結城友奈は勇者である~勇者と大神と妖怪絵巻~ 作:バロックス(駄犬
なので、原作のネタバレ等がちらちらと出てくるのでお気を付けください。
練習用に作った大神の作品がランキング入りしていたからビックリだよ。
読者の皆さんの中に大神好きが沢山いるんだなって思いました。
一発目のプロローグ。
雰囲気出したい人は大神のオープニング流して、どうぞ。
其ノ零、序幕
むかし、むかし―――、気の遠くなるような昔の話じゃ。
その国には神様に選ばれた『勇者』と呼ばれる、不思議な力を持った少女達がおった。
勇者達は皆可愛らしい少女ばかりであったが―――、
その拳は大地を割り、
一たび跳ねれば瞬く間に天を駆け、
一人一人が一騎当千に値する力を持っていたのじゃ。
しかし、その国は厳しい戦いに晒されておった。
『勇者』と呼ばれる神樹様によって選ばれた戦士は四国の外から降ってきた天からの刺客、『バーテックス』と闇の国より現れた大蛇神・ヤマタノオロチが率いる『妖怪』から国を護っていたのじゃ。
特にこの『ヤマタノオロチ』は八つの頭を持つとても凶悪な妖怪で、
その紅い眼光に睨まれればたちまち命を落とし、
その名を口にすれば呪阻にて呪い殺されるとして、
バーテックスよりも、人々は山奥の洞に住まうヤマタノオロチをとてもとても畏れたのじゃ。
『星を散りばめたような怪物』と『百鬼夜行に名を馳せた妖怪』達はその牙と爪で多くの人間たちを殺し回り、多くの人間が死に絶えていった。
四国とは、その戦いの中で神様と勇者に護られた数少ない国の一つじゃった。
一方その頃の四国では、ある不吉な噂が流れていた。
バーテックスや妖怪が四国を攻めるときには決まって、
勇者達の近くに白い狼が現れるようになったのじゃ。
丸亀城の近くに住みついた白銀の如き毛を持つ『
夜な夜な街を歩き回り、
山や川に行く人を付け回したりしていたので、
街の者はこの白野威が人々を滅ぼす天の神、もしくはヤマタノオロチの遣いなのではないかと大変気味悪がったのじゃ。
街の者は白野威を追い出そうとし、
勇者一の実力を持つ乃木若葉も、自慢の剣術でこの白野威に挑んだが、
風のように素早い白野威には傷をつける事も、触れる事もできんかった。
やがてバーテックス、妖怪との戦いは激しくなり、
五人いた勇者達は傷つき、倒れ、残されたのは勇者・乃木若葉だけとなったのじゃ。
疲弊し、戦うことも出来ない勇者に対し、オロチは生贄と降伏を迫り、
その生贄に乃木の親友、上里を選んだのじゃ。
乃木はこれに大変怒り、オロチを打倒せん、と上里の身代わりとなりオロチが住まう十六夜の祠へと向かったのじゃ。
冥府を辿るかのような暗闇を讃えたオロチの根城、十六夜の祠。
乃木がその祠の前に立つと――――、
目を真っ赤に光らせた八本の首が舌なめずりをしながら現れた。
これまで何人もの人間の血肉を食らってきた怪物ヤマタノオロチじゃ。
乃木は弾かれたように飛出し、オロチに斬りかかった。
月明かり乏しい中、必死で愛刀・生太刀を繰り出す乃木。
……しかし鋼のようなオロチの身体には傷一つ付ける事が出来ない。
やがて乃木が万策尽き――――、
がっくりと膝を突いてしまった。 絶体絶命のその時じゃ。
一匹の獣が乃木を庇うように躍り出て――――、
オロチの前に立ち塞がったのじゃ。
闇の中でうっすら光を帯びた白い体――――、
それは丸亀城の近くに住みついていたあの白野威じゃ。
白野威が牙を剥いてオロチに飛び掛かると――――、
オロチも八本の首をもたげて食らいつく。
二匹の人ならぬ物はもつれ合うように争いを始めたのじゃ。
……じゃがその戦いは何とも不思議な光景じゃった。
