聡美と翔一が登校している。
話しながら歩いていると、聡美は路上に倒れる美穂を見つけた。
「美穂?」
美穂は怪我をしていた。
「吉崎さん……、この間のやつが……」
「吉田って子?」
「はい……」
「何があったの?」
「報復されたんです」
(めんどい)
だが、放っておくわけにもいくまい。
聡美は翔一に美穂を任せ、吉田を捜しに飛んだ。
現場から少し離れたところに、走って逃げる吉田の姿を見つけた。
聡美は吉田の背後に回る。
「……!?」
吉田が振り返る。
「美穂に報復したんだって?」
「お前は!」
吉田が距離を取る。
聡美は指をポキポキ鳴らす。
「あんたもさ、こういうのやめな?」
「うるさい!」
吉田が聡美に殴りかかった。
「ぐ!」
吉田の拳に痛みが走った。
「くそ!」
吉田はカッターナイフを取り出し、斬りつけようとするが、刃先が折れてしまった。
「なんだおめえ! 化け物か!?」
聡美は吉田を殴り飛ばした。
「うわああああ!」
地球を一周し、聡美の背後に戻ってきた吉田。
「うちの学校の生徒に手出さないでちょうだい」
「うるせえ!」
吉田は逃げて行った。
聡美は翔一と美穂の元に戻った。
「吉田は?」
「地球一周の旅に」
「え?」
「いや、ぶん殴った。それより怪我の方は?」
「大丈夫です、かすり傷なんで」
聡美はX線で美穂を透視した。
「骨は大丈夫そうね」
三人は学校に行き、保健室に入った。
美穂の手当てをする保健医。
「いったいなにがあってこんな怪我を?」
「け——」
「転んだらしいですよ」
美穂が言いかけたところで、聡美が遮って言葉を放った。
「え? ああ、そう。転んだんです」
「そう。先生、てっきりまた喧嘩かと」
(そっちでは有名なのね)
聡美はそう思った。
「手当は終わったわ。桜井さん、ちゃんと授業に出るのよ?」
「出ないと吉崎さんに殴られるだけじゃすみませんので」
「おい」
と、聡美。
保健医は首を傾げて疑問符を浮かべた。
お昼休みのことだ。
校庭にバイクに乗ったガラの悪い連中が入ってくる。
「おい、桜井 美穂! 出てこい!」
美穂が教室から校庭を見る。
「あいつらは?」
と、聡美。
「吉田たちと連んでる連中ですよ」
「私が出る。美穂はここにいな」
聡美は窓から外へ飛び出した。
「吉崎さん、ここ三階!」
美穂が窓の下を覗くと、着地して駆け出す聡美が見えた。
「なんだてめえは?」
ガラの悪い連中の真ん中に突っ込んだ聡美にガンを飛ばす彼ら。
「あなたたち、速く出ていかないとただじゃおかないわよ」
「なんだとコラァ!?」
連中の一人が金属バットを振り回す。
「そんなおもちゃで私を倒せると思うの?」
「死ぬかてめえ!?」
男が振るった金属バットが、聡美の頭部にぶつかる。
ぐにゃりと金属バットが曲がった。
「なんだこいつ!? 石頭か!?」
「次は私の番ね」
聡美が男にデコピンを放つ。
「うわああああ!」
男は五十メートルほど後方に吹っ飛んだ。
「ば、化け物だ!」
ガラの悪い連中がビクビク怯え始める。
「ねえ、あなたたち?」
「「「ひい!?」」」
「私の言うこと聞いて速く出ていってくれるなら見逃すよ?」
「「「し、失礼しましたあ!」」」
吹っ飛んだ男を置いて逃げていく彼ら。
取り残された男は起き上がり、「おい、てめえ」と、聡美に向かって歩いてきた。
「あなたじゃ私には勝てないわ」
「バットがダメならこれはどうだ!?」
男は懐から拳銃を取り出した。
「銃刀法違反だよ?」
それを無視して発砲する男。
放たれた弾丸は聡美の体に当たると勢いを失って落下した。
「なんなんだてめえ!?」
男は拳銃を連射するが、耐久性のよい聡美の体には傷一つつけることはできなかった。
「くそ!」
弾倉が空になる。
「これなら!」
懐から取り出したナイフで聡美を刺そうとする男だが、強靭な肉体には刃が通らなかった。
「拳銃でダメなのわからないの?」
聡美は男を蹴り飛ばした。
「うわああああ!」
男は悲鳴をあげながら、遥か彼方へ飛んで行った。
「忘れ物!」
聡美はバイクを持ち上げ、砲丸投げのように
聡美の手から離れたバイクは男を追いかけて飛んでいった。
「ふう」
聡美は両手をパンパンとはたき、教室へと戻っていった。