグレートは火炎を両手で受け止め、炎を凝縮し始めた。じわじわと炎の塊が出来上がっていき、弾き返すようにグレートは炎を放った。相手の攻撃を数倍に増幅させて撃ち返す、マグナムシュートだ。

 

危険を察知して転がり避けたタッコングだったが、猛烈な火炎は立ち上がったザザーンに命中した。

 

一気にザザーンの全身が燃え上がり、やがて炭化しながら崩れ落ちていった。

 

あまりの出来事に怯え、海へ逃げようとするタッコングに、グレートは両手を向けた。左手をいっぱいに伸ばし、右手を弓を引くように下げる。刹那、突き出した右手から光弾が放たれた。貫通力に優れるアロービームだ。

 

光の白刃はタッコングの巨体を貫いた。ポッカリ空いた傷口から爆発が広がり、タッコングは粉々に砕け散った。

 

残ったアーストロンは、逃げることもなく憤然とグレートに向かってきた。角を回避し、振り向きざまにまわし蹴りでアーストロンを蹴り飛ばす。

 

その隙に、グレートは両手を突き出して握りしめた。両手の拳に放電がつんざき、縦に開く。上下の手から光弾が走り、途中で合流するとアーストロンに命中した。

 

アーストロンの動きが止まり、全身に電気が走る。

 

さらにもう一度、グレートは同じ光弾を放った。異なる高出力の電磁波を光弾にし、激しい電離作用でどんな対象も破壊してしまう技、バーニングプラズマだ。

 

花火のような火の粉を撒き散らしながら、アーストロンは爆発した。破片の一片も残らなかった。

 

 

 

 

 

日本に初めて現れた3匹の怪獣を倒したグレートに、ある者は歓声をあげ、またある者は罵声をあげた。

 

「バカヤロー!なんでもっと早く来てくれなかったんだあ!?」

 

特に、日本以外で様子を見ていた人間たちは、圧倒的に後者の反応であった。

 

UMAでは、スキョンがホバー状態を維持しつつ、照準をグレートに合わせた。

 

無論、グレートには攻撃命令は出されていないが、スキョンはいつでも撃てるよう、憎しみを込めた眼差しでグレートを見やった。

 

「シュワッ!」

 

3匹の怪獣を倒したグレートは、暑い灰色の空に向かって飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

〜翌日 東京都港区・山忠商事株式会社本社〜

 

 

【今回は本当にごめん】

 

スマホ画面に表示されたLINEに、美樹は手を止めて返信をする。

 

【別にいいよ。今回はお手並み拝見が目的だったから。東京襲撃はおまけでできちゃえばいいや程度だもん。ま、ウルトラマンが現れたのはまったくの想定外だったけどね】

 

すぐさま既読がつき、返信文が表示される。

 

【でも、3匹も用意したのに、悔しいよ、オレ】

 

【いいって。焦らずいこうよ。またチャンスはあるし。優希ちゃんが次、準備してるようだから、そっちに注目だね】

 

【ありがと。美樹は優しいね】

 

【仏の顔は3度まで、あたしの顔は2度までだからね、瑛太?】

 

驚愕に満ちたスタンプが返ってきて、美樹は微笑んだ。だが冗談ではなかった。

 

「西村くん」

 

上司である藤倉が、尖った口調で自分を呼んだ。昨日出張から帰ってから、いつにも増して機嫌が悪いのだ。

 

「仕事中にスマホなんかいじるんじゃない!」

 

「すみません」

 

美樹は下げた頭で、聞こえぬように舌打ちした。

 

 

 

 

 

 

〜石川県珠洲市・UMA日本支部〜

 

 

「全員に話がある」

 

冴島の号令で、陽次朗に護、スキョンの3人は司令室に集められた。陽次朗は面白くなさそうにミルクセーキを飲み、護は昨日現れたウルトラマンのニュース記事に夢中になっている。スキョンはまつ毛カーラーで、自慢のまつ毛の手入れをしていた。

 

司令室の扉が開いた。

 

「榛香」「「榛香さん」」

 

電動車椅子に乗った榛香が現れたのだ。

 

「おい、もう大丈夫なのか?」

 

「うん。最初の処置が適切だったらしくて、内臓の出血も治った。動かすと痛いけどね」

 

「そういえば、たまたまお医者さんがいたんですよね?」

 

スキョンが訊いた。

 

「そう。でも、どうやってあたしをハマーから降ろしたのか、わかんないんだ」

 

3人とも首を傾げた。ハマーのハッチを開けられるのは、UMAの訓練を受けた者だけのはずだった。

 

「あの医者、オーストラリアから来たって話してたんだけど、あんな隊員いたっけ?」

 

「オレのことか?」

 

扉が開くと同時に、噂の当人が冴島と共に現れた。

 

「あ!昨日の!」

 

護がメガネを正し、指差した。

 

「おう姉ちゃん、具合はどうだ?」

 

姉ちゃん、と呼ばれた榛香は、戸惑いつつも頷いた。

 

「みんなに紹介しよう。本日、日本支部に着任した、三堂剣太郎だ」

 

冴島の紹介に、全員が目を丸くした。

 

「三堂剣太郎、よろしくな」

 

「隊長、それって・・・」

 

「聞いてませんよ?」

 

陽次朗と榛香が、抗議するように言う。

 

「本当はもっと早く話すべきだったが、一昨日からの怪獣出現で後手になってしまったな。すまない、すまない」

 

「それにしたって・・・」

 

口を尖らせる榛香に、剣太郎は顔を近づけた。

 

「どれ、早速今日の診察だ。問診始めるぞ」

 

「え・・・えっ?」

 

戸惑う榛香を無視して、冴島は言った。

 

「みんな、三堂には隊内の医系主任として働いてもらう。無論、全体の仕事も満遍なくしてもらうがな」

 

決定事項だ、と言わんばかりに声を張る冴島に、ドヤ顔をする剣太郎に、4人は目を合わせた。

 

ー剣太郎、本当に大丈夫なのか?ー

 

精神の奥底から、グレートが話しかけてきた。

 

「大丈夫。なるようにするさ」

 

急に独り言を話す剣太郎に、さらに戸惑いの度合いが増した。

 

 

 

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