Ultraman G ーto come again ー   作:マイケル社長

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第2話 漂流 ーExileー

 

マグマ怪地底獣ギール 登場

 

 

 

 

〜長野県北部 九郎ヶ岳 西日本電力第四地熱発電所建設地〜

 

 

「監督、ダメだあ!」

 

ベテランの作業員、橋場がブルドーザーを降りて、現場事務所に駆け込んできた。

 

「なんだ、また熱水か?」

 

中華弁当の箸を止め、現場監督の井本は立ち上がった。

 

「ああ。もう噴水みてーにドババーッ!て出て、もう熱くていらんねぇら!」

 

「よし、ちっと待ってろ、今行くから」

 

作業着の上着を羽織り、黄色の安全帽をかぶる。

 

事務所を出ると、ボーリング機器の傍から湯気がもくもくと上がっていた。

 

「ありゃあ、今度のは多いな」

 

「おう、それもな、いつもと違って止まる見込みがねぇずら」

 

3年前の所謂「蜂起の日」以来、アジアとオセアニア以外の世界各国が大混乱に陥り、世界情勢が一変して化石燃料の輸入が限られる現在、日本の発電量の5割強は地熱発電で賄われている。特に難民が増えつつある西日本ではさらなる電力需要の伸びが見込めるため、日本の屋根と云われる中部山岳地帯を中心に新規の発電所建設が急ピッチで進められていた。

 

だが地下熱の大動脈とも言える中部山岳地帯の破砕工事は、極めて難航していた。ほんのわずか岩盤を破砕しただけで、一歩違えば膨大な地下水が蒸気を伴って溢れ出てくる。また火山活動が旺盛で筋を違えれば一帯の大噴火に繋がりかねないマグマだまりも点在しており、慎重にも慎重を期して工事を進捗したい現場と、一刻も早く電力確保を狙う電力会社と背後の日本政府との間で軋轢が生じることはしょっちゅうだった。

 

3日前、地均しが完了した九郎ヶ岳において、早速発電機を設置するためのボーリング工事が開始されて以降、1日に1回は熱水噴出が発生し、工事を一時中断する事態が相次いでいた。

 

事前の地質調査では、熱水脈がすくなく、地表への現出は考えられないという結果を得ていたが、実際にはあり得ないはずの熱水が噴出することで、いよいよ政府からの圧力も高まりつつあったのだ。

 

「まったく、天然の蒸気圧に上からの圧力。挟まれるオレも、いい加減お煎餅になっちまうよな」

 

止まらない熱水に辟易しながら、井本はぼやいた。

 

「しょうがねえ。おい、あそこの三段壁あたりに杭打ってな、圧力分散させよう。注意しろよ!」

 

井本の号令で、ボーリングショベルが動いた。水脈が走っていると思われる地下50メートル付近まで穴を掘り、敢えてそこからも熱水を噴き出させることで圧力を抜きやすくするのだ。

 

思った通り、じわじわと湯気混じりの水が滲み出てきた。

 

「おう、この調子だ。もう少しして杭抜け」

 

井本が大声で指示を出したそのとき、地面が小刻みに揺れ出した。

 

次第に揺れは大きくなっていき、三段壁から石が落下し始めた。

 

「おい監督!まさか火山帯破っちまったかあ!?」

 

地響きに負けない声を張り、橋場が飛んできた。

 

「まさか、そんなハズあるかい!」

 

「と、とにかく待避だ、待避ー!」

 

三段壁の落石は激しさを増し、作業員たちは現場事務所に逃げ込んだ。

 

全員の安否を点呼で確認した後、中央の休憩所に身を固める。

 

「妙だなあ、揺れが収まんねえずら?」

 

「でもよお、熱水止まったぞ?」

 

「おい、まさか噴火するんじゃねえだろな」

 

口々に不安を吐露する作業員たち。万が一噴火となれば、このプレハブ造りの事務所ではひとたまりもない。

 

「全員、ヘルメット着用!」

 

気休めに過ぎないが、井本の号令で若い衆が全員分のヘルメットを抱えてきた。

 

ーウオォォォォンー

 

「おい、何か聞こえねか?」

 

皆が固唾を呑んで、耳を澄ませる。

 

ーウオオオオォォンー

 

「何か、猛獣が吠えるみてぇな・・・」

 

「まさか、怪獣じゃねえずら!?」

 

誰もが心の中で思いつつも、空気を読んで発しなかった単語を、橋場は口にした。

 

揺れは収まらず、一定の強さで続いていた。

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