宇宙世紀.0086年1月、ライアン小隊はコンペイトウ基地周辺を哨戒していた。4機のジムクゥエルは付近にジオン残党がいないかどうかを警戒している。
最近、自動砲台が破壊された事件があり、ジオン残党の仕業ではないかと噂されていた。ジオン残党はコンペイトウ基地(旧ソロモン要塞)を目の敵にしており、衛星を破壊する動機は充分にあったからだ。
チャーリー中尉が慌てた表情で言った。
「隊長、民間の輸送船から救難信号です」
「チャーリー、信号はどこからだ? 」
「ここから近いです。救援に行くべきでは」
小隊は急いで救難信号が発信された場所に向かった。
小隊の存在に気づいたのだろうか。ザクはモノアイをこちらにジロリと動かしている。ザクはマシンガンを民間船に向け、小隊を牽制した。
「隊長、識別信号は不明。IFFも応答なし」
「チャーリー中尉、やつらは宇宙海賊なのか?」
「わかりません。ザクが3機いるのは確かです」
「隊長、どうします。やつらを駆逐しますか?」
「様子を見てからだ。民間人の犠牲を出したくない」
宇宙海賊はザクの上半身にゲルググやリック・ドムの足を付けたモビルスーツを使用しているようだ。その異様な姿はティターンズのパイロットを混乱させた。
マイクはモニター越しにチャーリーと会話していた。ホセは肩をすくめながらケラケラと笑っている。マイクもチャーリーにつられて笑った。
「なんだ、あのモビルスーツは?」
「まるで合成獣のキメラですね。あのザクは」
「マイク、ザクにゲルググやドムの足がついているな」
「かっての名機があの有り様ですよ。これはひどい」
すると、ホセは「宇宙海賊の思い通りにやらせるものかよ」と言ってザクに立ち向かっていった。その様子を見たライアン隊長は激怒した。隊長はホセの独断行為を修正するべきだと決意した。
「先行するなと言っただろうに。あいつは! 」
「私はティターンズの誇りに誓って民間人に犠牲を出したくないんだ」
ライアン隊長は怒り口調で小隊に指示を出している。モニターに映し出された顔はまるで鬼のようだ。
「チャーリーは右、マイクは左。私は後ろから援護する」
「ドムの足つきは速いぞ。動きに気を付けろ」
ティターンズという名前を聞いただけで宇宙海賊は震え上がった。海賊から見れば、ティターンズはジオン残党掃討を任務とする悪名高き集団だからだ。
ホセはザクが放つ120mm弾をシールドで防ぎつつ、パックパックからの居合い切りでザクに斬りかかり、コックピットの横にビームサーベルを突き刺した。
ザクの頭に照準をあわせたチャーリー中尉は、ジムライフルをモノアイに向けて発射した。ザクのパイロットは視界を塞がれて慌てているようだ。手をじたばたしながら民間船から遠ざかっていった。
ゲルググの足つきはリック・ドムの足つきを連れて民間船から離れた。輸送船と民間人にはなんも被害もなく、我々は目的地のスペースコロニーまで彼らを誘導した。
小隊はサラミス改級『セイロン』に戻った。ライアン隊長は厳しくホセを叱った。モビルスーツデッキに乾いた音が響く。
「一人の勝手な行動が民間人を危険にさらす時がある」
ホセは自分の考えをきっぱりと主張した。
「でも、結果的に民間人の命を救えました」
「ホセ、お前はすみませんと言えないのか」
「ライアン隊長、以後は勝手な行動は慎みます」
「報告書を書いたら許してやる。今回だけだぞ」