オロチが白野威に向かって火を吐くと突風が吹いてこれを押し返し、
オロチの鋭い牙が白野威にせまると――――、
突然大木が生えて、これを遮った。
不思議な力に守られてオロチと互角に戦う白野威。
じゃが……それでもオロチの力には敵わない。
白野威は全身に傷を負い、白い毛並は真っ赤に染まっていった。
白野威は疲れ果て、もはや立っているんがやっとじゃった。
オロチの牙が、ふらつく白野威を追い詰める。
それでも白野威はオロチに背を向けず――――、
最後の力を振り絞り、天に向かって遠吠えをした。
すると……空を覆っていた暗雲が忽ち消え失せ――――、
月明かりを浴びた乃木の愛刀・生太刀が金色の光に輝き始めたのじゃ。
それまで岩陰で機会を窺っていた乃木は――――、
刀に導かれるように立ち上がった。
そして傷だらけの両腕で最後の力を込めると――――、
オロチに向かって猛然と飛び掛かって行ったのじゃ。
乃木の手の中で踊るように翻る金色の刀。
そのまばゆい光が煌めくたびにオロチの首が次々と宙に舞い――――、
ついにこの怪物は自らの血だまりの上に崩れ落ちた。
長い間、四国の人々を苦しめた元凶の一つが最期を迎えた瞬間じゃった。
……戦いが終わるころ、既に空は白んでおった。
白野威はオロチの毒が全身に回って息も絶え絶えじゃったが――――、
乃木はそんな白野威を抱きかかえ、丸亀城へと帰って行った。
城に着く頃には白野威はもう自分で動くことも出来なんだ。
人々が見守る中、乃木と上里が優しく頭を撫でてやると――――、
白野威はそれに応えるように小さく、ワンと鳴き……
……そして眠る様に事切れたのじゃった。
こうして四国に束の間の平穏が訪れた。
四国の人々は白野威の立派な働きを称え――――、
香川の静かな場所に社を建て、そこに白野威の像を祀った。
……そして乃木が振るった刀・生太刀を十六夜の祠に備えていつまでも平和を祈り続けたという。
永遠に変わらぬ平和な日々を……。
ところが物語はここでは終わらん。
実はこの物語には誰も知らない続きがあるのじゃ。
白野威と乃木の活躍から三百年の月日が過ぎた頃じゃ。
それはアッと言う間の出来事で、人々は誰一人気付かなんだそうな。
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~要・封印指定地、十六夜の祠~
香川県のとある山奥に、それは存在する。
かつて、勇者が命を懸けて封印したと言われるヤマタノオロチを封じたとされる祠が。
人気も無く、漂う異質な雰囲気は事情を知らぬ者が足を踏み入れれば間違いなく心霊スポットだと思うかもしれない。
それでも、人々が今日までその存在を知る事がなかったのは、組織ぐるみによって行われた情報操作の賜だと言っても良い。
『えっさ、えっさ、ほいさ』
湿った石畳の道を慣れたように駆けていく者がいる。
裸足でピョンと跳ねては老朽化によって生じた石の隆起を躱すという、なんとも身軽なステップを踏んで、祠の奥へと進んでいく。
『おっ、あったあった……』
その者が行き着いたのは一段と開けた広場だ。十六夜の祠の最深部である。
見据える先にあるのは中央のひときわ大きく設置されている祭壇だ。
長年手入れなどされていないその祭壇は所々が既に老朽化によってひび割れ、苔など生えていて、祭壇と呼ぶには程遠い有様である。
――――祭壇の中央、そこに突きたてられている一本の刀を除いては。
『……これが初代勇者・乃木若葉がヤマタノオロチを封じた際に使われた伝説の刀、『生太刀』』
鞘に納められることなく地面に突き刺さっているその刀身は錆びる事も無ければ、苔をその身に宿すことなく輝きを放っている。
