楽しんでいただければ幸いです。
聡美のクラスに編入生がやってきた。
「ジェイス・ビンヤードです。アメリカからやってきました」
ジェイスは黄金色に輝く長髪で端正な顔立ちをした女の子だ。その彼女が、聡美の方を見る。
「ビンヤード、お前は吉崎の隣だ」
教師が聡美の横を差す。
ジェイスは聡美の横に座った。
「えっと、吉崎さん? よろしくね」
「うん」
「あ、そうだ。お昼に屋上に来てくれるかな?」
「いいけど」
「じゃあ決まりね」
ホームルームが終了し、教師が出て行く。
……。
…………。
………………。
お昼休み。
ジェイスに呼び出された聡美は屋上にやってきた。
「待ってたわよ。早速で悪いんだけど、私と組手してくれない?」
……………………。
「え?」
一種の沈黙のあと、聡美は疑問符を浮かべた。
「あなたを負かして、私がこの学校を牛耳るつもりよ」
「いやいや、牛耳ってないし!」
「問答無用!」
ジェイスが聡美に攻撃を仕掛ける。
「ぶわ!」
ジェイスの拳が聡美の顔面に決まり、その体が後方に吹っ飛んだ。
(……!?)
その腕力に気づいた聡美は驚き戸惑う。
「あんた何者?」
「私に勝ったら教えてあげる」
聡美は態勢を立て直し、ジェイスの懐に潜り込む。
「ふ!」
アッパーが炸裂し、ジェイスの体は上空に舞い上がった。
「うりゃ!」
飛び上がり、ジェイスの体を屋上に叩き落とすが、墜落の瞬間に彼女は態勢を整えて着地した。
聡美はジェイスの体を透視した。
ジェイスは金属の塊だった。
「なるほどね! あなたなら本気を出しても大丈夫そうね!」
聡美は着地し、素早く蹴りを繰り出した。
メガトン級のキックでジェイスは吹っ飛ぶが、数メートル先で立ち上がった。
「私の攻撃をものともしないなんて、あなた人間?」
「人間よ? クリプトンのね」
「クリプトン?」
ジェイスは自らのデータベースに瞬時にアクセスし、クリプトンという単語を調べた。
「あなた、スーパーマン?……には見えないわね」
「その同胞なのよ」
聡美は目にも留まらぬ速度でジェイスの背後に回る。
「……!?」
背中を取られ、戸惑うジェイス。
聡美はジェイスの首にチョップを当てた。
「ぐっ!?」
ジェイスは脱力して倒れた。
「少し焦ったわ。まさかサイボーグだなんて」
ジェイスは体を起こし、聡美の方を向いて
「私を弟子にして下さい」
「いや、弟子なんて取ってないから」
「これからは先生と呼ばさせていただきます」
(なんで私の周りって変なやつがまとわりつくんだろう?)
「それで、先生! 運動後の食事なんですが……」
「あー、そういうのはいいから」
「そうですか?」
(めんどいやつだ)
聡美は内心そう思いながら、食堂へ向かうのであった。