宇宙世紀.0086年8月、ティターンズはサイド4(新名称はサイド6)におけるパトロールを強化していた。
先行するガルバルディ隊は、コロニーや戦艦の残骸が点在する宙域でザンジバルを発見した。ガルバルディβはモノアイの点滅による停船信号をザンジバルに送っている。
「手順に乗っ取って降伏する機会を与えよう」
ガルバルディβはザンジバルの進路を防ぎ、ブリッジの横を掠める危険な飛行をしている。パイロットのローライ隊長はザンジバルのブリッジに接触回線で話しかけた。
「貴艦の所属を明らかにしろ。また、降伏しない場合は貴艦を撃沈する」
ザンジバルのオペレーターが艦長に慌てふためいた表情で報告した。
「艦長、グラナダ所属のガルバルディから停船信号です」
「リック・ドムⅡを出す準備をしろ。ムサイからもザクを緊急発進」
「エルガー中尉が何とかしてくれる。それまで持ちこたえろ」
その頃、ムサイの後期型ではモビルスーツを発艦させる準備が進められていた。乗組員は誘導棒を振りながら
発艦準備を行っている。
《モビルスーツを射出する。各員は退去せよ。退去せよ》
ザンジバルの艦長は堂々とした口調で返答した。ジオン公国軍人の誇りを胸に抱いて。
「我々はジオン公国だ。ティターンズの命令には従わないし、臨検にも応じない」
ガルバルディβはブリッジから手を離してビームライフルを構えた。パイロットのローライは「了解した。ブリッジをビームライフルで破壊する」と即答した。
だが、岩影に隠れていたゲルググがジャイアントバズーカで狙いを定めていた。ガルバルディはこの攻撃をシールドで防いだが、突然の奇襲に怒り心頭。「ジオンをぶっつぶせ! 」と仲間に指示している。
2番機のバルダ中尉、3番機のボルガ中尉が後に続いた。3番機はシールドをバズーカに吹き飛ばされたが、即座にバーニア噴射を行って体勢を立て直した。パイロットの熟練ぶりが伺える。
「ガルバルディは装甲が薄いから。バズーカが当たったら大変だ」
2番機はエーデル中尉が操縦する黒いゲルググと交戦。バルダはシールドの裏からミサイルを2発放って敵の裏をかく作戦に出た。だが、ミサイルをゲルググに避けられたバルダは拍子抜けた顔をしている。
「これでも食らえやがれ。ありゃ、当たったと思ったのに」
ローライ隊長はバルダとボルガに指示を出しつつ、頭から発射した信号弾でジムクゥエルに敵機発見の知らせを出した。
「2番機と3番機、敵の動きに翻弄されているぞ」
「我々はニュータイプじゃないんですから。動きが読めませんよ」
「アムロ大尉のように『敵の動きが読めるぞ』と言ってみたいもんです」
「確かにアムロ・レイは敵を142機撃墜したエースパイロットだが」
ジムのパイロットであるチャーリーは前方で発射された2発の信号弾を視認した。信号弾はミノフスキー粒子が濃い宙域で敵機発見や撤退の際に使われるものだ。
「前方で信号弾を確認。これは敵機発見の知らせです」
「私とホセはサラミスの護衛をする。チャーリーとマイクはガルバルディの援護にいけ」
「了解。マイクの面倒はしっかり見ますよ」
「よろしく頼む。私は母艦を護衛する任務があるのでここを離れられん」
(第25話に続く)