だが、その輝きは最盛の頃を思わせるには至らず、淡く、鈍い光を放つ程度のモノとなっていた。
『やはり、退魔の力も三百年も経てば弱っちまうか……神官たちが手入れやら何やらする余裕が無いくれェに、忙しい事が起きてるみてぇだな――――』
その者は被っていた藁笠をくいっとずらしては、輝きを放つ生太刀を見つめて呟く。
「―――ま、オレッちにはどうでもいいことだが」
そう言い終えると、懐から何か取り出す。
『先端を輪っかにした縄』を刀に向かって放り投げては、刀の柄の部分に輪投げのようにひっかかった。
「ここまで封印の力が弱まっているなら、オレッちの力でも充分―――」
力を籠め、一気に縄を背負うようにして引っ張る。すると、物の数秒程で地面に刺さっていた刀は抜け落ちてしまった。
カラン、と鉄が落ちたような音を立てて地面を転がる生太刀から鈍い青白の光が消えうせる。
「やっちまった…もう後には引けねぇ……」
自身の犯した事に、なんの躊躇いも持たず実行したその者の顔はただ笑いもせず、泣きもせず、後悔に浸る事もせず、そこには覚悟だけがあった。
――――次の瞬間、地を揺らすような地鳴りが祠内に響いた。
地を割らんばかりに震えると、大地に歪が出来て、祭壇の周りがひび割れ、まるで火山が噴火したかのように飛び出してくる物がある。
大地から現れたのは長く、太い首だ。
一本ではなく、次々と地面を突き破って現れる首。その数は八つ。
まるで巨大な鞭のようにその首を撓らせては、祠の壁や装飾を力任せに破壊していく。
鰐の如き顔と長い首、その姿は龍を思わせた。
『オオ……忌マワシキ封印カラ我ヲ解キ放ツ者ヨ、盟約ニ従イ、誓イノ言葉ヲイザ交サン――――』
八つの内の一つがその首をもたげて、自身の封印を解いた者をその赤き呪いの双眸が捉える。
額に『火』の文字を描かれた兜を持つ者は毒液を滾らせる白い牙をチラつかせて言い放つのだ。
『”闇ノ世界ヲ欲ッス”―――、憎キ”勇者”ノ血ヲ持ツ者ト、我ヲ嘲笑ッタ”天ノ神”ニ、今コソ鉄槌ヲ下サンッッ』
大蛇神・ヤマタノオロチが天へ向けて咆哮を放つ。
その慟哭にも似た咆哮は空気と、その場にいた者の背筋を凍らせるものだった。
空に放たれた闇の咆哮は、先まで青かった快晴の空を一瞬にして暗雲立ち込める邪気を孕んだ空へと作り変えたのだ。
再び訪れようとしている四国の危機。
それに気付く者は少なく――――、
香川県、讃州市にある小さな神社。
全ての物語はここから始まるのじゃ。
……と、まぁ物語を始めるその前に、もう一つのお話をしておこうかの。一人の男の話を。
―――小さな小さな妖精コロポックルが住まう里『ポンコタン』、そこに帰って来ていたとある『元・旅絵師』のお話じゃ。
もしかしたらクリア後より大神原作の旅の途中から、って流れで書いた方が良かったのかもしれないけれど、お互い離れ離れになった後のアマ公とイッスンのお話を書いてみたかった。
それでも原作大事にしたいという人は展開的には許せない部分が出てくるかもしれません。批判とかもしっかりと受け止めるつもりです。
この作品は原作を大体大筋通りに動かしつつ、バーテックスの他に新たに加わる勢力、『妖怪』の方にも注目してくれればと思います。
また、妖怪だけでなく勇者達の持つ『精霊』にも。
あれもルーツは妖怪なので、それに纏わるお話とかを大神風に紹介できればと思います。オロチさんの妖力ってメッチャ便利。
次回:やっぱ旅絵師がいないと大神は締まらんでしょッ
感想や意見があれば、いつでもお待ちしています。
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