UC.0085年の7月、コンペイトウ基地でチャーリー中尉がライアン大尉に話しかけていた。チャーリーはイタリア産ブランデー「WILDHAWK」を飲みながらガラス越しに宇宙港を眺めている。
「それにしてもあいつは真面目すぎるな」
「隊長、マイクのことですか? 」
「そうだ。ジョークの一つも言えんとは驚いた」
チャーリーがあきれた顔で言った。
「おまけに酒もタバコもしないときた。一体、やつは何を楽しみに生きているんだ? 」
「チャーリー、今の若者は私達とは違うんだ。彼らを理解しないといけないな」
チャーリー中尉の楽しみは酒、タバコだった。宇宙ではそれらの嗜好商品でさえ満足に手に入らない。
「隊長、今日は船が少ないようですが。何かありましたっけ? 」
「中尉、今日はサイド1で大規模な作戦が行われるらしいな」
「今日はアレキサンドリア級もいないようで。あれも任務ですかい」
「アスワンは、月から来る輸送艦の護衛に行ったよ」
マイクとホセは基地にある食堂に入った。数人の連邦軍兵士がさっと席を立って食堂を出ていった。他の連邦軍の兵士もこそこそと耳打ちをしている。マイクは嫌な空気が充満していると感じた。
マイクがホセにしょんぼりとした声で言った。
「俺達は避けてられているのかな」
「エリートを嫌っているんだぜ。あれは」
「まったく、はっきり面と向かって言ってほしいよ」
マイクはホセに別の話題を降った。場の空気を変えるために必要だったからだ。互いに興味があるモビルスーツの話題を持ちかけた。
「コンペイ島基地にジム2は来ないのか? 」
「まだ、この辺境の基地には来ないらしいぜ」
「マイク、連邦軍がジムクゥエルを使い始めたぜ。連邦軍のやつに聞いたら訓練に使うと言っていたが」
「ああ、ジムカラーは明るい感じでイメージが良いな。赤と白の塗装がジムにはお似合いだよ」
マイクは小惑星での戦闘でハイザックを見たことを思い出した。ハイザックは強烈な印象を小隊に残していた。マイクはホセに言葉の真意を問いただした。
「ホセ、ハイザックに乗るのが嫌なのか? 」
「あんなザクもどきに乗りたがるものかよ。俺は嫌だぜ。まるで嫌がらせじゃないか」
「ぼくも連邦がザクを使うなんて信じられないよ」
ライアン隊長がにやにやしながら近づいてきた。
「ホセはハイザックに乗りたくないらしいな」
「これはライアン隊長。失礼しました」
「いや、敬礼はよせ。座ったままでいい」
「ハイザックか。あれがそんなに嫌なのか? 」
ホセは隊長に向かって単刀直入に質問した。
「ライアン隊長はハイザックをどう思いますか? 」
「私は性能さえ良ければ何でもいいと思っている」
「ハイザックは連邦軍も導入する事が決定しているからな。決して性能が悪いモビルスーツではないだろう」
ホセはチャーリー中尉にも話をふった。
「チャーリー中尉はハイザックをどう思います」
「オレか、オレはティターンズがザクを使うのは気に入らないな。できるならジムクゥエルに乗り続けたい」
ライアンはチャーリーの肩を叩いた。
「今度、お偉いさんにジムクゥエルの近代化改修を申請してみるか。認められるかどうかはわからないが」