ライアン小隊はアルジェリアで発生した争乱を沈めるためにアフリカの後方基地に派遣された。基地は廃校舎を利用したあくまでも一時的な物だ。恒久的な施設ではないらしい。
基地ではモビルスーツの補給と整備が行われていた。メカニックはあちこちを走り回りながら部品を運んでいる。特に砂漠地帯だと足回りやフィルターに砂が溜まるのでオイルを使って洗い流す必要があるのだ。
今日の昼食は現地調達されたドネルケバブだ。中東ではファーストフードのようなものとして知られている。ケバブはとてもポピュラーな食べ物らしい。ソースはチリソースとマヨネーズが用意されていた。
「ケバブはラム肉がうまいな。ソースが効いてるぜ」
「ギリシャではヨーグルトソースが普通らしいが」
「隊長、その組み合わせはあり得ませんよ」
「ケバブにはチリソースが一番の組み合わせですよ」
「いや。マヨネーズこそが最高の組み合わせだろ」
ホセのある一言をきっかけに小隊ではケバブにかけるソースについて持論をぶつけ合っていった。もちろん、ぎすぎすとした口調ではなく、やんわりとした口調で。
ホセはマイクにティターンズに入隊する前はどこいたのか聞いていた。マイクは自身の過去を語り始めた。
「地球ではテストパイロットをしていたな。ジオンのモビルスーツを操縦する仕事だ。ザクF2型やゲルググの情報を集めるテストをやっていたよ」
「基地にはサイド3出身者で構成されたアグレッサー部隊がいたな。それはもう凄腕のパイロットばかりだった。1年戦争を生き残ったベテランには敵わなかったよ」
ホセはマイクからザクに乗った話を聞いていたことを思い出していた。彼はジオン嫌いだが、立身出世と刺激を求めてティターンズに入った。
「俺は宇宙でデブリ掃除をしていた。デラーズの反乱後はコロニーを警備する任務も加わったな。毎日、退屈な任務ばかりで飽きていたんだ」
「その頃、ティターンズ結成の放送をテレビで見た。退屈な任務にあくびが出ていた頃だ。まさにうってつけの組織だと思ったよ。俺は刺激を求めて組織に入ったのさ」
チャーリーも自身の過去を語り始めた。チャーリーがジオンの復讐のために入ったことは知っているが、以前の経歴は隊長以外は知らないようだ。
「オレはデラーズ紛争の時、地球軌道艦隊にいた。オレ達はコロニーを破壊する任務を上から命じられていた。上官のバスク大佐はソーラシステムでコロニーの破壊を試みていたな。オレはあの大きな人工物が地球に落下する閃光を見たんだ」
「オレはジム改に乗ってジオンと戦った。緑色のモビルアーマーは恐ろしい敵だったよ。ソロモンの悪魔が乗っていたと聞いたときは心臓が止まると思った」
(第19話に続く)