さよならティターンズ   作:フォード2

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第23話 マクダニエルでハンバーガーを

 宇宙世紀.0086年の7月、サラミス改級「セイロン」は月面都市フォン・ブラウンに入港した。乗組員の有給休暇を消化するためである。

 

 ホセがマイクに集合場所を確認している。マイクは黒の革ジャンに青のジーパンを着ていた。

「マイク、遅刻したら罰金1万ドルな」

 

「わかった。1時までに用事を済ませるよ」

 

「ところで、隊長と中尉はどこに行くって? 」

 

「barでビリケードとダーツをするらしいぜ」

 

「昼間から酒かよ。中尉は酒を飲まないと生きられないのか」

 

「イワンのバカみたいじゃないか。笑えるよ」

 

 

 

 午後1時、マイクとホセはディック鉄砲店の入り口をくくった。店内は照明がついておらず、薄暗い雰囲気を醸し出している。

 

 店長が「いらっしゃい」と2人に挨拶した。マイクは欲しい拳銃を口にした。

 

「小型の拳銃を探しているんだ。例えば、GLOCK19やGLOCK26のようなポケットに入る物が欲しい」

 

「お客さん、銃に詳しいね。軍人さんかい? 」

 

「ええ、まぁ」

 

 マイクは単刀直入にほしい商品を告げた。彼はグロックシリーズのような信頼性が高い拳銃を求めていた。

「グロック26の在庫あります? 」

 

 店長は嬉しそうな表情で拳銃を解説していた。

「グロック26はオーストリア製だ。引き金を引けば9mm弾を発射できる」

 

「お客さん、グロック19やワルサーPPKはどうかな。これもいい銃だよ」

 

 マイクはグロック26のスライドを引いて、空撃ちしながら感覚を確かめていた。

「グロック26の値段は? 9mm弾込みで」

 

「グロック26は700ドル50セントだ。装填数は10発と少ないが。それでいいのか? 」

 

 マイクは店長の問いに「それでいい。拳銃は信頼性がないといけない」と答えた。彼はケースに入ったグロック26を大切そうに抱えながら店を出た。

 

 

 

 

 2人はマクダニエル・ハンバーガーで昼食を取った。マクダニエルはコロニーや月を中心に展開するハンバーガーチェーン店だ。マイクはベーコンチーズバーガー、ホセはアボガドバーガーを食っている。

 

「マクダニエルは8ドルでポテトとコーラがセットでついてくる。価格の安さが魅力的だな」

 

「テレビでもCMをバンバン流しているもんな。さすがはチェーン店だぜ」

 

「古き良き開拓時代に思いを馳せ 変わらぬ味をお届けするってな」

 

「牧場で育てた牛のパデイはボリュームがあっていいな」

 

 

メキシコ系であるホセはアメリカに一種の希望を抱いている。彼は中産階級の豊かな生活を夢見ていた。

 

「そういえば、マイクはアメリカでも拳銃を持ち歩いたのか?」

 

「アメリカではM840 SPを使っていたよ。昼間でも物騒だからね」

 

 ホセは苦笑いした。メキシコはギャングとドラッグが蔓延していると言いそうになったのを必死に堪えた。治安悪いアピールをしても何の得にもならないからだ。

 

 

 マイクの脳裏にはショットガン『ベネリM3』を構える父親の姿が浮かんていた。彼の父親はジオンの地球侵攻やコロニー落としの混乱から農場を守るために武装していたのだ。

「父はAR-15とM1911を持っていた。でも、ぼくはガバメントには古臭いイメージがあって気に入らなかったんだ」

 

 ホセは首を横にかしげながら言った。アメリカ系にはガバメントを使うイメージがあったからだ。

 

「アメリカ系は45口径にこだわると聞いていたが。イメージと違うな」

 

 マイクは笑いながら答えた。彼は45口径のガバメントが時代遅れの産物だと考えていた。

 

「それはステレオイメージだ。一種の偏見だよ」

 

 

 

 

 

 


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