二次創作は高校の時以来だなぁ
未来の地球。悟空は心臓病で死に、他の戦士たちも人造人間に殺されてしまった絶望の世界。
この世界において、ベジータの息子トランクスは過去にわたり、そこで孫悟空たちと出会った。トランクスは人造人間、セルとの戦いの中で強くなっていく。そしてとうとうこの世界の人造人間を破壊し、殺された多くの地球人や戦士たち、師である孫悟飯の仇をとることができた。
それから数か月、世界各地の都市もようやく復興を遂げ、人造人間の脅威におびえることのない、以前までの生活を取り戻しつつあった。
人造人間によって破壊された場所の一角、カプセルコーポレーション跡地でブルマとトランクスは生活していた。
「かあさーん、この機材ってここにおいとけば大丈夫?」
「えぇ、大丈夫よトランクス。わざわざもってこさせちゃって悪いわね」
「大丈夫だよこのくらい。でもさ、こんなもの何に使うの? わざわざタイムマシンまで引っ張り出してさ」
「新しいタイムマシンのエネルギー補充につかえないかしらと思ってね。ほら、このマシン大型化したじゃない? エネルギーの充填が以前よりも時間かかるようになっちゃったからなんとかできないかなって」
かつて、トランクスが乗りこみ過去へと向かったタイムマシンは大型化されていた。世界を平和にした後で、改めて過去の悟空たちに会いに行った際にブルマも共に向かおうと考えたためであった。
しかしそんな平和な時も、そう長くは続かなかった。
タイムマシンの改良をしながら流していたラジオからとあるニュースが放送された。
『番組の途中ですが、ここで臨時ニュースをお知らせします。パセリシティにおいて、Mという文字を刻んだ奇妙な瓶をもつ二人組が次々と人々を襲っているとの情報が入ってきました。この瓶を差されると急に力が抜けてしまってうごけなくなったということです。近くに住む方々は十分注意するようにしてください』
「刺されると力が抜けて動けなくなる……だって……?」
「どうしたのトランクス?」
「かあさん。オレ、ちょっとパセリシティまでいってきます。どうにも嫌な予感がするんです」
「ちょっ、待ちなさいよトランクスー!」
トランクスはこのニュースを聞くとすぐにパセリシティへと向かった。過去の世界で見たとある人造人間のことが彼の脳裏に思い浮かんでいた。
人造人間セル、ドクターゲロの作った最高傑作の人造人間にして、人々のエネルギーを吸収し自らの力とすることでパワーアップを遂げた化け物。二人の人造人間を吸収し完全体となったセルにはトランクスでは到底太刀打ちできず、過去の世界では怒りで真の力を解放した孫悟飯でなければ倒すことはできなかった。
そして、この世界におけるセルは完全体となる前にトランクスがすでにセルを破壊していた。そのはずであった。
「エネルギーを奪い取る。これは過去の世界でセルが力をつけるためにやっていたことだ……。しかし、セルにエネルギーを吸い取られたものは死体すら残らなかった。しかし、今起こっていることは力を抜かれるだけ。だが、いやな予感がする。何かとんでもないものが現れたのか……? とにかく行って確かめるしかない」
スーパーサイヤ人へと変身したトランクスは、出せる限りのスピードを出してパセリシティへと向かっていった。しかし、パセリシティに到着する直前でトランクスの前に奇妙な二人組が現れた。
一人は赤くいかつい顔をしたおっさんのような風貌であり、もうひとりは薄紫のうさんくさい顔をした青年のような風貌であった。
まさか、こいつらがパセリシティを襲った二人組……?
