さよならティターンズ(2部完結)   作:フォード2

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第7話 ユーコン級潜水艦

 ユーコン級潜水艦『U-66』のミサイルハッチが開いた。ひげ面の艦長は腕時計を見て「作戦時間だ。対地ミサイル撃て」と指示を出している。

 

 潜水艦のVLS(垂直ミサイル発射装置)から対地ミサイルが6発発射された。ミサイルはカラバが攻略を開始した海岸沿いの連邦軍基地に向けて放たれた。

 

 

 ミサイル発射から30分が立った。ソナー員が「前方に連邦の駆逐艦」と艦長に報告した。艦長は大声で「アラーム」と叫んだ。艦内には警報音が鳴り響いている。

 

 古参の軍曹は「のろまめ。新兵じゃねえんだぞ」「急げ。急げ」と乗組員をせかした。人が通れるサイズの狭い通路を乗組員達が走っている。

 乗組員は天井に吊るしたソーセージに頭をぶつけながらも各自配置についた。

 

 駆逐艦は5インチ砲を猛射。潜水艦の周りには水しぶきが上がっている。艦長は魚雷を緊急発射するように指示を出した。

 

「敵艦との距離2000。本艦に近づいてきます」

 

「1番管に魚雷装填。撃て」

 

「1番出ました」

 

艦長は潜望鏡から直進する魚雷を目視していた。

連邦の駆逐艦は右に転舵。機関全速の状態で魚雷を避けたのだ。潜望鏡をしまった艦長は潜航を命じた。

 

「ダイブ ダイブ」

 

「急速潜航。深さ100メートル」

 

「アイサー。急速潜航 深さ100メートル」

 

 

 ソナー員が耳をすましている。彼は魚雷の推進音を耳にとらえたのだ。ソナー員は予備のヘッドホンを艦長に渡した。

 

「海面に2本着水。これは魚雷です」

 

「魚雷の数はわかるか? 」

 

「数は2本。パッシブ式と有線魚雷です」

 

「デコイ発射。おとり魚雷を使え」

 

 

 連邦が放ったバッシプホーミング魚雷はおとりに引っかかった。魚雷はおとりが放つ音に誘われて爆発。ソナー員も爆発した音を耳で捉えていた。

 

「両舷機関全速前進。有線魚雷を振り切れ」

 

「アイアイサー。両舷機関全速前進」

 

 

 連邦海軍の軍艦はジグザグに航行していた。魚雷攻撃を警戒しつつ、潜水艦に爆雷と対潜ロケット弾を投下する準備を進めているのだ。

 

「艦長、スクリュー音が近づいています」

 

「両舷機関停止。電源をバッテリーに」

 

「もっと深く潜れ。深さ180メートルまで潜航」

 

「アイサー。深さ180メートルまで潜航」

 

 

 ユーコン級潜水艦は爆雷が破裂した衝撃で激しく揺れていた。乗組員の髪はベタつき、額からは汗が流れている。機関長は不安そうに上を見つめていた。機関室に海水が浸水しないか心配だったのだ。

 

 艦長は小声で「いまいましい爆雷め」とつぶやいた。副長も「俺もそう思います。艦長」とささやいた。

 

 ユーコン級潜水艦『U-66』が爆雷攻撃を受けてから15分が立った。海上では連邦の軍艦が次々と爆雷を投下している。乗組員は爆雷が投下された数をチョークで黒板に記していた。

 

 

 

 爆雷攻撃がやんで20分が立った。黒板には32発の印がついている。艦長はソナー員に敵艦の存在を尋ねた。ソナー員は「付近にスクリュー音はありません」と答えている。

 

「メインバラストタンクブロー」

 

「機関始動。深さ18メートルまで浮上」

 

「アイサー。深さ18メートルまで浮上」

 

 

 ユーコン級潜水艦は海上に潜望鏡を上げた。艦長は360度を潜望鏡で見渡している。艦船の姿はどこにも見当たらなかった。

 

 艦長は夕食を取るように命令した。艦長は士官室の通路に机を置いて飯を食っている。今日の夕食はソーセージとバターを塗ったライ麦パンだ。艦長は山盛りのソーセージをペロリと平らげた。

 

 

 乗組員は爆雷攻撃から生還した喜びを実感していた。「おい。おなら臭いぞ」 「ケツにコルクでも詰めとけ」と乗組員はふざけあっている。

 

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