トランクスはいざというときにはすぐに戦闘態勢に移れるように警戒しながら二人組に問いかけた。
「お前たちは何者だ!」
「……それが、スーパーサイヤ人とやらの力か」
「……!」
「なるほど。……素晴らしいパワーだ。その力でぜひわたしたちの助けとなってもらいたい」
「何を言っている! 今、近くの町が襲われているんだ! 話は後にしてくれ!」
そう言い放ち、この場から飛び去ろうとするトランクスであったが
「なっ!?」
「行ってはなりません! トランクスくん!」
うす紫色の顔をした青年の発する超能力により動きを封じられてしまった。
「か……体が動かない! 俺に何をした! お前らが町を襲った二人組なのか!?」
動きを封じられたトランクスは激昂し、叫ぶように問いかけた。
「私たちは、あの町を襲ったものではありません。我々はあなたの味方です。あなたはあの町を襲っている奴と戦ってはいけない! 今は戦ってはいけないのです! 行きますよキビト!」
「どこに行くんだ! 離せ!」
そういうと薄紫の男はキビトと呼ばれた赤い男にトランクスを抱かせ、飛び立った。飛び立とうとした。
しかし……
「その金髪の男、いいエネルギーをしてるね。ボクたちに近づけないように動きを封じて遠ざけようだなんて、界王神の奴、つまんないマネしてくれるねぇ。ねえダーブラ」
「この男からエネルギーを奪えば魔人ブウの復活に大いに役立ちそうですな、バビディ様」
いやらしい顔つきをしたチビの爺と、額にMの文字を刻まれた、角を持つ大男がパセリシティのほうからやってきた。
「し、しまった。見つかってしまった……」
界王神とよばれた薄紫の男とキビトは絶望をあらわにした。
その一瞬のすきを突き、ダーブラと呼ばれた大男はキビトを殴り飛ばし、トランクスへ瓶のようなものを突き刺した。
「あ……ああ……あぐっ…!」
その瞬間、トランクスはエネルギーを抜かれてしまったかのごとく力が入らなくなり、スーパーサイヤ人状態も解けてしまった。落下していくトランクスの体をダーブラがつかむ。
「このパワーすごいですな。この小僧、なかなかやりますよ。このような奴が他にもいるのでしょうか?」
「ボクの知るレベルでは、こんな純粋で大きなエネルギーをもつ戦士はいないね。コイツのほかにもそんなやつがいるのか、記憶を覗いてみようか!」
バビディという男がトランクスに手をかざす。すると、トランクスの記憶がバビディに流れ込んできた。その記憶を覗いている途中で……
ばしゅう!
「……! ぐっ!」
一発の気弾がバビディを襲い、バビディはとっさにトランクスから離れた。
「くっ! バビディを仕留めそこなってしまった……!」
ダーブラはトランクスと界王神に、バビディはトランクスの記憶を覗くのに集中している今が好機だと思ったキビトが放った気弾であった。しかし、バビディはその攻撃を間一髪で躱してしまった。
「貴様、よくもバビディ様を!」
そういってダーブラはキビトへ襲い掛かった。つかんでいたトランクスを放り捨てて、キビトに迫ったダーブラは手のひらよりエネルギー波を発射し、よける間もなくキビトを亡き者へとしてしまった。
界王神も亡き者にしようと、ダーブラは界王神のもとへ向かうが
「ッっっ! カイカイ!」
界王神は怒りと悔しさを混ぜた表情をしながらも、ダーブラから逃れるために瞬間移動でこの場から消え去った。
「くそっ! 逃げられてしまったか!」
「なにやってるの、ダーブラ! 界王神に逃げられちゃったじゃない! まったく」
「すみません、バビディ様」
「でもいいや、あの金髪だった男の記憶を多少覗いて、この星にはそもそも人が少なくなってるってことがわかったし」
「どういうことでしょうか?」
「この星の住民のほとんどは人造人間とかいうやつに殺されちゃってたんだってさ」
「では、この星にマーキングをしてから他の星を回りますか?」
「うーん、それでもいいんだけど、ちょっと面倒くさいよね。何かいい方法は……あっ! いいこと思いついちゃったぁ。とりあえず宇宙船に戻ろうダーブラ」
「はっ!」
「……ぐっ、何者だあいつらは……! 魔人ブウ……? 復活……? また、この星に脅威が襲ってくるというのか……! そうはさせない……ぞ……!」
地上へと落下したトランクスはおぼろげに聞こえていたことを思い出しながら、地球に新たな脅威が迫っていたことを確信した。
もう一つの未来でおこってしまったとんでもない事態。界王神、キビト、バビディ、ダーブラ。誰が敵で誰が味方なのかすらわからない状況の中、トランクスは一人、新たな脅威に立ち向かうことを決意する。はたして、地球に残る唯一の戦士であるトランクスに、ブウ復活を止める手立てはあるのだろうか。